「ずいぶん、騒がしいなぁ・・・」
例の如く、食料調達と物資供給に立ち寄った『偉大なる航路』にある島の1つ。
一通り買い出しを終えた俺は、船の上から真下の港を見下ろす。
港ってのは大概賑わってるもんだが、これほどまで賑わう事はそうないだろう。
よく見れば、建物は電飾やらなんやらで飾られている。
「なんかの祭りかぁ???」
「その通りよ、サンジくん」
いつの間に来ていたのか、俺のすぐ隣りにナミさんがいた。
「ナミさん」
「今日はこの島のハロウィンのお祭りなんですって」
「へぇ〜」
「ログが溜まるまでは後2日あるから、今日はみんなでお祭りを楽しみましょ♪」
祭りかぁ・・・。
そういえばビビちゃんがいた頃、チャイナ・ランドの祭り行ったっけ・・・。
あん時はみんなで、チャイナ・ランドの民族衣装着て。
そんで・・・。
「っ!!!」
その時の出来事を思い出して、俺は一瞬でゆでだこになってしまった。
だ、だってあの時は・・・・・・。
ゾ、ゾロと・・・・・・・・・。
「サンジくん、真っ赤よ?」
「えっ?あっ」
「な〜に考えてるのかしら?ま、どうせあの馬鹿の事だろうけど?」
「べっ、別に俺はっ!あ、あんなまりもの事なんかっ!!」
「・・・私、ゾロだなんて言ってないけどぉ?」
「っ!!!」
ひー。俺ってば自爆してる〜。
わたわたと慌てる俺を見て、ナミさんは綺麗に微笑んだ。
「可愛いわね、サンジくん」
「ナミさんの方が可愛いですよ?」
「ありがと。じゃあ特別に、1番に引かせてあげる」
そう言って差し出されたのは、7本の紙切れ。
「・・・?なんですか、これ」
「くじ引きよ。今日はハロウィンのお祭りだから、みんなで仮装するの」
「成る程・・・」
納得してくじ引きを引こうとした時、過去の出来事が頭をよぎった。
過去俺は、ナミさんに言われて女装させられた事がある。
まさか今回も・・・・・・?
くじを引くのを躊躇していると、俺の心の声が聞こえたのだろうか。
「やーね。イカサマなんかしないわよ」
「えっ、いやっ、そんな事・・・」
「ほら、早くっ」
急かされるまま引いた俺のくじには、カタカナで『ア』と書かれていた。
「『ア』?」
「OK。じゃサンジくんはこれね」
いつの間に用意していたのか、ナミさんは俺に紙袋を渡した。
「中身は夜までお楽しみよ?絶対見ちゃ駄目だからね?」
「はいっ!」
「じゃあね、サンジくん。夜が楽しみだわv」
にこやかに笑みを浮かべながら、ナミさんはみんなの所へ行った。
いや〜、ナミさんってやっぱ素敵だなぁv
優しいしv
―――――――その考えが甘かった事を、俺は後で嫌というほど痛感させられた。
「いーやーだーっ!!!」
「往生際が悪いわよ、サンジくん!!ロビンっ、サンジくん押さえてっ!!!」
「了解、航海士さん」
どたばたと女部屋から、騒がしい物音が響く。
だってだって!!
予想通り、俺の仮装って・・・・・・女装だったんだよぅ!!!
以前のメイド服よりかはマシかもしれないけど・・・、やっぱりスカートなんて・・・。
「ナミさ〜ん・・・」
情けない声をあげると、ナミさんが妖艶な笑みで答えた。
「サンジくん?私は1番最初に、サンジくんにくじを選ばせてあげたのよ?」
「そ、そうですけど〜」
「にも関わらず、このくじを引いたのは・・・・・・サンジくん!あなたよっ!!」
「で、ですけど・・・・・・」
「あー、うっとおしいっ!!!ロビンっ!!!」
「はいはい」
にょっと壁から現れたロビンちゃんの腕に、俺は呆気なく掴まって。
「さあ・・・、着替えましょうね?」
「やだ―――――――――っ!!!」
俺の情けない叫び声は、船中に響き渡った・・・・・・。
「さあ、出来たわっ!!」
「あら、可愛い」
「嬉しくないです〜・・・・・・」
ナミさんとロビンちゃんの手によって、俺は完璧なまでに女装させられた。
「とっても可愛いわvほんと、絵本の中から出てきたみたいv」
今回の俺の格好は。
童話『不思議の国のアリス』の・・・・・・アリス。
あのくじの『ア』って・・・、アリスの『ア』だったんだなあ・・・。
俺が呆然としてる間に、ナミさんとロビンちゃんも着替え終わっていた。
ナミさんは妖精、ロビンちゃんは魔女。
「2人とも、お似合いです〜・・・」
「ありがとう、コックさん」
「さて、じゃ行きますか」
もう抵抗する気力も失せた俺は、麗しのレディ2人に引きずられるように甲板に出て行った。
甲板には既に着替えを終えた男連中がいた。
ルフィはドラキュラ。
ウソップはランプの精。
チョッパーは天使。
そして・・・・・・。
「あれ・・・?」
ゾロがいない。
何処行ったんだ?
ひょっとしてゾロのヤツ、仮装が嫌で逃げたとか・・・?
「ルフィ、ゾロは何処行ったの?」
「おー!可愛いなっ、ナミっ!!」
「・・・ありがとっ。ところでゾロは?」
「おーい!ゾロっ!!」
ルフィがばたばたとメインマストの陰に走っていく。
「ほら!ゾロ、来いよっ!」
「ぜってー嫌だっ!!」
「サンジも着替え終わってんぞ?可愛いぞ?まあ、ナミの方が可愛いけどなっ!」
「あぁ?アイツが可愛いだと?お前、目腐ってんじゃねえか?」
ゾロのその一言に、ナミさんの眉毛がぴくりと動いた。
「ゾーロ?今すぐ出てこないと・・・、借金増えるわよ?」
「ぐっ・・・!!このっ、卑怯者がっ!!!」
「・・・・・・よーっぽど、増やして欲しいみたいねぇ?」
「っ・・・!!あー!わーったよっ!!おい、サンジっ!!!」
いきなり名前を呼ばれて、びっくりしてしまう。
「え、あ、何・・・?」
「・・・・・・・・・絶対笑うなよ」
「・・・?う、うん・・・」
なんの事かわからなかったけど、とりあえず頷いておく。
そして、しぶしぶと姿を現したのは――――――。
「ゾっ・・・!?」
「あら、似合ってるじゃない♪」
「可愛いわね」
青い燕尾服に赤い蝶ネクタイ、白のスラックスに革靴。
そして頭には・・・・・・・・・うさぎの耳。
「ゾ、ゾロ・・・・・・」
それは『不思議の国のアリス』の時計を持ったうさぎだった。
「そ、その格好・・・・・・」
「・・・こいつに脅されたんだよ」
うん。そうだと思う。
だってそうでもないと、ゾロがこんな格好する訳ないもん。
想像した事もないゾロの格好に、ぼけっと見惚れていると。
「サンジくん、ゾロ。私達、先に行くわね。今日は帰ってこなくてもいいわよ〜」
「え?ナっ、ナミさんっ!!」
「じゃあね〜♪」
俺が慌てて手摺に駆け寄った時にはもう、みんなは人ごみに紛れてわからなくなってしまった。
「・・・・・・・・・おい」
ぶすったれた声で呼ばれて、後ろを振り返り。
そして改めてゾロを見る。
じぃっと。
「・・・・・・何見てやがる」
「え、いや・・・・・・。可愛いなぁって」
「はあっ!?」
いつもだったらそれは、ゾロが俺に言うような台詞だったんだけど。
うさぎの耳つけて照れ臭そうにしてるゾロが、なんか可愛く見えたんだ。
「可愛いなぁv」
ついつい頭を撫でてると、その手をゾロに掴まれた。
「お前の方が可愛い」
言葉と一緒に掌にキスが落ちてきて。
かぁっと頬に熱が集まる。
「今日のはまた、裾が短いな・・・」
「だ、だってナミさんが・・・・・・」
「・・・あんま派手に動くなよ?」
「・・・・・・?」
「中が見えるだろうが」
「あっ・・・・・・!!!」
そう指摘されて、なんだか急に恥ずかしくなって。
俺は短い裾を押さえる。
「・・・・・・」
「あっ、あんま見んなっ!!」
「わかったわかった。ほら、行くぞ」
裾を抑えていた手を取られて、そのまま手を繋ぐ。
「っ」
そんな些細な事でも嬉しくて。
「へへっ」
「何笑ってんだよ」
「べっつに〜♪」
船から下りた俺とゾロは、手を繋いだまま大通りを歩いていた。
人が多くて、何度も手が離れそうになったけど。
そのたびにゾロが強く手を握り締めてくれた。
その剣だこだらけのあったかい手が、俺はすごく好きだから。
すごく嬉しかった。
・・・・・・・にしても。
「・・・・・・・・・なぁ、ゾロ」
「・・・・・・・・・おう」
「なんか俺達・・・・・・・・・、見られてねぇ?」
さっきから嫌に感じる、視線の波。
しかも野郎ばっか。
「・・・やっぱ俺、変なのかなぁ。髭あるし・・・」
ナミさんは髭剃れって言ったけど、俺元から薄い方だから、ここまで生やすのにも結構時間がかかる。
だから髭だけは、残してもらったんだ。
「そうだよなぁ。髭生やした男が、女装してたら変だよなぁ」
俺ってば、そんな事にも気付かず、呑気に歩いてたなんて・・・。
今更だけどさ。
そんな俺を見て、ゾロは深い溜め息をついた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・天然め」
「ん?なんか言ったか?」
「いや・・・」
不思議そうにゾロを見上げると、すごく優しい笑顔を向けられた。
う、わぁ。
いつもだったらここで『かっこいい』って思うんだけど、さ。
うさぎの耳のせいで今日はなんか・・・・・・、可愛く見えちゃう。
そんな事言ったらゾロ、怒るに決まってるから言わねえけど。
「どうかしたか?」
「ううん」
その時だった。
俺とゾロを囲むように、3人の男が立ち塞がる。
「・・・・・・何の用だ」
機嫌の悪そうな声でゾロはそう言い、俺を背中に隠す。
そんな仕草がすごく嬉しい。
「可愛いコ、連れてるじゃん」
「俺達さぁ、男ばっかで退屈してんだよね〜」
「ちょーっと相手してくんない?」
「悪いが他当たってくれ」
ゾロはあからさまに不機嫌モードになって、俺の手を引いて歩き出す。
だけど通り過ぎる瞬間に、そいつらに手を掴まれた。
「っ!!離せよっ!!」
「おーおー♪怒った顔も可愛いじゃん♪」
「うっせー!てめえらに言われても嬉しくねーよっ!!!」
「勝気なアリスだなぁ」
にやにやと笑う男達。
くそーっ!!いつもだったら蹴り飛ばしてやるのにっ!!
こんな短いスカートじゃ、蹴りなんて出せるはずもなく。
俺はただ、腕を振る事しか出来なかった。
だけど次の瞬間。
ばきっ
なんだか鈍い音がして、気がついた時には手を掴んでいた男が、地面に倒れてた。
その出来事に呆気に取られていると、がばっとゾロに抱き寄せられた。
「ゾっ・・・!」
「人のモンに手ぇ出してんじゃねえよ」
吐き捨てるようにそう言うと、ゾロは後ろを気にする事なく歩き出した。
ずんずんと歩くゾロが向かったのは、通りから外れた路地で。
どんどん奥に入っていくと、積まれてあった木箱の上に俺を座らせた。
「ゾ、ゾロ?」
訳がわからなくてきょとんとしてると、ゾロが少し怒ったような顔をして。
「油断するんじゃねぇ、馬鹿」
「ゆっ、油断なんかしてねえじゃんかっ!」
「あんなヤツに手ぇ掴まれて、油断してねえもあるかっ!」
「だ、だってすれ違い様だったし・・・」
「こんな格好じゃ蹴りは出せねえんだから・・・、しっかりしてろ」
「・・・・・・・・・ごめん」
ゾロが本気で心配してくれるのが伝わってきて、俺は素直に謝る。
そしたらゾロが優しく笑ってくれて、ちゅってキスをくれた。
「んっ・・・」
「サンジ」
「あっ、やだっ!」
スカートの裾からゾロの手が忍び込んできて、俺は慌ててその手を掴む。
「馬鹿っ!ここをどこだと・・・!!」
「嫌か?」
「嫌とかそんなんじゃなくてっ・・・!ど、して外でっ・・・!」
「・・・場所なんか関係ねえよ。俺はいつでもどこでも・・・、お前が欲しい」
ゾロは酷く真剣な顔で・・・・・・、なんだけど。
視界にチラチラ入ってくるうさぎの耳が。
「ぷっ・・・」
「あぁっ!?」
「ご、ごめっ・・・。なんか笑えて・・・、ぷ、くくく・・・」
どうもツボにはまったらしく、笑いが止まらない。
「くくっ・・・、ひゃあっ!?」
いきなりお尻を撫でられて、変な声が出た。
「ゾっ、ゾロっ!」
「お仕置きだな・・・」
「う、嘘っ、んっ」
不意打ちのようなキスをされて、閉じる暇もなかった隙間からゾロの舌が忍び込んでくる。
「んっ、ふっ・・・」
甘く舌を絡められて、鼻にかかった甘ったるい声が漏れる。
「や・・・・・・」
「脱がすと後々面倒だからな・・・」
ゾロは唇を離すと、にやっといやらしく笑って。
俺の両足首を掴み、そのままがばっと足を開かれた。
「やっ・・・!!!」
「っ・・・・・・」
慌ててスカートを押さえたけど、どうやら見られてしまったらしい。
やだよぅ。むちゃくちゃ恥ずかしい。
たまらない恥ずかしさに、ぎゅうっと瞳を閉じると。
気の抜けたゾロの声が聞こえた。
「あー・・・・・・、サンジ?」
「・・・・・・・・・・・・あい」
「その・・・・・・・・・パンツはなんだ?」
「これ、は・・・・・・。ナミさん・・・が、男物じゃガーターベルトが出来ないからって・・・・・・」
最後の方はすごく小さな声になってしまった。
俺が今穿いてるのは、レディ用の下着で・・・・・・。
しかも紐でくくるやつ。
「はあ・・・・・・」
「っ・・・!」
ゾロの呆れたような溜め息が聞こえて、すごく悲しくなってきた。
「ったく・・・。やっぱ危なっかしいよなぁ」
そうっと頬を撫でられて、恐る恐る瞳を開けると。
何故だか笑顔のゾロがいた。
「ゾ、ロ・・・?」
「そんなトコも・・・・・・・・・、すっげ好きだけどな」
まさに。
胸が『きゅぅん』ってなった。
「ゾロ〜・・・・・・」
「よしよし」
ぎゅ〜って抱きついたら、ゾロが頭を優しく撫でてくれたから。
今度は俺からキスをした。
そして唇が離れると、ゾロはまた俺の足を開いた。
「やだっ・・・!ゾロっ・・・」
がっちり押さえられた足は閉じる事も出来ず、俺の股間はゾロの視線に曝された。
そして括られた紐の片方を、しゅるんっと解いた。
当然だけど、片方の布が落ちてソコが露になる。
「もっ、やだって・・・!!」
恥ずかしくて恥ずかしくて、俺は両手でソコを隠す。
そしたらゾロはまた笑って、顔を寄せてきて・・・・・・。
「ひゃっ・・・」
俺の手を舐めてきた。
「んっ・・・、ぅっ・・・・・・」
ぺろぺろとくすぐるように舐められて、そこからじんわり快感が沸く。
「ゾロ・・・、やぁ・・・・・・」
「サンジ・・・。手、どけろ」
「やだぁ・・・・・・」
弱々しくかぶりを振って抵抗はしてみるけど、もうすでに俺は感じ始めていて。
自身が濡れてきてるのがわかった。
それは当然ゾロもわかっていて。
「サンジ・・・・・・」
「あんっ!やっ・・・」
「もっと感じさせてやるから・・・・・・な?」
酷く優しい声に負けて、俺はとうとう手をどけた。
「いいコだな・・・・・・」
まるでご褒美みたいに太ももを撫でられて、そのままゾロに咥えられた。
「あぁっ・・・、やんっ・・・!駄目っ・・・」
静かな路地にくちゅくちゅと音が響いて、鼓膜からも刺激される。
遠くでは騒がしい音が聞こえるはずなのに、俺の耳には届かない。
「ゾ、ロっ・・・!イくぅ・・・、イっちゃ・・・う、んっ」
「早いな・・・・・・」
「馬、鹿っ・・・!!しゃべっちゃ・・・、ひあっ」
「いいぜ・・・?イけよ・・・・・・」
括れを前歯で刺激され。
先端に柔らかく歯を立てられて。
「あ、あっ・・・あぁんっ・・・!!!」
まるで悲鳴みたいな声をあげて、俺はゾロの口の中で果てた。
「ふっ、うぅんっ・・・・・・」
余韻で震える手でぎゅっとゾロの腕を握り締める。
「サンジ・・・。も、いいか?俺も・・・・・・我慢出来ねぇ」
「ゾロ・・・、好きぃ・・・・・・」
「愛してる・・・・・・」
深く深く抱きしめられて、同時にゾロが挿いってきた。
「あ、ああっ、んっ・・・!!」
「ふっ・・・!!」
衝撃に閉じていた瞳を開くと、うさぎの耳をつけたゾロ。
やっぱ・・・・・・・・・可愛い。
「へへっ・・・」
「どうした?」
「ゾロ・・・、可愛い」
「・・・・・・・・・お前の方が可愛いよ」
可愛い可愛い俺のダーリンv
愛してるぜvvv
END.
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