Pounding steamed rice ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
街の宿屋の一室。 普段使用しているハンモックとは段違いな寝心地のベットに寝転がって。 戯れ、互いの熱を感じ合った後。 大切なものを包み込むように回される、力強い腕に。 己の腕を絡め、束の間の眠りに落ちる手前。 独り言のように耳元で囁かれた言葉に意識を覚醒させる。 「もう一年も終わりだな・・・・・・・・・」 そう言いながら、何事か考えているゾロの顔を伺う様に身じろぐと、優しい瞳と目線が合った。 「・・・・・・・・・どうした?」 髪を梳きながら、そう問い掛けてくる深緑の瞳に微笑み返すと口を開いた。 「・・・・・・・・・なぁ、お前の育った村って、新年に何かやる事とかあったのか?」 さっき見た考え込むゾロの顔を思い出し、聞いてみる。 バラティエじゃあ、特別新年だからって何かをやるなんて事は無かったから、尚更。 すると、少し懐かしそうな表情を浮かべながら話を聞かせてくれた。 ゾロの育った村では、年が明けると『正月』と呼ばれる期間があり、その一日目は『元旦』と呼ばれる日だという事や。 料理も特別で、『おせち』っていう物を用意する事や。 他にもいろいろと聞いたんだけど。 俺が一番興味を惹かれたのは、『お餅』という食べ物。 そのままだと固くて、焼くと柔らかくなって、食べると伸びるって説明されたんだけど。・・・・イマイチよくわからない。 だけど、ゾロの通ってた稽古場では、その『正月』に皆で集まって『餅つき』というものをやってたらしくて。 その出来立てのお餅は柔らかく、とても美味しいんだ、と目を細めてゾロが言うから。 __________素直に、食わしてやりたいと思った。 材料や作り方を詳しく聞いて、頭の中に正確にメモしていって。 ゾロに内緒で、年が明けたら食卓に並べてやろう。 そう心の中で小さく決意し、ゾロの胸に顔を埋めて目を閉じた。 「なあ、頼む!こんな事頼めるのはお前しかいねえんだよ!この通り!!」 後甲板で手製の『ウソップ工場』を広げ、自作の武器作成に精を出しているウソップへ頼み込む。 「う〜ん・・・まあ、お前にそこまで言われちゃ嫌とは言えねえけどよ、でもこれ何なんだ??」 そういうと俺が広げた紙へと視線を落とした。 そこには、大きな木の幹を切り取り、中をくり抜いたような物体の絵。 確かに、知らない奴にとっちゃこれが何なのかなんて分かるはずもねえよな。 「・・・・・・・・・・いいか?じゃあ今から俺が説明するから。よ〜く聞けよ?」 俺はウソップを協力者にすべく、自分で立てた計画を話して聞かせた。 黙って聞いていたウソップは、全て聞き終わると成る程、といった表情で快諾してくれた。 やっぱりお前はいい奴だな♪ これで餅つきに必要な『臼』は用意出来そうだ。 次は『もち米』。これも今日買出しに行った時に何とか見つけてこれたので一安心。 後はこのもち米を蒸かして臼に入れ、杵でつけば出来上がり!・・・・・・・・なはず。 ウソップに杵も作るようにお願いしたし、もち米はそんなに量も無いから本番一発勝負になるけど、何とかなるだろ! そう思い、他の正月料理をどうしようか・・・とキッチンで考え込んでいた時。 笑顔を浮かべながら、ナミさんが入って来た。 「ナミさんv何か?」 「ん、ちょっと喉渇いちゃって。何か飲み物貰える?」 「はいvvちょっと待っててくださいね〜vv」 俺は急いで立ち上がると、冷蔵庫を開けアイスティーを取り出し、オレンジを飾り切りしてグラスの淵に添えて差し出した。 「はいどうぞvナミさんのお好きなアールグレーのアイスティーですv」 「ありがとvわ〜、これ綺麗ね。短時間でこんなのが作れちゃうなんて、さすがサンジくんねv」 「いやぁ、そんなvv」 ナミさんから思いがけず嬉しい言葉を貰い、一気に気分が上昇した。 「・・・・・・・・・・・でね、サンジくんv」 極上の微笑みを浮かべるナミさんに。 「はい、何でしょうvv」 目をハートにしてしまうのはもう条件反射。 だけど・・・・・・・・次に彼女の口から出てきた言葉に、一瞬顔が強張った。 それは_________ 「ゾロの為に何を一生懸命頑張ってやってるの?」 ・・・・・・・・・・・・・・・・流石だ、ナミさん・・・・・・・・・・・・・・ ウソップ以外には、特にゾロには内緒にしておこうと思っていたのに。 勘の鋭い彼女に隠し事が出来るはずもなく、結局俺の考えていた事は根掘り葉掘り問い詰められてすっかりバレてしまった。 「なるほどねぇ〜、どうもここ2、3日様子がおかしいと思ったら・・・・・・ゾロの為にお餅を用意してあげようとしてたのねv」 「・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ・・・・・・・・・・・・・・・・」 絶対ナミさん俺をからかって楽しむんだろうなぁ・・・・・・・・・・・・ そう半分諦めていたら、意外な彼女の言葉が続いた。 「でも、サンジくんが羨ましい。そうやって一途に誰かを思う事って素敵な事だと思うし。ゾロも幸せ者よねv」 「・・・・・・・・・・・・・・ナミさん・・・・・・・・・・・・・」 「そのおかげで私達も美味しい料理を食べられるんだから、感謝するけど。出来れば肉もお願いね?」 さり気なくアイツの事を告げるナミさんは、年相応の可愛らしいレディ。 「勿論!ルフィが満足する分位は用意しますよv」 そう言って笑いあった。 結局ゾロ以外のメンバーには俺の計画はバレてしまい、逆に皆に協力してもらって作戦開始。 まず、ルフィとナミさんにゾロを街まで連れ出してもらい、残ったウソップとチョッパーと俺で餅を付き始める。 慣れていないせいもあって、なかなかもち米がまとまらずに四苦八苦しながらも何とか形になっていった。 「おお〜、これ結構いい感じなんじゃねえか?」 「そうだね、美味そう!」 ウソップとチョッパーの言葉に俺も同意し、臼ごとつき上がった餅をキッチンへと運ぶ。 用意しておいた雑煮を火にかけ、お節の入った重箱をテーブルに並べた時にタイミング良くナミさん達が帰ってきた。 「ただいま〜。どう?上手くいった?」 「勿論!バッチリですよvv」 ドアの前でそんなやり取りをしている俺達を訝しげに眺めるゾロ。 「ほら、そんな所にぼ〜っと突っ立ってないでさっさとこっち来なさいよ!ルフィも、早く!肉があるわよ〜」 「肉!?うお〜、サンジ、腹減った!!」 腕を伸ばしてキッチンの前まで文字通り飛んでくると、ナミさんと共にルフィは中へと走りこむ。 それを半分呆れ顔で眺めつつ、ゆっくりと階段を昇ってくるゾロ。 「・・・・・・・・・・・・・・何なんだ?一体。ナミ達はただ黙って俺を連れまわすだけだし・・・・・・・・・」 「いいからいいから!ほら、入って!」 説明を求めるゾロの言葉を遮って背中を押し、中へと誘う。 それに素直に従い、テーブルを見たゾロは__________ 「・・・・・・・・・・・・・・・・・凄えな、コレ・・・・・・・・・・・・・・」 感嘆の言葉を漏らした。 「・・・・・・・・・この前、お前が言ってただろ?こんなんじゃねえかもしんねえけど・・・・・一応、俺なりに聞いた通りに作ってみたんだ、どう・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・サンジ。」 俺の言葉を遮り、ギュッと抱き締められた。 「・・・・・・・・・・・・・サンキュ。すっげー嬉しい。」 「・・・・・・・・・・良かった。ゾロに喜んでもらえて・・・・・・・・」 「・・・・・・・あ〜、ゴホン!!ちょっとお二人さん、イチャついてないで早く座って!さ、皆で食べましょvv」 ナミさんの言葉に慌てて離れると、キッチンに入り皆に料理を取り分ける。 初めて食べた餅は想像以上の美味さで、ゾロが懐かしがった訳が何となくわかったような気がした。 お節も雑煮も、いつも以上に皆よく食べてくれ、あっという間に無くなってしまった。 そして________ゾロが俺に向けてくれた笑顔に、頑張って作って良かったと心底感じた。 ナミさんの計らいで街に宿を取った俺達。 ベッドに横たわりながら啄ばむようなキスを繰り返す。 その合間、囁くように問い掛けた。 「なぁ・・・・・・・・・今日の餅、美味かった?」 さっき、皆の居る前ではちゃんと聞けなかったから。 「ああ、本当に美味かった。・・・・・・・・・・・・・・・・・でも、」 「・・・・・・・・・・・・・でも?」 その言葉に表情が曇る。 やっぱりちゃんと習った料理じゃなかったから、何処かおかしな所があったんだろうか? 不安気に顔を見つめると、フッと笑って口付けを落とし、そのまま耳元へと唇を寄せて言葉を紡ぐ。 「・・・・・・・・・あの餅も確かに美味かったが、俺にはこっちの餅の方がいいな。」 そう言うと胸元を肌蹴け、首筋に向かって舐め上げた。 「んなっ!?」 「お前の肌、白くて餅みてえな感じするだろ?焼かなくても柔らかいしな。・・・・・だから俺はコッチの方が食いてえ。」 「ちょ・・・・・・・・・・」 有無を言わさず唇を這わせ、追い立てられる。 少し納得出来ない部分もあるけど・・・・・・・・・・ まあ、餅も美味かったって言ったから、許してやるか。 我ながら甘いと感じつつ、自らもゾロの身体を堪能する為に行為へと気持ちを注ぎ込んだ。 新年早々、濃く激しく、そして甘い時間を共有する為に___________ Fin 2003.1.1 |
<コメント> おおっ!! 『姫初め』vv ひろ様のサイトのDLFお年始作品をGET!! お正月を祝うクルー達、そして・・・ ゾロのために一生懸命正月料理を作るサンジ・・・ 極めつけに、『サンジ餅』!! 本当に新年ならではの作品ですねvv こんな素敵で格好可愛い二人が一杯の、素敵なひろ様のサイトは、こちらから <treasure> <index> |