全ての出会いに・・・






ゴーングメリー号は島を後にした。

食糧補給の為に立ち寄った小さな島。

温かく迎え入れくれた人々との楽しい時間。

そして別れ。


「またいつか行きたいなあ〜」

肉を頬張ったまま船長が大きな声を上げる。

「おう!また行こうぜ!」

ウソップがジョッキを高く上げる。
「ええ、いつかね」

ナミが優しい笑顔で頷く。

少ない人数での賑やかな夕食。


男どもは、食い散らかして部屋へ戻って行った。

ナミはごちそうさま、とサンジにウインクしてドアを出る。

後片付けに追われるサンジと、それを見ながら酒を口に運ぶゾロ。

あの島での時間がウソだったかのように、いつも通りの夜。



食器を洗い終えたサンジがタバコに火をつける。

「なあ、外で飲まねえか?」

「ああ。テメエから誘うとは、珍しい事もあるもんだな」

ゾロはそう言って酒を手に甲板へ向った。

「たまには良いだろ」

見えなくなった背中にポツリとつぶやき、サンジも後を追いかける。


甲板にドカリとあぐらをかき、ゾロは晩酌の続き。

サンジは手すりに凭れ掛かって空に紫煙を吐く。

「人は一生のうちにどれくらいの人間と出会うのかなあ」

「あ?」

ゾロは思わず顔を上げる。

「どれくらいの人と会って、別れるのかな」

「らしくねえな。ガラでも無え」

ふん、っと鼻で笑って酒に視線を戻す。

「ほとんどが、一度きりでもう二度と会わない人なんだろうな」

「・・・」

「何か、それって寂しくねえか?」

サンジがふーっと大きく煙を吐いた。

ゾロは立ち上がり。顔を覗き込む。

「人間なんて世界中に無数にいる。その中で、出会うのは一握りだけだろ。

たった一度でも、会えるだけ、運命なんじゃねえのか?」

「くっくっく・・・」

サンジが肩を揺らす。

「テメエ、人が真剣に答えてやってんのに笑うなよ!」

「悪りい。でも、あんまりオマエらしく無いから」

「けっ」

そっぽを向いたゾロの首に手を回す。

「じゃあ、友達や仲間になるってのは、相当な運命だな」

「ああ」

振り返ったゾロの頬に軽くキス。



「俺とオマエもな」

低く甘く囁いてゾロがサンジを抱き締める。


「何でそんなセリフを堂々と言えるんだよ。こっちが恥ずかしいぜ」

サンジが腕の中でもがく。

「サンジ・・・」

「だっ!だから!恥ずかしいだろ!!」

「名前呼んだだけだろ」

「オマエは無意識でも・・・そんな声で名前呼ぶのは反則なんだよ」

真っ赤な顔に潤んだ瞳で睨みつける。

「テメエこそ、無意識で煽るんじゃねえ」

「え?」

「その顔は反則だろ」

深く深く口づける。


二つの影が甲板に沈んで重なった。

運命を、体中で感じる為に・・・





<コメント>

【すみれ色のまりも】のすみれ様より拉致ってきた5000HITOVERの素敵SSvv
出会いは、偶然の必然・・・・なんとも、この雰囲気が、素敵vv
甘いんだけど、下手な甘さじゃなくて、お・と・な気分〜vv
こんな素敵なSSと、可愛いイラストもあるすみれ様のサイトは、
こちらからvv


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