デリシャス×デリシャス




11月11日を、2人きりで向かえたゾロとサンジは。
明け方までベッドの中で愛し合い。
昼過ぎまでベッドの中で過ごした。
そしてついさっき、ようやくサンジが動き出した。
汗でベタベタした肌を洗い流し、髪を拭きながら寝室に戻ると。
ベッドの上ではいまだ、ゾロが眠っていた。
幸せそうに眠るその姿に、サンジまで幸せな気分になってくる。
「へへっ・・・」
ゆっくりと隣りに腰を下ろすと、ゾロの寝顔にそっと顔を近づけて。
「・・・・・・・・・おめでとうv」
小さな声で囁き、ちゅっと頬にキスを落とす。
その次の瞬間。
「っ!?」
サンジは逞しい腕に捕まり、ベッドの海へ連れ込まれた。
慌てて顔を上げると、嬉しそうに笑ったゾロ。
「・・・・・・んだよ。起きてたのかよ」
眠ってると思ったから、こっそりキスしたのに。
なんだか酷く恥ずかしくて、サンジはぷいっとそっぽを向く。
「こら。こっち見ろよ」
「やだね」
「拗ねんなって」
「拗ねてねえっ!」
「サンジ」
「・・・・・・・・・」
「サンジ」
もう一度名前を呼ばれて、サンジはつい視線を合わせてしまう。
そしたら。
「さんきゅな」
にかってゾロが笑った。
その笑顔を見たら、恥ずかしさなんて何処かへ消えてしまって。
「ゾロ・・・・・・」
「ん?」
「おめでとv」
もう一度、キスをした。








あの後、そのまま突入しそうなゾロを宥めて、2人はホテルを後にした。
お預けを食らったゾロは少々膨れていたが。
サンジから手を繋ぐと、すぐに笑顔に戻っていた。
「な、ゾロ」
「ん?」
「今日はさ、きっとパーティになるからさ・・・」
きゅっと繋いだ手に力を込めて、サンジは眩しいほどの笑顔を向けた。
「ゾロの好きな料理、いっぱい作るな♪」
零れんばかりの笑みを、真っ直ぐに自分に向けてくれるサンジ。
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・可愛い)
今すぐにでも抱きしめたい衝動に駆られるが、そうすればさすがに蹴り飛ばされるであろう。
ゾロはぐっと欲求を耐えて、わざと涼しげな顔で。
「ああ。楽しみだな」
「ほんと?」
「当たり前だろ?お前の料理が、一番美味いし」
本気の本気でそう言ったら、サンジは一瞬ぽかんとして。
そして頬を染めて、恥ずかしそうに笑った。
「嬉しい・・・」
(ぐおっ・・・!!)
その笑顔は、ゾロの理性をあっさりと裏切らせて。
「サンジっ!!」
「ばっ・・・!!!」
いきなり公衆の面前で抱きしめられて、サンジは出そうになる足を必死に抑えた。
だって今日は、ゾロの誕生日で。
自分の料理に期待して、喜んでくれている。
そんなゾロを―――――――――蹴り飛ばせる訳なくて。
(きょ、今日だけだかんな・・・)
顔を真っ赤にしながらも、サンジは大人しくされるがまま。
それに調子に乗ったゾロは。
「サンジ・・・」
「んっ、ん――――――っ!!!」
明るい日差しには似合わないほどの濃厚なキスをして。
「この発情剣士―――――――――っ!!!」
結局、サンジに蹴り飛ばされた挙句。
「もっ、お前なんか知るかっ!!1人で帰って来いっ!!!」
涙目のサンジはそう言い残して、ダッシュで帰ってしまった。
当然ゾロがメリー号に付いたのは、日もすっかり落ちた頃だった。








青痣が出来てしまったおなかをさすりながら、ゾロはどうにか港に着いた。
そして海賊船にしては目立ちすぎる、羊の船首を見つけて。
少し安堵して、船に向かおうとしたら。
「ゾロ〜〜〜!!お帰り〜〜〜♪」
何処からともなく、自分を呼ぶ声。
よく見てみると船首には、ルフィが跨っていて満面の笑みで手を振ってくる。
「おう」
「遅かったなぁ。何してたんだ?」
「ま・・・、ちょっとな」
誤魔化すように頬を指でかくゾロに、ルフィはそれ以上何も言わず。
「早く来いよ〜。すっげー美味そうな飯だぞ〜♪」
確かに潮風に混じって、美味しそうな香りが漂ってくる。
くんくんと鼻を鳴らすと、それは自分の好きな料理の香り。
(ちゃんと・・・・・・・・・、作ってくれたんだな)
昼間、あんな事をしてしまったから。
ひょっとして怒って拗ねてしまったんじゃないかと、心の隅で思っていた。
だけどそれは杞憂だったらしい。
ついつい緩みそうになる頬を押さえ、ゾロは船にあがった。
そして甲板に足を下ろした途端――――――。
「「「ゾロ―――――――――っ!!!」」」
「ぬおっ!?」
3つの物体が、自分にぶち当たってきた。
ゾロは危うく船から落ちかけるが、持ち前の運動神経でどうにか持ちこたえる。
物体の正体は、ルフィ・ウソップ・チョッパー。
「てめえらっ!!何しやがるっ!!!」
「ゾロ〜、お誕生日おめでとうっ」
まるで自分の事のように、嬉しそうにチョッパーが言う。
「ゾロ!おめでとう!!お前という偉大なる剣士が生まれたこの日を・・・・・・(以下略)」
つらつらと、まるで芝居がかった台詞を連発するウソップ。
「ゾロ〜!!今日も飯美味そうだぞ〜♪あ、おめでとう」
まるでついでのように、祝辞をくれるルフィ。
三者三様の祝い方に、ゾロは思わず。
「くっ・・・、はははっ」
にかっと笑うと。
「ありがとな」
3人に笑顔を向けた。
「あらら。やけに素直じゃない」
「ふふっ」
そこに現れたのは、ナミとロビン。
ナミはじろじろとゾロの顔を覗くと、意味ありげに微笑んだ。
「何見てやがる」
「ふふっ。ずいぶんと満足げなお顔ね〜」
「はあ?」
「昨夜はたっぷり楽しんだみたいね」
何が、とは明言しないものの。
ナミが何の事を指しているかなんて、今までの付き合いで嫌というほどわかる。
「・・・・・・お前、サンジはからかうなよ」
「わかってるわよぉ♪」
と言いつつも、ゾロが帰ってくるまでに。
ナミは散々、サンジをからかっていたのだが。
「ま。とにあえず、おめでとう」
「おう」
「おめでとう、剣士さん」
「・・・・・・」
「あら?どうかした?」
「いや・・・。お前が言うとは思わなかった」
正直ゾロは、ロビンには嫌われていると思っていた。
乗船当初からゾロは、ロビンを疑い続けていたから。
ロビンもそれを知っていて。
それなのに自分に祝辞をくれるなんて。
「あら、心外ね。あなたがどれだけ私を疑っていても、私はあなたの事気に入ってるんだもの」
「そっか・・・。さんきゅな」
殊勝なゾロを見ながら。
(特に、ことコックさんの事になると、周りが見えないところとかね・・・)
ロビンはそんな事を考えていた。
「ナミさ〜んvロビンちゃ〜んv準備が出来たよ〜vvv」
キッチンの扉が開き、エプロン姿のサンジが顔を出す。
「うほーv飯ぃーvvv」
「今日は一段と美味そうだなぁ♪」
「今夜は和風なのね、コックさん」
口々に違った事を零しながら、クルー達がキッチンに入っていく。
甲板に残されたのは、ゾロとサンジだけ。
(・・・・・・・・・・・・まだ、怒ってんのか?)
「あ、のよ・・・・・・」
ゾロが何かを言う前に、サンジが動いた。
こてんと額をゾロの肩に預け、そのままじっとして。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・馬鹿」
サンジが何の事を言っているか、ゾロはすぐに気付いた。
「・・・・・・・・・おう」
「も、もう・・・・・・あんなトコですんなよ・・・?」
上目遣いで見てくるサンジの顔は、赤く染まって照れが滲んでいた。
その顔は夕日を受けて、酷く綺麗だった。
「2人きりだったら・・・・・・いいか?」
「んな事・・・・・・、今更・・・・・・・・・」
散々お互いを知り尽くしているのに、わざとこんな事を聞いてくるゾロが憎たらしい。
こんな時に限ってゾロに勝てない。
悔しいから。
「ゾロ!」
「っ!?」
不意打ちのようなキスをして、サンジはキッチンに入ってしまった。
1人残されたゾロは、不意打ちを思い出すように唇に触れ。
珍しく顔を赤くして、ずるずるとへたり込んでしまった。
「ったく・・・・・・。あの可愛さは・・・・・・・・・犯罪だろ?」








その日テーブルに並べられたのは、ゾロ好みの和風料理。
そして米の酒と、まさにゾロのための食事。
いつのも違ったサンジの料理に舌鼓を打ちながら、クルー達からゾロへプレゼントが渡される。
チョッパーからは傷薬。
「これね、俺が作ったんだ!ゾロ、よく怪我するから」
「さんきゅな、チョッパー。ありがたく、使わせてもらう。
ウソップからは綺麗な淡いブルーのシャツ。
「俺様からはこれだっ!!たまにはお洒落もしろよ」
「すまねえな」
ナミからは『明るい家族計画』&栄養ドリンク。
「ふふっ。活用してね?」
「お前なぁ・・・・・・・・・」
ロビンからは大きな柔らかいクッション。
「コックさんの身体、大事にしてあげてね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おう」
ルフィからは『1日船長券』。
「いつでも使えよ!!メリー譲ってやっからな!!しししっ!」
「まあ・・・・・・、お前らしいな」
たくさんの想いとたくさんの笑顔を受け取って。
自然、ゾロの顔にも笑みが浮かぶ。
村を出てこの船に乗るまで。
誕生日を祝ってもらった事など、1度もなかった。
それでいいと思っていた。
自分は大剣豪になるために生まれてきたのだと、そう思っていたから。
だけど。
ルフィに誘われ、この船に乗り。
かけがえのない仲間と、かけがえのない存在に出逢った。
そして今、こうして自分が生まれた日を共に祝って。
(・・・・・・・・・・・・幸せってやつか)
ガラにもなく、そんな事を本気で考えて。
それが嬉しいと思える。
(こいつらのおかげだな)
一緒にテーブルを囲む、素晴らしい仲間達。
そして―――――――――誰よりも愛しい恋人。
「よーし!バースディケーキだ!!」
その愛しい恋人がテーブルの中央に、ででんっとケーキを出す。
「うほーvvv美味そーvvv」
「こら、食うなっ!!!まずは主役から、だろ?」
サンジは優雅な手つきでケーキを切り分け、ゾロの前に差し出す。
「サンジ、ケーキは・・・」
「いいから食ってみろって♪」
にっこりと可愛い笑顔を向けられては、ゾロが逆らえるはずもなく。
その甘さをつい想像しながら、ぱくりとケーキを口に運んだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・?」
いつまで経っても甘さが伝わってこない。
代わりにブランデーのいい香りと、ラム酒の味。
「どだ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・美味い」
「だろっ?お前に合わせて作ったんだぜ〜?さっ、ナミさんとロビンちゃんもどうぞv」
ゾロの一言がよっぽど嬉しかったのか、サンジは惜しげもなく可愛い笑顔を振りまいて。
みんなに丁寧にケーキを渡していく。
「紅茶淹れますね〜♪」
鼻歌でも歌いそうなほどに浮かれたサンジは、みんなに背を向けて紅茶を用意する。
「あんたって幸せ者ね」
「あ?」
いつの間に来たのか、隣りでナミがケーキを食べている。
「あーんなに愛されちゃってぇ」
「・・・・・・・・・お前だってだろうが」
「・・・・・・・・・・・・・・・言うようになったわね」
「誰かさんのおかげでな」
お互いの言葉に笑い合う2人。
なんだかんだで気が合うみたいだ。
「ま、確かに俺は幸せ者だな」
わざと大きい声で言うと、サンジがちらりとこちらを見た。
「ありがとな」
そう言ったら。
ルフィと。
ナミと。
ウソップと。
チョッパーと。
ロビンと。
そして。
サンジが微笑んだ。








慣れない米の酒に、クルー達はどんどんと脱落していって。
気付けばキッチンに残っていたのは、ゾロとサンジだけ。
ゾロはテーブルで酒を飲み、サンジはシンクの前で洗い物をしている。
その背中を見つめていたゾロは、ことっとテーブルにグラスを置いて。
ぎゅうっと背中ごと、サンジを抱きしめた。
「ゾロ?どうかしたか?」
「さんきゅな」
「ん・・・?」
「料理や酒もそうだけど・・・・・・、ケーキがすげえ嬉しかった」
「ケーキ・・・・・・?」
「俺のために・・・・・・・・・作ってくれたんだろ?」
囁くように耳元で。
そしたらぽんっとサンジの耳が真っ赤に染まった。
「すっげ嬉しかったし・・・・・・、すっげ美味かった」
「ほ、んと・・・?」
「嘘は言わねえし」
きゅっと水を止めると、サンジはゾロの腕の中で身体を反転させた。
「あれ、な・・・。ずっと考えてたんだ。どうしたらゾロ、ケーキ食えるかなって」
「そっか」
「そんでいろんなレシピ見て、いろいろ考えたんだ」
全てが自分のためだと思うと、サンジがたまらなく愛しい。
「ほんと美味かった。ご馳走さん。だけどな・・・」
「ん?」
「もっと美味いモンが食いてえなぁ♪」
「もっと・・・・・・美味いモノ?」
きょとんと瞳を大きくするサンジが、可愛すぎるくらい可愛い。
そんなサンジをきゅっと抱きしめて。
「お前」
そう言ったらまた。
腕の中のサンジが、真っ赤になった。
「えっ、えろくせえ事言ってんじゃねえっ!!」
「仕方ねえだろ?お前が一番、美味いんだからな」
何か言いたげな唇を、ゾロはぱくっと食べてしまった。








僕にとって一番のご馳走は。
君の愛と君の全て。
何度でも食べさせて。








END.






<コメント>

あゆみちゃまのサイトのゾロ誕部屋から拉致って来ましたvv第2弾!!
嬉しくて浮かれてるゾロが、格好可愛いvv
『何度でも食べさせて』かあ〜、さあ、食ってくれ!!骨まで残さず!!
って、ルナの事じゃない??(蹴)
『貴方の傍で』の続きなんだってvv ここは当然、いただきでしょう♪
心残りは、ウソップの祝辞・・・・きっと、約30分は、演説していたことでしょう・・・
こんな素敵で、エリョエリョラブなあゆみちゃまのサイトは、
こちらから、どうぞ〜vv


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