It can be stuck in jellyfish



 


 只今麦わら海賊団はグランドライン有数のリゾート地の港に停泊中。

 とは言っても、ログポースの導きに従って辿り着いただけなのだが。

 ここでのログは一週間経たないと貯まらないとの情報を仕入れてきたナミは心なしか嬉し

 そう。

 クルーを集めた会議で、その笑顔のまま話を切り出した。

 「あのね、この島は一週間でログが溜まるらしいの。で、その間このホテルに全員で泊ま

 る事にするわ。」

 テーブルに広げたこの島の地図を指差し、そう宣言する。

 「お、おいナミ。一週間もホテルに泊まるって・・・・・・・・金とかは大丈夫なのか?」

 いつも停泊する港町では、金が勿体無いからとなるべく大人数で一つの宿屋に泊まるよう

 口煩く言っているナミである。

 しかもその際その宿屋で一番安い部屋、ただ寝るだけしかないような質素な部屋へと泊ま

 る様に!と付け加えるのも忘れずに。

 なので、ウソップがそう聞き返すのも無理は無い。

 だが、ナミは極上の笑みを浮かべ(ゾロ曰く魔女の微笑みだが)得意げに言葉を続ける。

 「この島はね、リゾート地なのよ。だからお客様には丁重なもてなしがされるらしいの。海賊

 と言えども、ね。

 さっきログの事を聞きに行った先のおじさんがそう教えてくれたのよ。信じられない程の格

 安料金で、このホテルに泊まれるってv」

 「はぁ・・・・・・・・・・それでか〜。」

 「こんなチャンス滅多に無いわ!!この島で、日頃の疲れを取るのよ!海軍もここにはやっ

 て来ないっていうし、至れり尽くせりじゃない!!」

 目を輝かせてうっとりするナミに

 「そんなナミさんも素敵だ〜〜〜vvv」

 これまた目をハートにしながら賞賛を贈るサンジ。

 それを面白くなさそうに見つめるゾロ。

 その視線に気付いたナミは、騒いでいるルフィやウソップ達を横目にそっとゾロへと近づく

 と、意味ありげに笑いながら耳元で囁いた。

 「そんな怖い顔しないでよ。アンタとサンジくんは同室になるようにしてあげるからv」

 「なっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 「その代わり、羽目外しすぎてサンジくん使い物にならなくしちゃダメよ〜v」

 「て、てめえ・・・・・・・・ナミ!!」

 からかう様な態度のナミに怒りを向けたゾロは逆にサンジの怒りを買った。

 「こら、てめえこのクソ腹巻。ナミさんに向かっててめえだぁ??謝れ!!今すぐナミさん

 に!!」

 「うるせえ、このアホコック!!大体てめえが・・・・・・・・・」

 「ああ!?俺様が何だって??」
 
 「ストーップ!!二人とも、喧嘩なら後でして頂戴。さ、皆行くわよ〜〜vvv」

 「「「おーう!!!」」」

 ルフィ、ウソップ、チョッパーの三人は、まるでガイドさんに先導されるツアー客のようにナミ

 の後をついていく。

 渋々喧嘩を中断したゾロとサンジも、その後に続いて船を降りた。






































 「うわ〜〜・・・・・・・・・・・すっげーな・・・・・・・・・・・・・」

 ホテルのロビーについた彼等は、ナミが宿泊手続きをしている間ソファでくつろいでいた。

 中央には天井から下がる豪華なシャンデリアが設置され、その真下には噴水が静かな水

 音を立てている。

 今座っているソファも、男部屋にあるものとは大違いで座ると身体が沈み込むような感じ

 で、柔らかいクッションが心地良い。

 「こ〜んな気持ちいいソファ、俺初めて座った!!」

 ニコニコと嬉しそうに小さな身体をソファの上で動かすチョッパー。

 他のクルーも皆同様に、豪華な設備に内心驚きを隠せずにいた。

 「なぁ・・・・・・・・・・本当にこんな所に泊まれるのか?」

 些か不安顔になり、小声で聞いてくるウソップに

 「ナミさんが泊まるって言ったんだから大丈夫だろ。・・・・・・・・多分。」

 サンジも半分心配そう。

 「泊まれなかったら船で寝りゃいいじゃねえか。」

 欠伸をしながら興味なさそうにゾロは言う。

 「え〜!!俺は嫌だぞ!!ここに泊まるんだ!な?チョッパ〜。」

 「うん!」

 ルフィとチョッパーはいつも通りのマイペース。

 そんな話をしているうちに、ナミが手続きを済ませて戻ってきた。

 「アンタ達うるさいわよ!・・・・・・・・・ちゃ〜んと泊まれるから安心しなさい。で、三部屋借

 りてもう部屋割りしたわ。まず・・・・・・・・・・・・

 ウソップとチョッパー。アンタ達は
5階。」

 「お〜!チョッパー、行こうぜ!!」

 「うん!!」

 「あ、ちょっと待って。じゃあこれ、一週間分の生活費。無駄遣いしないでよ?一週間後の

 午前
9時にここね。」

 「了解!じゃあな〜。」

 「ルフィと私は
7階。で・・・・・・・・・・サンジくんとゾロ、2人は11階ねvはい、これ部屋の鍵と

 お金。買出しは出航直前にしましょ。」

 「は〜〜〜い、ナミさ〜んvvおいルフィ!ちゃ〜んとナミさんの事お守りすんだぞ!!」

 「ナミ〜〜!!早く行こうぜ〜!!」

 「・・・・・・・・・・・・・聞いちゃいねえし、ったく・・・・・・・・・・」

 「ルフィなら大丈夫よ、サンジくんvじゃあね〜。」

 手を振りながら、ルフィを追ってエレベーターに乗り込み部屋へと向かったナミを見送り、

 サンジは後ろを振り返る。

 「・・・・・・・・・・じゃあ、俺達も行くか、部屋。」

 素っ気無く言うつもりだったのに、少し声が震えてしまう。

 それに気付いたが、あえてゾロは何も言わず「ああ」とだけ答え、足早にエレベーターに乗

 り込んだ。



































 部屋に着くと、まず荷物を置きカーテンを開ける。

 そこに広がるのは、一面のオーシャンビュー。

 「うわっ・・・・・・・・・・・・・すっげー!!ゾロ、来てみろよ!!」

 まるで子供のようにはしゃぐサンジ。

 2人っきりになると、まるで子供のように無防備になるその愛しい存在に、自然とゾロの頬

 も緩んでしまう。

 それを悟られないよう表情を引き締め、そっとサンジの後ろへと近づくとその細い腰に手を

 回し抱きすくめた。

 「お、おいゾロ??」

 途端に慌てたような口調になり、回された腕を解こうと無駄な抵抗を試みる。

 「こら、暴れんな。・・・・・・・・・・・・・・・いいじゃねえか、誰が見てる訳でもねえし。」

 「そ、そりゃそうだけど・・・・・・・・・・・」

 「ここ何日も・・・・・・・・・・お前に触れられなかったんだ。いい加減俺の我慢も限界なんだ

 よ。」

 そう耳元で囁くと、そのままサンジの耳朶を甘噛みする。

 「ちょ・・・・・・・・・・ま、てって・・・・・・・・・・」

 確かにこの島に到着するまでの3日間、嵐に遭遇したと思ったら、巨大な海王類の群れに

 遭遇して全員で格闘したり。

 それが片付いたと思った矢先、岩礁地帯に差し掛かり夜通し交代で見張りをしたりと皆休

 む間も無く働いた。

 当然2人っきりになれる時間などあるはずも無く、ここに来てやっとサンジを独占する事が

 叶ったのだ。

 それで大人しくしていられるほど、未来の大剣豪は大人ではない。

 一刻も早く抗う恋人をその気にさせるべく、熱の篭った愛撫を再開させようとし

 た・・・・・・・・・・が。

 どうやったらサンジが堕ちるか知り尽くしているゾロと同じように。

 どういった態度を取ればゾロが自分の言う事を聞いてくれるのかをサンジは知り尽くしてい

 る。

 今、この場の雰囲気に流されて身体を繋げる事が嫌な訳じゃないけれど。

 サンジも、ゾロと同じくゾロに触れられなかった時間を取り戻したいとは思うけど。

 そうなってしまった場合の自分の行く末が容易に想像できるから。

 せっかく一週間もの間2人っきりになれる場が与えられたのに、初日から足腰立たなくされ

 ては堪らない。

 そう決意し、今にも首筋に顔を埋めようとしていたゾロの顔を両手で挟むとそっとそこから引

 き離す。

 「おい、サンジ・・・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・ゾロ。」

 少し潤んだ瞳で、上目遣いにゾロを見つめ甘えた声色で名を呼べば。

 抗議しようとしていたゾロも口を噤み、サンジの表情に釘付けになる。

 「俺・・・・・・・・・俺だって、今お前に抱かれたい・・・・・・・・けど。・・・・・・・・・・せっかくの2

 人っきりだし、一週間も時間あるし・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 「ゾロと海行ったり、買い物行ったり・・・・・・・・・してえよ。それからじゃ・・・・・・・・・・

 ダメ、か?」

 しおらしい態度で伺うように聞いてみる。

 「・・・・・・・・・・・・・・・や、でも・・・・・・・・・・」

 「それに・・・・・・・・・俺のお願い聞いてくれたら、その分夜サービスするしv」

 極上の笑顔を浮かべ、軽く唇にチュッと口付ければ__________

 「・・・・・・・・・・・・・・わかったよ。その代わり、今言った事忘れんなよ?」

 一丁上がりv

 「勿論!これ以上無いって程キモチ良くさせてやるぜ♪」

 「そりゃ楽しみだ。」

 ニヤッと笑い、腰を引き寄せられ軽くキスを交わし、

サンジはゾロの肩口に顔を乗せ・・・・・・・・・・

 ぺロッと舌を出した。

 作戦成功。サンジには夜、ゾロにサービスする気など微塵も無い。

 酒を飲んで酔っ払った振りをして、逆にゾロにサービスしてもらおうなどと頭で思い描いてい

 た。






 『普段だって俺が結構サービスしてやってるんだし。こんなホテルに泊まった時くらい、

 俺がしてもらう方になってもいいよな?』





 などと、ゾロが聞いたら憤慨しそうな事を考えている。

 当のゾロも、何をしてもらおうか頭の中はソノ事で一杯で。

 妙な雰囲気が2人を包んでいた___________

 ゾロのこの決断が、後の悲劇を招くとは思いもよらずに。




































 「はぁ〜・・・・・・・・・・・・・・気持ちいいなぁ・・・・・・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・・・・・・ああ。」

 サンジの要望でまず海へと向かった二人。

 そこは閑散としていて、自分達以外に人影はまばらだった。

 ほぼプライベートビーチな状態に、サンジはご満悦。

 「しっかし・・・・・・・・・・・・・お前の身体って、無駄がねえよなぁ・・・・・・・・・・・・・」

 感心したように呟くと、そっとゾロの胸板に手を差し伸べ、引き締まった筋肉に付けられた

 傷跡を指先でなぞっていく。

 「おい・・・・・・・・・くすぐってえよ。」

 「何?感じたの??」

 悪戯っぽく聞いてくるサンジに苦笑しつつ、ゾロはサンジを引き寄せると耳元で囁く。

 「当たり前だろ・・・・・・・・?お前にお預け食らった上に、ほぼ裸同然みてえな格好見せつ

 けられてんだから。・・・・んな可愛い事言ってっと

 今ここで食っちまうぞ?」

 「ちょ・・・・おい馬鹿!ヤメロ・・・・・・・・・・・」
 
 サンジの海パンの前に軽く触れ、意地悪く動かしていく。

 「ゾ、ロ・・・・・・・・や・・・・・・・」

 小刻みに震える身体に、冗談では済まなくなりそうになってきて、慌てて手を離した。

 「悪い・・・・・・・・・・調子に乗り過ぎた。」
 
 素直に謝るゾロを、顔を赤く染め上げたサンジが睨み付ける。

 「こんの・・・・・・・・・・クソバカエロマリモ!!」
 
 「だから悪かったって・・・・・・・・・」

 「もう知るか!!・・・・・・・・・・・・・・俺、一人で泳いでくる。」

 そう言い残すと、サンジは一人海へと入っていってしまった。

 「・・・・・・・・・・・んな怒る事もねえだろ・・・・・・・・・・ガキなんだよなぁ、ああいった所が。」

 微笑みながらも視線の先にはサンジを捉え、ご機嫌を取ろうと海へ入っていったその時

 ________

 視界に入るサンジの様子が急変した。

 脚でも攣ったのか、バシャバシャと海面を叩いてまるで溺れているかのようだった。

 自分を騙そうとしてるのか?と一瞬思ったが、どうもそんな雰囲気ではない。

 「サンジ!!」

 名を叫び、急いでサンジの元へと泳いで近づいていった。












































 ほんの1分もかからずにサンジの元に到着したゾロ。

 その途端、「ゾロ〜」と涙声で抱きついてきたサンジ。

 「どうした?大丈夫か??」

 身体を気遣うゾロの言葉に、サンジの瞳からは涙が零れ落ちる。

 「ふっ・・・・・え、ゾロ・・・・・・・・・・ごめん・・・・・・・・・俺、酷え事言って・・・・・・・・」

 「んな事いいから、どうしたんだ?」

 「ん・・・・・・・・泳いでたら・・・・・・・・何か、柔らかいモンが脚に触れて・・・・その後、電気

 が走ったみたいに痺れた途端にすっげー痛くなって・・・・・・」

 「まだ痛いか?」

 「ん・・・・・・・・・・痛い。何かなぁ・・・・・・・?」

 手を伸ばし、その部分に触ろうとしたサンジを厳しく制す。

 「ダメだ、触るな!!」

 「え!?」

 「海で柔らけえモンに触って痛くなったって事は・・・・・・多分、クラゲだ。棘が刺さってる場

 合が多いから、迂闊に触ると傷を広げちまう。」

 「へ〜・・・・・・・・・」

 「へ〜って・・・・・・・・お前、知らねえのか?」

 「クラゲは知ってるけどよ、刺すなんて・・・・・・でも、このまま俺岸まで泳いでいけるか

 な・・・・・・・・」

 また泣き出しそうなサンジに

 「そりゃ大丈夫だ。・・・・・・・・・・・・・・ほら。」

 「うわっ!?」

 海中でゾロの腕が両脚の膝裏に回り、もう一方の腕はしっかりと肩を抱いている。
 
 所謂『お姫様抱っこ』状態のまま、ゾロは泳ぎだした。

 「ほら、しっかり掴まってろ。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん。」

 優しく言われた言葉に、素直に従ってサンジはゾロの首へと腕を回し、

 ぎゅっと抱きついた。

 「・・・・・・・・・・・・・いつもこれくらい素直ならいいんだけどな。」

 「ん?何か言ったか?ゾロ。」

 「い〜や、何でもねえよ。」

 思わず口をついて出た本音を聞かれなくて、内心ホッとしたゾロだった。




































 砂浜まで泳ぎ着くと、そのままサンジを抱きかかえビーチマットまで運ぶ。

 そこにそっと下ろし、サンジが言っていた部分を見てみると・・・・・・・・・・・・・・

 案の定、真っ赤に腫れ上がっていた。

 「やっぱり、間違いなくクラゲだな。しかもこりゃ・・・・・・・・・・かなり酷いぞ。」

 「ん・・・・・・・・・・・・・・まだ痛い・・・・・・・・・・・・・・・」

 「そりゃそうだ。だが・・・・・・・・・・・・・・ここじゃ何もできねえから、一旦部屋戻るぞ。」

 そう言うと、サンジの上半身にタオルを巻き、患部に触れないように再びサンジを抱き上げ

 た。

 ホテルまでは歩いて
3分ほどで着くのだが、ゾロに抱き上げられているのが恥ずかしいん

 だろう、ずっとサンジは顔を隠すようにゾロにしがみ付いている。

 満更でもない気持ちでゾロはロビーへと入り、一旦サンジを置きに部屋へと向かった。

 ベッドにサンジを横たえ、動かないように念を押すとフロントまで戻り、声を掛ける。

 「おい、悪いんだが消毒薬かなんかあるか?」

 「どうかなさいましたか?」

 「連れが海でクラゲに刺された。消毒薬と包帯でもあると助かるんだが・・・・・・・・・・」

 「それは大変だ。医者を呼びましょうか?」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、いい。」

 「そうですか・・・・・・・・・・ではこれを。もし医者がご入用でしたらフロントまでお電話くださ

 い。」

 「ああ、悪いな。」

 ゾロは救急箱を受け取ると、急いで部屋へと上がっていった。

 ドアを開けると、サンジは枕を顔に乗せ痛みを必死に堪えているよう。

 「薬貰ってきた。大丈夫か?」

 「痛い・・・・・・・・・・・・・ゾロォ・・・・・・・・・・・」
 
 透明な雫がサンジの瞳からポロポロと零れ落ちる。

 「わかったわかった。泣くな、今消毒してやるから。」
 
 宥めるように髪を撫で上げてやり、痛々しい患部に視線を移す。

 その患部は____________サンジの、脚の付け根部分。

 海パンの中にも触手が入り込んだらしく、かなりギリギリの位置まで刺されていた。

 こんな場所を・・・・・・・・・・・・・・・自分以外の人間に晒すなんて出来る訳がない。

 例え医者にさえも。チョッパーなら話は別だが、あいつは今ウソップと出かけて居ないし。

 _______________これが、ゾロが医者を断った理由である。

 「じゃあ今から刺さってる棘を抜いてくからな。・・・・・・・・・・・・・・・痛いかもしんねえが、我

 慢しろ。」
 
 「・・・・・・・・・・・・・・・・ん・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 そうして、ゾロはピンセットを使い、棘の一本一本を丁寧に抜いていった。

 サンジはただ黙ってそれに耐えている。

 それから
10分ほど経ち、ようやくほとんどの棘を抜く事に成功した。

 だが、ほんの少しだけ皮膚の中に入り込んでしまっている棘が上手く取り出せない。

 このままでは、激痛とまではいかなくても痛みを引き摺ってしまうだろう。

 ・・・・・・・・と、ゾロは何の迷いも無くその患部へ唇をつけると、思いっきり吸い上げた。

 「やっ!?ゾ、ロ?」

 「棘が抜けねえから吸い上げるんだよ・・・・・・・・・・・・・大人しくしてろ。」

 そう告げると、吸っては吐き出す動作を繰り返す。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・っ・・・・・・・・・・」

 サンジは目をギュッと閉じ、何かに必死に耐えていた。

 何度かその行為が繰り返され、やっと全ての棘を取り去る事に成功する。

 「これでよし・・・・・・・・・・・・・と。後はこの消毒薬を塗っておけば平気なはずだ。一応チョッ

 パーが戻ってきたら見てもらおう。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・ん・・・・・・・・・・・・・・・」

 ここでようやくゾロは、サンジの様子がおかしい事に気がつく。

 「どうした?・・・・・・・・・・・まだ痛えか?」

 「・・・・・・・・・・・・・・だい、じょうぶ・・・・・・・・・・」

 上気した頬。潤んだ瞳。軽く吐き出される吐息。

 まるで______________

 サンジの患部から少し視線をずらしたゾロは、サンジの反応の意味を理解してニヤッと笑っ

 た。

 ゾロが今まで散々唇を寄せていた部分。サンジの太腿の少し内側の部分はいつも念入り

 に愛撫を施す場所。

 「そうか・・・・・・・・・・・そういう事か。」

 「え?あっ・・・・・・・・・や・・・・・・・・・」

 サンジの微妙に膨らんでいた部分に手を置くと、そのまま海パンの中へと手を滑り込ませ

 る。

 「ゾ、ロ・・・・・・・・・やめ・・・・・・・・・・」
 
 「このままじゃ辛いだろ?・・・・・・・・・・・・・・・俺が、楽にしてやるよ。」

 耳元で囁くとそのまま舌で舐め上げながら手を動かし始めた。

 「や・・・・・・・・・・・・・・・・あっ・・・・・・・・・」

 小さく零れる吐息を口付けで飲み込むと

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・特別サービス、だ。」

 一言告げ、深いキスを交わしながらサンジを追い上げていった。




































 それから離岸するまでの一週間。

 サンジはゾロに甘え放題。

 何かゾロが文句を言おうとすると「ゾロ、痛い・・・・・・・」と患部をこれ見よがしに晒し涙目で

 アピールしてくる始末。

 夜もサンジに負担をかけないように、と気を使いながらゾロが奉仕して。

 あっという間に時は過ぎていった。

 それはそれでサンジの可愛らしい態度を満喫できたからいいのだけれど。

 どうにもゾロには腑に落ちない。

 最初の日、サンジのいう事を聞いてしまった為にクラゲなんぞに最高の時間を奪われてし

 まった。

 だが・・・・・・・・・・・・・・いう事を聞かなかったら、それ以上に最悪の時を過ごしていたかも

 しれないし。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ツイてねえなぁ・・・・・・・・・・・・・・」

 出航したゴーイングメリー号の甲板で、独り言のように呟いた。

 
















 だが。

 出航して傷が完治してからも、何かとゾロに甘えてしまっていたサンジは。

 ある日とうとうゾロの怒りに触れてしまい。

 今まで自分がゾロにしてもらった事以上のサービスをさせられる羽目になってしまった。

 結果的に、一番美味しい思いをしたゾロはしばらく上機嫌だったらしい。

 そんな2人を見ていた聡明な航海士は。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・似たもの同士のバカップルね・・・・・・・・・・・・・・」

 そう呟くと、徐に立ち上がり腰に手を当てながらある人物を探しに向かった。

 連日のバカップル達による真夜中の饗宴で漏れ聞こえてくる嬌声を防ぐべく、

 この船の船大工も受け持つ狙撃手に早急に防音対策を打たせる為に。
 
 


   <fin>


<コメント>

やった〜!! 藍月ひろ様の素敵な小説GET!!
メチャ、嬉しいvv この幸せを貴女にもおすそわけvv
可愛いサンジとかっこいいゾロが、素敵な文面に溢れてます。
やっぱり、ひろ様は、ルナのお師匠様です!
(↑いや、ルナが勝手にそう思ってるわけで、ひろ様には、ご迷惑ですが。)
こんな素敵で可愛い二人が一杯の、素敵なひろ様のサイトは、
こちらから


treasure>    <map