Smell of a cigarettte その3 |
全身ずぶ濡れのまま何も言わずに立ち尽くしているサンジに静かに声を掛ける。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・何、してんだ?こんな所で。」 俺の言葉にビクッと反応し、視線を逸らして俯く。 その顔が・・・・・・・・・・・・・何だか、必死に何かを耐えているように見えて。 もっと近くで見ようと脚を進めた時、上げられた顔。 それは___________いつものように皮肉な笑みを浮かべる、見慣れてしまった顔。 「何って決まってんだろ?綺麗なお姉様にお相手してもらおうと思ってさ。でもいきなり雨に降られちまって・・・・・・・・・ 雨宿り、してただけだ。・・・・・・・・・・それより、見たぜ?お前、金髪のレディが好きだったんだなぁ〜。」 早口で捲くし立てるように言い放つ。 だが・・・・・・・・・・・・・・どう見てもそんな雨宿り程度の濡れ方じゃないし、顔も何処か取り繕っている。 _________________何故? サンジが俺に取り繕わなくちゃならない事など、あるはずもないだろ・・・・・・・・・・? だがサンジの口からは堰を切ったように言葉が流れ出してくる。 悟られてはいけないものを必死で守ろうとするかのように。 「いい感じのレディだったじゃねえか。一緒に泊まるんじゃなかったのか・・・・・・・・?あ、お前手荒く扱ったりしたんじゃねえだろうな? そんなんじゃモテねえぞ?・・・・・・・・・・・・・あ〜あ、俺も素敵なレディとご一緒してえなぁ・・・・・・・・・・」 そんな風に思っちまうのは・・・・・・・・・・・俺の都合のいい解釈なんだろうか? 例えそうでも、今それを確かめないと同じ事の繰り返しだ。 さっきの女の言った言葉が頭を過ぎる。 『想いを告げて、拒絶されたとしてもその時は自分の心にケリをつけられるでしょ?このまま何も言わず、今の関係を続けていたら・・・・ 何も生まれないし、何も変わらない。何時か後悔する時が必ず来るわ。』 自分の想いをちゃんと言葉にして伝えようと心に決めた。 それがどんな結果になろうとも_________覚悟は、出来てる。 言葉を切って再び俯いてしまったサンジの手をそっと握る。 「!!??」 予期せぬ俺の行動に、弾かれたように顔を上げると驚きで目を見開く。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・こんな格好じゃ風邪ひくだろ。とりあえず中に入るぞ。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 何も答えないサンジの手を引き、宿屋へと向かって歩き出した。 鍵を受け取り、向かった部屋はさっきと同じ部屋。 それも何かの縁かもしれねえな。 ドアを開け、中に入ると未だ少しあの煙草の匂いがした。 それには気付かないふりをして、ドアの前から動こうとしないサンジを促す。 「ほら、先に風呂入って来いよ。・・・・・・・・・・・お前が風邪ひいちゃ大変だろ?」 「・・・・・・・・・あ、ああ・・・・・・・・・・・・・・」 言われるまま、素直に風呂場へと入っていったサンジを見遣り、クロークからタオルを取り出して軽く頭を拭きながら窓の外を眺めた。 さっきサンジが言った言葉。 『いきなり雨に降られちまって、雨宿りしてただけだ』 それを鵜呑みにする程俺も馬鹿じゃない。 それだったら店の軒下にでも入ればよかったはずだから。 だが、その理由を問いただした所で、素直に答えるはずもない事もわかっている。 どうするか・・・・・・・・・・・・・ 考えていた所に、ドアの開く音がして風呂からサンジが出てくる。 それと入れ違いに俺もシャワーだけ浴びに向かった。 _________少し冷静に考える時間が欲しかったから。 軽く湯を浴び、目を閉じて思考を整理する。 何から話せばいいのか。 どうやって伝えればいいのか。 とにかく、飯でも食いながらゆっくり、落ち着いて話をしよう。 そう決め、濡れてしまった服の代わりにとりあえずその場にあったバスローブを羽織ってドアを開けた。 が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・部屋は明かりが落とされ、ほぼ真っ暗な状態になってしまっている。 「!?」 呆然と立ち尽くす俺に掛けられる、聞き慣れた声色。 「なに突っ立ってんだよ。・・・・・・・・早く、ヤろうぜ?」 「なっ・・・・・・・・・・・・・・・」 いつも船でサンジを抱く時と同じ誘い文句。 「・・・・・・・・・俺はそんなつもりはねえ。」 冷静を取り繕い、何とか声を出す。だが・・・・・・・・・・・・・ 「何今更んな事言ってんだよ?雨に濡れて寒いから暖まろうってだけの事じゃねえか。この雨じゃ綺麗なお姉さまも居ないだろうし。 いつもやってるのと変わらねえだろ?てめえは処理出来たからいいかもしんねえが、俺は溜まってんだ。付き合えよ。・・・・・・・・・」 その言葉を聞いた時。 俺の心の中に、諦めにも似た感情が芽生えた。 やはり、サンジにとって俺との行為は処理以外の何物でもなくて。 俺の気持ちなど、届くはずもないと。 それでもいいと、自分の気持ちを伝えようと思っていたはずなのに。 勝負する前から決着がついちまった。 だから___________俺は、お前を抱く。 これで終わりにする為に。 敵前逃亡なんてらしくねえとは思うが。 100%勝ち目の無い勝負をするほど・・・・・・・・・・・・・・・・俺は、強くないから。 そうしていつもするように、黙ったままサンジへと覆い被さっていった。 ろくに慣らしもせず、後ろから突っ込む。 腰を鷲掴み、激しく揺さぶって。 目に入るのは、全てを拒絶するような白い背中だけ。 この背を見る事ももう無い。 _______________これで、終わるのだから。 そう思った時、俺の中の抑えていた感情が突然暴れだす。 終わりにするのなら。 最後ぐらい・・・・・・・・・・・・・・・自分の我侭を通したい。 考えるよりも先に身体が動いていた。 律動を止め、サンジの身体を反転させ仰向けにすると枕元のランプの明かりを灯す。 ずっと見たかった、快楽に歪む顔。 だが目の前に現れたのは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・想像していたものとは全く違っていて。 歯を食い縛り、苦痛に耐えるかのような悲痛な表情。 咄嗟の出来事に自分が今どんな状況に置かれているのか理解出来ていない風なサンジは固まったままで。 __________一瞬にして顔から血の気が引いていくような感覚に陥った。 初めて身体を重ねる時に言ったサンジの言葉。 『こういった船じゃ常識だろ?それに俺初めてって訳じゃねえし。』 その言葉を信じて半ば強引に繋げた身体。 痛がる素振りを見せた時もあったが、それに気付いた俺が止めようとすると 『しばらく使ってなかったから狭くなっちまってるだけだ。突っ込んでりゃそのうち感覚も戻るさ。ほら、遠慮せずヤれよ。』 そう吐き捨てるように言うと自ら腰を突き出して続きを促したりした。 それらを、ろくに確かめもせず信じてしまった俺。 だが・・・・・・・・・・・・・・・・この表情を見ればいくら鈍くたって気付く。 この行為にサンジが快楽など得てはいないと。 痛みに必死で耐え、されるがままの状況を甘んじて受けているだけだと。 そこまでして何故・・・・・・・・・・俺を誘う? そこまで考えた時、動きの止まっていたサンジが突然暴れ出した。 「や、めろ・・・・・・・・・・・見んな!!」 必死で顔を背けようとするが、俺の両腕がそれを許さない。 「離せっ!!!嫌だ・・・・・・・・・・っ!!!」 それでも手を振り解こうと抵抗を続けるサンジを押さえ付け、顔を覗きこむ。 「見、るな・・・・・・・・・・・・・・・・・嫌・・・・・だぁ・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・サンジ。」 名を呼ぶと、ビクッと身体を震わせる。 「お前・・・・・・・・・・・・慣れてるなんて、嘘・・・・・・・・・だろ?男とヤッた事なんて・・・・・・・・・・・ねえんだろ?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 黙ったまま答えようとしない。 それでも構わずに続ける。 「俺は・・・・・・・・・・てめえの言葉鵜呑みにして、勝手に思い込んで・・・・・・・・・・気付けなかった。」 サンジに惚れていた筈なのに、本当のこいつを見ようとしていなかった。 「お前が俺に・・・・・・・・・・その、そういった関係を持つように仕向けたのは・・・・・・・・・俺と、同じ思いだったからかはわからねえが。」 例えそうだったとしても。 「そうだったとしても・・・・・・・・・・・・・俺には、もうお前に触れる資格は・・・・・・・・・・無えから。」 もう全てが遅いから。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・悪かった。」 俺がサンジの言葉に惑わされず、はっきりと最初に自分の気持ちを伝えていればこんな事にはならなかったのかもしれない。 だがサンジの嘘に騙され、自暴自棄になり身体を繋げ、今日まで気付かずに過ごしてきてしまった。 一番やってはいけない過ちを犯してしまった俺には・・・・・・・・・・・・・サンジの想いを知る権利も、自分の想いを伝える権利もありはしない。 それでも弱い俺は、最後の我侭を強請ってしまう。 どこまでも自分勝手なのは自覚しているから、許して欲しい。 そう胸の中で謝罪し、サンジの両頬を手で包み込むとそっと触れるだけのキスをした。 そうして身体を離そうとしたその時。 首にしっかりと回された腕に、動きを封じ込められてしまった。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・サ、ンジ?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 何も言わず、ただ俺を抱き締めるだけのサンジに戸惑う。 だがその身体が微かに震えているのを見て・・・・・・・・・・・泣いていると悟った。 泣かしたくなんてないのに。 お前には何時だって笑っていて欲しいのに。 やっぱり俺は、お前を苦しめる事しか出来ないのか・・・・・・・・・・・・・・・ やり切れない想いで、そっとサンジの前髪を手で梳いてやる。 それに促されたかのように顔を上げ、俺を真っ直ぐに見つめてきた。 涙に濡れた、悲痛な顔。 ________________胸がズキン、と痛む。 「俺は・・・・・・・・・・お前を悲しませる事しか出来ねえ。情けねえよな・・・・・・・・・・・・・」 自嘲気味に呟くと 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぃ・・・・・・・・・」 小さく、掠れるような声で何か言おうとしている。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何だ?」 まるで子供をあやすように、髪を撫で上げ背中を擦ってやりながら言葉の続きを待った。 二度、三度大きく息を吸い、涙声ながらも懸命に伝えようとしているサンジの口元に耳を寄せ、言葉を拾う。 「・・・・・・・・・・・・・・ゾ、ロが・・・・・・・悪い・・・・・んじゃ、っく・・・・・・・・・な、い・・・・・・・・・お、れが・・・・・・・・ひっく・・・・・・・・・悪い、んだ・・・ ゾ、ロに・・・・・・・しようって、言った時・・・・・・・・っく・・・・・・・・慣れて、ないと・・・・・・・・・・嫌がるだろうって・・・・・・・思って、ひっく・・・・・・・ 嘘、ついて・・・・・・・・・・・・・・ずっとずっと、嘘・・・・・・・・・・・・・つき通して・・・・・・・・・・・・・っく・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「で、も・・・・・・・・・・・いつ、飽きたって・・・・・・・・言われるか、って・・・・・・・・・もう、止めようって・・・・・・・・言われる、かって・・・・・・・・・・ ずっと、怖くて・・・・・・・・・・・っく・・・・・・・・・・どんどん、嘘を・・・・・・・・・重ねて・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「で、も・・・・・・・・・・このまま、じゃ・・・・・・・・・ダメだ、って、思って・・・・・・・・・・今日、ちゃんと・・・・・・・・・・言おうって・・・・・・・・・・・・・・・・ そした、ら・・・・・・・・・・・・・ゾロ、が・・・・・・・・あのレディと、ここに・・・・・・・・・入るの、が見えて・・・・・・・・・・も、う・・・・・・・・・・何だ、か・・・・・ 力が、抜けて・・・・・・・・・・・・・・脚、動かなくって・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・サンジ。」 「ゾロ、に・・・・・連れられて、ここに入って・・・・・・・・・っく・・・・・・・・・・今日こそ、もう止めようって・・・・・・・・・・言われるんじゃ、ないかって・・・・ だから、いつもみたい、に・・・・・・・・・・誘って、それで・・・・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・もういい。もう・・・・・・・・・・・・・わかったから。」 俺は自分の愚かさを呪った。 傷つけたサンジにここまで言わせて。 自分は勝手に終わらせて逃げようとしていたなんて。 己の不甲斐なさに歯軋りする。 惚れた奴一人守れねえ野郎が大剣豪になるなんて言ってりゃ世話ねえよな。 欲しいものはこの手で奪い取る。 そうやってこれまで生きてきたはず。 見失っていた自分自身に気付いた今、俺のやるべき事はたった一つ。 この想いを・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・余す所無く、言葉にする事のみ。 最愛の存在に向けて___________ 「・・・・・・・・・・・・・・ずっと、お前の事が好きだった。」 サンジの背をポンポンと叩きながら、諭すように想いを音に変えていく。 「お前からセックスしようって誘われた時・・・・・・・・・・・・・初めてじゃねえって言われて、逆上した。この身体に触れた事のある人間が居たって だけで・・・・・・・・我慢出来なかった。それからも・・・・・・・・・・お前に誘われる度、何処かでその見えない相手に嫉妬しながらお前を抱いてた。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 サンジは黙ったまま、俺の話に耳を傾けてくれている。 「お前の隠してた本心にも気付かねえで、処理目的だと思い込んで・・・・・・・・・・・ずっと、その状況を受け入れるしかなかった。 だがな・・・・・・・・・・さっきお前が言ってたあの女。アイツに会って・・・・・・・・・・・・・・・俺は、変われたんだと思う。」 その言葉を聞いた途端、サンジの身体に力が入ったのを感じる。 「ああ、言い方が悪かったな・・・・・・・・あの女とは寝た訳じゃねえよ。・・・・・・・・・何も、なかったんだ。」 誤解を解くように優しく頭を抱き寄せ、髪に口付けながら言ってやると 「・・・・・・・・・・・・・・ほんと・・・・・・・・・・?」 縋るような視線。 微笑み、「本当だ。あの女は・・・・・・・・・・その、ちょっと気になる所があってな。」 そう言うと 「気になる・・・・・・・・・・??」 困惑した顔。 「あのな、あの女・・・・・・・・・・・・・・・・・煙草、を吸ってたんだよ。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・煙草?」 「そう。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お前と、同じやつ。」 「・・・・・・・・・・・!」 「だから・・・・・・金を払って煙草を吸ってもらった。お前がそこにいるような気がして・・・・・・・・・・・そして、お前にちゃんと向き合う決意をくれたのも あの女なんだ。・・・・・・・・・・・・・・なあ、サンジ。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・何?」 瞳が潤み出したサンジの顔を見つめ、誠心誠意心を込めて_________ 「むしの良い話だとは思う。だが・・・・・・・・・・・もう一度、最初から仕切りなおさせて欲しい。・・・・・・・・・俺達の、関係を。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゾロ。」 蒼眼から涙が溢れる。 「もうこんな風にすれ違うのは御免だから・・・・・・・・・・・・・・・・いいか?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゾロッ!!」 震える腕で、力一杯抱きついてくる痩身を抱き返す。 そうして見詰め合い、唇を重ね合わせた。 何度も確かめるように触れ合わせる。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・また泣かせちまったな。」 キスの合間にそう言えば。 「これは・・・・・・・・・・・嬉しい涙だからいいんだ・・・・・・・・・・」 今までに見た事のない、綺麗な笑顔を向けてくれた。 俺だけに向けられたその笑顔に胸が一杯になりつつ、重ねる口付けを深いものに変えていく。 体中に所有の証を散らし、じれったくなる程ゆっくりと、確かめるようにサンジの身体を暴いていった。 包み隠さず晒されるいろいろな表情を見落とさないよう、しっかりと瞳に焼き付けて。 汗ばんだ身体に縋りつく腕の強さや。 鼓膜を震わす、甘く蕩けるような嬌声や。 大粒の涙を流し、それでも自分を求め手を伸ばしてくるこの唯一の存在を_________ やっと、手に入れた。 そうやって何度互いを確かめ合ったんだろう。 疲れ果て、ぐったりと横になるサンジの身体を抱き上げて風呂場へ行き、汚れを洗い流す。 軽く拭き、ベッドに戻り腕の中にすっぽりと収まる身体を抱き締め目を閉じた。 ________と、ゆっくりサンジの瞳が開き、俺を見る。 「・・・・・・・・・・・・・どうした?」 虚ろな瞳のまま、紡がれた言葉は_________ 「・・・・・・・・・・・・・・・誕生日、おめでとう。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」 何で・・・・・・・・・?と言いかけた俺に微笑み掛けると、たどたどしい口調で説明し出す。 「お前・・・・・・・・・・・海賊狩りだったろ?・・・・・・・自分じゃ気付いてねえかもしんないけど・・・・・・・・・・・結構、人気あるんだぜ?・・・・・で、 街でレディに声掛けた時・・・・・・・・・・・たまたま、お前のファンの子が居て・・・・・・・・さぁ。聞いたって訳。・・・・・・・・・・驚いたろ?」 「・・・・・・・・・・・・・ああ。」 驚いたと言うよりは・・・・・・・・・・・素直に嬉しかった。 まさかサンジがそこまでして自分の誕生日を調べているなんて思わなかったから。 更に次の言葉に正直・・・・・・・・・・・・・参っちまった。 「でも・・・・・・・・・あのレディには悪いけど・・・・・・・・・・・・・もう、ゾロは・・・・・・・・・・俺の、モン・・・・・・・・・だ・・・・・・・・・」 語尾は掠れ、そのまま眠りに落ちてしまった。 だがそれで良かったかもしれない。 俺の顔は、自分でもはっきり確信できるほど真っ赤だったから。 スースーと安らかな寝息を立てるサンジの額にそっとキスを落とすと、その身を両腕で包み込んで目を閉じる。 「・・・・・・・・・・・・・・・・最高の、誕生日だな・・・・・・・・・・・・・・・」 生まれて初めて、心からそう思えた。 ______________これからも、ずっとこいつと二人で。 改めて決意し直すと、すぐに睡魔に襲われ、意識を手放した。 _____________________________雨は、何時の間にか止んでいた。 揺れる紫煙。 短くなってきたそれを灰皿に押し付け、次のをと箱を傾けると、最後の1本。 「あら、もう無くなっちゃった。・・・・・・・・・・・・・新しいの買わなくちゃ。」 雨上がりの道を、そう呟きながら歩いていく。 「この煙草見る度、思い出しちゃうわね・・・・・・・・・・・・・・・・上手く、いったかしら。」 少し微笑み、さっきまで一緒にいた緑髪の剣士を思い出す。 「貴方なら大丈夫よ、ゾロ・・・・・・・・・・きっと上手くいくわ。・・・・・・・・・・私が惚れた男に似た、貴方なら・・・・・・・・・・・・・・」 目を閉じ、一瞬過去に思いを馳せると軽い足取りで街中へと消えていった。 煙草の匂いだけを残して_________________ Fin |
<コメント> 如何でしたか?? もう、涙無しには、読めないっすよねvv ひろ様のゾロ誕部屋より頂いて参りましたvv第2弾vv ゾロ視点の片思い切ない系vv もう、ルナの脳天直撃! ぐはぁ・・・・やられました・・・ もうもう、今までの流れが、せつなくて、せつなくて・・・・ けど、最後は、Happy Endvv まさしく、お師匠様〜vv (↑いや、ルナが勝手にそう思ってるわけで、ひろ様には、ご迷惑ですが。) こんな素敵で格好可愛い二人が一杯の、素敵なひろ様のサイトは、こちらから <treasure> <index> |