純愛ベイベ☆ |
最近。 サンジの様子がおかしい。 キッチンに忍び込むルフィを撃退する姿も。 ナミとロビンに給仕する姿も。 ウソップとチョッパーと遊ぶ姿も。 普段となんら、変わらない。 只、違うのは――――――――――――俺への態度。 「ゾーローv」 サンジの様子がおかしくなったのは、食料補給に立ち寄った島を出航してから。 いつもなら人目を気にして、くっつくてこないはずのサンジが。 「はいvお前専用に甘くないの、作ったんだぜ?」 今。 胡座をかく俺の上に乗っかり、ケーキを差し出してくる。 突然のサンジの行動に、俺はもちろん他の連中も驚いて。 「・・・・・・・・・おい」 「ん?なに?」 「お前、熱でもあるんじゃねえのか?」 「なんでだよう。別にいいじゃんか、くっついたって」 ぷうっと頬を膨らます仕草は、そりゃもう可愛いんだが。 いつもとは違うサンジの行動に、いささか調子が狂う。 「ほら、ゾロ。あーんv」 言われるままに口を開きながら。 全く。 本当にどうしたってんだ??? 昼間はそんな風にくっついてくるくせに、夜、2人きりになると何故か距離を作る。 つまりは普段とは真逆の行動を、サンジはとっている訳だ。 俺としては、昼間でもくっついてくれるのは嬉しいんだが。 こう、2人きりの時に逃げられるのはな・・・。 うしっ。今日こそ聴いてやるっ。 いつものように仕込みを終えたサンジが部屋に戻ってきたのは、日付が変わる少し前。 そうっと入ってきたサンジは、起きている俺に気付いて破顔する。 「寝てていいのに」 「サンジ」 こいこいとサンジを呼ぶと、不思議そうな顔をして。 少し距離を保ちながら、サンジは隣りに座った。 「ゾロ・・・、どうしたの?」 「それは俺の台詞だ。最近お前、なんか変だぞ」 「べ、別に?いつもと一緒じゃん」 僅かに上ずった声を、俺は聴き逃さなかった。 「一緒じゃねえ。いつもは昼間なんて、絶対に近づいてこねえくせに」 「そっ、そんな事ないもんっ」 「いつもと違う事されると、調子が狂う」 「嫌、なのか・・・・・・?」 途端に沈んだ声に、はっとして見れば。 青い瞳は涙で潤んでいて、今にも雫が零れ落ちそうで。 「やっ、そうじゃなくて!嫌な訳あるかっ!!」 「でもっ!調子狂うって言った!!」 「そっ、それはだなっ・・・」 「・・・・・・・・・も、いいもんっ。俺、寝る」 サンジはすっかりへそを曲げると、もそもそとベッドに潜り込んだ。 「おい、サ」 「お休みっ!!」 「・・・・・・・・・・・・・・・」 これ以上ねばっても、効果がないのは嫌と言うほど身に染みている。 俺は1つ溜め息をつくと、サンジの横に寝そべった。 途端に離れていく、サンジの身体。 広がった隙間が酷く寒い。 恐る恐る、手を伸ばしたら。 「触るなっ、はげまりもっ!!!」 サンジの怒声が響いた。 はあ・・・・・・・・・。 結局・・・・・・、なんにもわからねえままだ。 しかもサンジはへそを曲げちまうし・・・・・・。 ついてねえ・・・・・・。 「あら。すごいクマ」 翌日。 鍛錬をしていたら、ナミが何故か笑いながら俺に声をかける。 「・・・・・・・・・・・・んだよ」 「サンジくんと喧嘩でもしたの?」 「・・・・・・喧嘩じゃねえよ」 がしゃんと鉄アレイを置いて、タオルで汗を拭く。 「俺が一方的に怒らせただけだ」 「どーせ、いつもの痴話喧嘩でしょ?」 「・・・・・・聴いてみたんだよ。あいつが変だから」 「そういえばそうよね。最近のサンジくん、いつものサンジくんらしくないものね」 そうなんだよなぁ。 くっつかれる事自体は、俺としては大歓迎だ。 だけど理由がわからない以上、手放しでは喜べない感もある。 「確かこの前寄った島を、出航してからよねぇ・・・」 つい何日か前まで停泊していた島。 そこそこ大きな島で、いつもと同じようにサンジと買出しに出かけた。 買出しの最中も、いつものサンジだった。 そういえば・・・・・・・・・。 時折、寂しそうな顔をしていたような気が・・・・・・。 「何?なんか思い当たる事でもあるの?」 「いや・・・・・・」 「ちょっとぉ。人が相談に乗ってやってるんだから、はっきり言いなさいよ」 「誰が聴いてくれなんざ頼んだんだよ」 「可愛くないわね〜」 変わらないナミとの会話。 その時。 視線を感じた。 ぐるりと周りを見渡してみたら、洗濯籠を持ったサンジがいた。 その表情は、あの島で時折見かけたのと同じ。 何処か寂しげな表情。 「サンジ・・・・・・」 「っ・・・!!」 俺の声にびくっと反応すると、サンジはばたばたと逃げてしまった。 「おいっ、サンジっ!!」 慌てて追いかけてたが、サンジの姿はもうなくて。 「逃げられちゃったわね」 後ろから楽しそうに話し掛けてくるナミを、じろりと睨む。 「そんな顔しないでよ♪サンジくんの不可解な行動の訳、私わかっちゃったv」 「・・・んだとぉ?」 「でも教えてあげない♪」 「おいっ、ナミ!!!」 「私の口からより、サンジくんの口から聴いた方が嬉しいはずよ。じゃね」 ナミはそう、訳のわからねえ事を言いたいだけ言って。 手をひらひらさせながら、ルフィのところへ言ってしまった。 どういう事だ? サンジの口から聴いた方が嬉しい・・・? 「あー、くそっ!!!」 がしがしと頭をかくと、俺は真っ直ぐキッチンに向かった。 元々、考えるのは性にあわねえ。 こうなりゃ、真正面から当たってやるっ! 「おい、サンジっ!!」 少々乱暴に扉を開けたら。 サンジはキッチンの隅っこに蹲っていた。 俺が入ってきたのに気付いて、ぱっと見えたサンジの顔は。 「・・・・・・・・・・・・泣いてんのか?」 「っ!!!なっ、泣いてないっ・・・!!!」 慌てて顔を擦るけど、俺の目にはばっちり見えちまった。 涙で濡れた頬が。 ずんずんと歩を進め、サンジの前で跪く。 「おい。何泣いてんだ?」 「泣いて、ないっ・・・・・・!」 必死に顔を隠そうとするサンジの腕を掴み、強引に顔を覗き込む。 その瞼はほんの少し腫れていて、目尻は赤く染まっている。 「いつから泣いてたんだよ・・・」 「泣いてないっ・・・!!」 「サンジ」 ぎゅうっと抱きしめたら。 「ふ、えっ・・・。うえっ・・・」 サンジは激しく泣き出してしまった。 震える身体をしっかりと抱きしめて。 俺はサンジが落ち着くまで、ずっと背中を撫でていた。 ようやく、嗚咽が収まった頃。 正気の戻ったのか、サンジは俺の身体をぐいぐい押し返し始めた。 まるで、俺から離れたいみたいに。 そんな仕草がかちんときて、細い両手首をぐっと掴む。 「痛っ・・・!」 「お前、最近ほんとおかしいぞ。なんでだ?」 「・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・俺に関する事なら、ちゃんと言ってくれ。俺が悪いんなら・・・」 「ゾロは悪くないっ!!」 サンジは弾かれたように顔を上げ、まっすぐに俺を見返す。 「サンジ・・・。ちゃんと話してくれ・・・・・・。な?」 極力、声を潜めて問い掛けてみたら。 サンジは、ぽつりぽつりと口を開いてくれた。 「この前の島でな、買い出し行っただろ?」 「そん時な、女の子いっぱい、ゾロに見惚れてた」 「すっげー可愛い子もいてさ・・・」 「だから俺・・・・・・、ゾロ取られたくなくて・・・・・・くっついてた」 「恥ずかしかったけど・・・・・・・・・、ゾロ取られるの、やだから・・・」 だんだんと赤くなっていくサンジの顔を見て。 |
<コメント> あゆみちゃまのサイトの70000HITOVER記念SS拉致って来ましたvv やきもちを妬くサンジvv とてもらぶりーvv 本当に、食べちゃいたいくらい可愛いんだよね、あゆみちゃまのサンジってvv 旦那様の気障ぶりも健在で、もうごちになりました!って感じです。(笑) とっても格好可愛い二人vv もう大満足vv こんな素敵で、エリョエリョラブなあゆみちゃまのサイトは、こちらから、どうぞ〜vv <treasure> <index> |