ゲームの行方 |
具体的に『恋人』の定義をあげるとしたら・・ いったいどんな物なんだろう? 最近、俺はゾロと・・その・・いわゆる恋人・・になった。 そろそろ三ヶ月が経つんだけどさ・・ なんだか・・最近思うわけよ・・ 夜は・・そこそこイチャイチャもしてくれるし・・ 抱く時も・・優しいしさ・・ 文句はないんだけど。 問題は昼間。 まぁ・・みんないるし・・俺だってゾロとの事皆に内緒に してる手前・・今まで通りに喧嘩もして・・ 悪口も言うけど・・ 本当はさ・・ もっと甘えたいなあとか・・ 思ってるわけで。 夜みたいに濃厚にでなくていいんだけど 軽い軽い・・スキンシップに似たそんな甘い時間も お日様の下で、したいなって思う。 そうでないとさ・・ なんか・・身体だけって?? 思っちゃうから・・夜のお世話だけって? ・・違うのはわかってても思ってしまうから・・ なぁ・・ゾロ・・俺が・・甘えたら・・怒るかな? 「暇ね・・」 ナミさんが一言そういって、デッキチェアから身を離した 立ち上がって、何か考え込んでいる様子。 俺は、おやつタイムのサービス中。俺は、おやつタイムのサービス中。 船長にクラブサンド ウソップにはオレンジのタルト チョッパーにはプリンアラモードを・・ ナミさんはカロリーの少ないクラッカーサンド 本当に最近ヒマで・・ まぁ・・いい事なんだけど・・困るくらいに暇なんで みんなそれぞれ、違うおやつにしてみたり・・ 本当何もないって・・暇だなぁ・・ チョッパーの口周りに付いた生クリームを、ペロンと舐め取ってやると、 くすぐったいのかキャッキャと笑う。 最近仲間になったチョッパーとは仲良しで、船医とコック。 クルーの健康を預かる立場にいるからか、色々勉強にもなる。 それと、最近俺の甘えたい病はますますエスカレートしているので、 それをチョッパーで紛らわせてるってのもあるんだけどさ・・・ まぁ、チョッパーは可愛いしモコモコだし・・ 抱き心地もサイコーなわけで・・・何かと楽しい。 突然、背後でズシンと重い音がした。 重い物をこの船の中、振り回す奴なんて独りしかいない。 もちろん、俺の恋人ゾロである 振り返って見ると、ゾロがものすごい形相でコチラを見ていた。 何が気に入らないのか、視線を外すと身体をタオルで拭き始めた。 トレーニングは終了らしい。 と言っても、甘いモノが嫌いなゾロはおやつタイムに参加しないから・・・・ 俺の出る幕なんてないんだけどさ・・ 「サンジ〜・・これまだある?」 可愛い声で聞いてきたトナカイの、差し出したのはサクランボ。 前にケーキに乗せてだしたら、えらく気に入っていたのを知ってる。 寒い冬島では、まぁ・・見たことがなかったものなんだろう。 「あるよ・・なんだ?もっと欲しいのか・」 「・・・うん・・これ・・好きだ!!」 素直に好きと感情を言葉にするチョッパー。 このままいい子に育つといいな・・なんて・・俺は考える 俺は・・・素直ないい子じゃなかったから・・ 今も、もっと素直だったら・・なんてたまに思うから・・ ニッコリ笑って、ピンクの帽子をポンポン叩く。 「待ってな・・」 えへへと嬉しそうなチョッパーを、おいてキッチンに向かう。 ゾロの横を通り過ぎると、ポソリと聞こえた言葉。 「甘やかしすぎなんじゃねえの?」 ギロリと睨むと、慌ててゾロは船尾に歩いていった。 泣きそうになった。 甘やかすのって悪いことかよ? 厳しいだけじゃ・・辛いだろ? 甘えたくてもお前は、甘えさせてくれないくせに!! 俺だって・・甘えたい時があるんだぞ!! チョッパーを甘やかしたくらいで、あんなに嫌そうな顔をするんだな・・。 なら、きっと俺が甘えたりしたら・・・ 先が怖い・・考えるのはやめよう・・ サクランボをボールに入れて、チョッパーと分け合って食べる。 幸せそうなチョッパーを膝に乗せて、つながった二つのサクランボを揺らして笑う。 「王様ゲームでもしましょう!」 ナミさんが突然声をあげた。 先ほどデッキチェアから立ち上がって、そのまま考え事をしていたナミさん。 よっぽど暇なのだろう・・・・で・・王様ゲーム? 「夕食の後は皆キッチンから出ないでね?」 ふふと笑うナミさんも可愛いけど・・ 今回のは少し怖いくらいかな? 何か企んでるんだろうな・・・まぁ逆らうなんて出来ないんだけど・・・・ なぁ?王様ゲームってなんだ・」 チョッパーが口にサクランボを入れたまま俺に聞いてくる。 モコモコ動くほっぺたを突付きながら、説明してやる 「王様ゲームってのはな・・こう・・クジで王様を決めるんだよ ・・で他のクジには番号がふってるんだ」 フンフンとチョッパーは首をたてに振りながら聞き入っている。 「王様は好きな番号を言って、命令するんだ。その番号 を引いた人は命令に従わなくちゃいけない」 「王様の命令だから?」 「そ・・王様の命令だからな・・んで・・またクジを集めて皆で引く・・・その繰り返し」 「おもしろいのか???」 「う〜ん・・・命令の内容しだいだな・・遊びなんだから限度を超えた命令はなし・・ それさえ守れば結構楽しめる」 「ふ〜ん・・・」 「あ!ゾロ!!アンタも、もちろん参加するのよ!」 ナミさんが船尾で寝ていたゾロに、声をかけるのが聞こえた。 ゾロの大きな欠伸の声と、ナミさんの投げたウキワが当たる音が立て続けに鳴り響く。 少しして、ドカドカと船尾から戻って来たゾロが、ナミさんに食ってかかった。 「てめぇ・・いいかげんにしろよ!」 ウキワを甲板に叩きつけ、激昂する。 普通なら男でもビビッてしまう気迫なのに、ナミさんはケロっとしてゾロに笑いかけた。 「イチイチつっかからないでよ?イライラの原因は私じゃないでしょうが・・」 「てめぇ・・・」 「知らないとでも?どうしてそんなに怒ってるのか、ちゃんと本人にも言えないくせに! いい迷惑よ・・!迷惑料請求しても払えないのはわかってんだから・・ 大人しくいう事聞きなさい!悪いようにはしないわよ」 「・・・・・・・ほっとけ・・・」 ゾロが怒ってる? そういえば最近昼間、イライラしていることが多い。 何でかな? 俺に相談してくれればいいのにさ?恋人なんだから。 「参加して・・気分も変われば案外上手くいくかもよ」 「・・・・・・」 「・・・・・・・・わかった・・・」 はぁ・・とため息を一つ残して、ゾロはまた船尾に戻って行く。 「あの・・ナミさん?ゾロの奴・・・どうしたんですか・・」 ゾロがいなくなったのを確認して、聞いてみる。 だって、恋人なのに。 俺だけ何も知らないなんて・・・ そんなの嫌だし・・ ナミさんは俺の顔をじっと見つめる。 「・・・・ゾロもね・・考えてる事は一緒なのよ・・誰かさんとね・ でも、口に出来ない不器用さと・・・・怖いのねきっと・・・」 「????」 「まぁ・・・夜はお酒飲んで・・ぱぁ!!と行きましょう」 オレンジの髪を優雅になびかせて、ナミさんは自室に帰っていく。 ・・・・・今夜は少し豪華に行こう!! ゾロがそれで元気になるなら、それもいいだろうし・・。 夜に向けて、俺は腕をまくってキッチンへと入っていった。 騒がしい夕食も終わりに近づいた頃。 ナミさんは、割り箸で即席のクジを作りあげた。 俺もそれにあわせて、テーブルの料理をおつまみに近い物へと変えて行く。 もちろん、船長の前には、新たな肉を置いてやる。 では!王様ゲームをはじめまあす!!ほら!サンジ君も座って」 「ハイ・・ナミさん・・・」 俺は自分のジョッキを持って、ゾロの隣に座る。 ゾロは無言で俺のジョッキにビールをナミナミと注ぎいれてくれた せっかくなので、一気に飲み干す。 また、つがれたビール。 今度は適量分だけ、ゾロの顔を見ると。 薄い唇が動いて、言葉を作った。 『お疲れ』 頬杖をついて、ゾロは少し微笑むとみんなの輪に入っていく。 最初の一杯は、ねぎらいの物だったと知って。 俺は嬉しくてしかたない。 「えーと、では!みんなクジを引いて」 ナミさんの手から、クジが引かれる 俺も引いて割り箸の先を確かめると、『3』とふってあった ナミさんは皆が引いたことを確認すると、最後に残っている自分のクジを確かめ、 みんなに目配せをする。 『王様だーれだ??』 キッチンに声がこだまして、小さく手を上げたのはゾロ。 「・・そうだな・・じゃあ・・3番に命令だ。樽に残った酒を飲み干せ」 ニヤリと笑って、ゾロが番号と命令を口にする。 「えぇ!!マジかよ!!」 俺はいきなりのHITと、命令に驚いて立ち上がってしまった。 「なんだ・・サンジが3番か?うしし・・結構残ってるぞ?酒」 ルフィは楽しそうに笑って、俺の方に樽を持ってくる。 ジョッキに十杯程度の酒が、樽中でタプタプ揺れてい た。 ゾロのように、酒に強くない俺は王様にお伺いをたてるように仰ぎ見た。 そんな俺を見てゾロは何か言いかけようとしたが、ナミさんの言葉にさえぎられる。 「まぁ・・サンジ君頑張って!!」 「ハイ!!」 レディの言葉には逆らえない。 俺は覚悟を決めて、ジョッキに酒を入れると飲み干し始めた。 その間も、ゲームは進行していく。 ウソップが女装させられたり。 ゾロがチョッパーとキスしたり ルフィとウソップがデュエットしたり・・ 結構盛り上がってきたところで、俺はやっと酒を飲み干し終わった。 なんだかクラクラする。 頭を抱えながら、俺はドカリと座り込む。 「大丈夫?サンジ君?」 「・・・・えぇ・・大丈夫・・・ハイ・・」 気持ち悪くはないんだけど・・・なんか頭が痛いし・・・意識も朦朧としてる・・・ そっと、背中に大きな手が添えられた。 ゾロが、黙って俺の背中をさすってくれてる・・ すごく・・・すごく優しいその手のひらに 俺は嬉しくなって・・・・そっとゾロの方を伺った。 いつも以上に優しい瞳。 「じゃ、サンジも戻ったことだし。クジ引くか!!」 先ほどの王様だったウソップがクジを差し出す。 俺は朦朧と意識の中で、数字を確認する。 割り箸の先には、4番の数字。 『王様だーれだ?』 ハイ!! と勢いよく手を上げたナミさん。 「では、2番と1番がキス!!もちろん今度はディープな奴で!!」 「何ーーーーーー!!」 立ち上がって叫んだのは、ゾロとルフィ・・。 ウソップはぎゃははと馬鹿笑いしている。 ムカムカ・・・ 何でだよ・・・ゾロとキスしていいのは俺だけなのに! 何で・・・さっきはチュッパーで・・・今度はルフィなんだよ・・・ このあたりで俺の意識は途切れてしまって・・ 何が何だか良くわからなくなってる・・・ ルフィは酔っているのか、にししと笑ってゾロに近づく。 ゾロはと言うと、テーブルにぐったりとしているサンジが心配なのだが、 ルフィとのディープキスが迫ってオロオロとしてしまっている。 ルフィの顔がすぐソコまで迫って来たとき、バアンと大きな音がした。 ビックリして音の原因に目を向けると、サンジが物凄い剣幕で睨んでいた。 「サ・・サンジ・・・?」 ウソップの声が、静かになったキッチンに響く。 サンジは酔ってるとは思えない素早さで、ナミのクジとルフィのクジをひったくっていった。 「・・・・ゾロは俺の何だから!!ルフィにだって渡さないいんだから!!!!」 皆が呆然としている中、サンジが続ける。 「みんなばっかりゾロと・・・ずるいよう・・俺だって・・」 うぅ・・・っと瞳一杯に涙を溜めたサンジはゾロの側に歩み寄ると、 ガシッと頬を掴んで深く深く唇を重ねた。 何度も何度も深く角度を変えて、ゾロの唇を貪るサンジ。 ゾロも思っても見なかった行動に、驚いてサンジを抱きしめ返すことも忘れていた。 ふっくら、艶々の唇からくちゅくちゅと音が響く頃、 他のクルーはそそくさとキッチンから逃げ出してしまった。 激しいキスにサンジの息が上がった頃、ようやく開放されたゾロの唇。 先ほどのサンジの言葉。 こんなに積極的に行動した事も、言葉にもしなかったサンジが・・・ 酒の上とは言え・・・ 必死に独占したいと言ってくれた・・。 ゾロは嬉しくて、サンジを抱きしめた。 「ゾロ・・・王様の命令だ・・・」 「なんなりと・・」 「もっと甘えさせて・・・昼も・・側にいさせて・・」 肩越しの声に、ゾロはハッとする。 涙を含んだ声。 抱きしめていた体を離すと、案の定サンジの瞳は涙でいっぱいだった。 最近・・見ていなかった蒼・・・ 懐かしい・・母なる海の清々しい・・遠き空の 二つの蒼が混じった不思議な瞳 「ゾロ・・キスして?」 コクンとかしげた首 王様と1番と4番のクジを持った恋人は先ほどの強気な態度を急変させて お伺いをたててくる。 ゾロはそんな不安そうなサンジを堪らなく愛しく細い首にそっと触れながら、 後ろ髪を緩く撫でてやる 「ふああ・・・ん・・・」 柔らかい産毛のような金糸うっとりとした瞳はまだ、 涙がうっすら滲んで輝いている 白い頬に触れながら 「王様・・他には?」 「ふあん・・もっと・・もっと・・キスキス・・ちょーだい?」 ふんわり微笑んだ顔を見てから、ゾロはもっと深く・・唇を塞ぐ。 そっと舌を差し入れると、サンジから絡めてきた。 何度も何度も・・甘い口内を蹂躙して・・ ゾロは静かになった、キッチンの床にそっと腰を下ろした。 サンジを膝に乗せて、向き合うように。 サンジの軽やかな重みが、なんとも言えず気持ち良かった。 「・・・ゾロ・・俺・・」 少し酒が抜けたのか、サンジは恥ずかしさに頬を赤らめて顔を伏せている。 目の前のサラサラの金の糸を撫でながら、ゾロはクスリと笑った。 「・・・淋しかったのか?サンジ・・・」 コクンと微かに頭が揺れる。 「ゲームでも我慢できないくらい・・・俺が欲しいか?」 また小さくコクンと頭が揺れる。 「・・夜以外でも・・・昼間も・・甘えたいんだ・・・」 「そうか・・・」 背中に手を当てて、ゾロはサンジを引き寄せる。 コツンと、ゾロは肩にサンジの額が当たったのを感じた。 「ベタベタするのとか・・・甘えるのゾロ嫌いだろ? でも、俺は昼間も・・・その・・恋人みたいにしてたいんだ」 クスンと鼻がなる。 ゾロはそっと小さな頭に手を置いて、優しく話す。 「嫌じゃねえ・・・オレは・・お前が皆に知られたくないんだろうと思ったから・・・ 昼間は・・・」 「ゾロ?」 「昼間でも・・・近づいて、触れたら・・・きっと抱きたくなるから・・・ キスしたくなるから・・・離れてた」 優しい深み緑の瞳と優しい深み緑の瞳と 驚きに開かれた蒼の瞳が ようやく交差する。 サンジはゾロの顔を仰ぎ見て、その紅くなった精悍な頬にそっと触れる。 暖かい・・ 温もりと・・ サラサラと肌は乾燥していて。 (あぁ・・・ゾロ・・) 言葉に出来ない・・ この想い・・・ こんなに側にいたかったと・・サンジはありったけの想いでゾロに触れていく。 短く柔らかな緑の髪 日に焼けた耳と・・三連と金のピアス 黒い睫も 通った鼻筋も 薄い唇も・・・ そして・・・・温かな生の証が・・ 熱い厚い・・・胸の中心で音をたててる・・ 「もっと・・昼も側にいていい?」 嬉しさに声は掠れていた。 どうして・・こんなに心が揺れるんだろう・・ 今まで生きてきた中で・・ 自分より大切で・・幸せにしたいと思ったことはなかった さらさらの金の髪・・ その容姿ではなくその心を愛しいと思う。 側にいたくて・・ 側にいれば・・我慢できずに求めたくて 抱きたい・・ 触れたい・・ キスしたい・・・ そして・・・もっと愛していたい・・ ゾロはその金の髪から指を引き抜き名残惜しげに、落ちていく髪を目で追った。 無骨な荒れた手で・・ 精一杯の想いを込めて その白磁の肌に触れる 吸い付くような潤った肌は・・・少し紅くて 触れる度に・・少し震えていた それから・・・ 金の睫に触れ・・ 白い頬を何度も撫で 綺麗な形の耳に感動を・・ 少し開かれたシャツの上を滑って、 薄いけれどしっかりとした胸の中心へと・・ そこにある・・しっかりとした音を聞く。 タダそれだけの事で・・・ どうしてこんなに どうして簡単に安らぎを得られるのだろう・・・ ただ・・これだけの事なのに あれだけ・・ギクシャクしていた二人なのに 今は・・まるで同じ生き物のようで・・ 「昼間・・・触れられない分・・近づけない分・・・お前を見ていようと思った・・」 静かに響く・・・ゾロの低い声・・ 何度聞いても 何処で聞いても 何処で聞いても 何を語っても・・・それは何て甘美に聞こえるのだろう 「ずっとそうして・・お前の動きを目で追って・・・ お前の声を頭で反芻して・・・ そして・・・腹がたった・・・」 サンジが見た先には・・・悔しそうな・・顔。 どうしてそんな顔をするの? 何が悪かったの? サンジにはゾロの怒りがわからない・・。 「オレはすでにお前のもんだ・・・身体も・・心も・・何もかも・・ お前が好きに使ってかまわない・・・」 そんなの俺もと言おうとしたサンジより先に、ゾロが続ける。 「けど・・サンジ・・お前は・・みんなのモンなんだ・・ 俺が独り占めしたいのに・・・いつも・・お前の周りにに誰かしらいて・・・ 名前を読んで・・触れて・・笑って・・甘えてるんだ・・・ オレにはできないのに・・・」 サンジは、ようやく気がついた。 ここ最近・・昼間のゾロの不機嫌な理由を・・ どうして、チョッパーを睨んでいたのかを。 そして、ナミさんの言葉。 『・・・・ゾロもね・・考えてる事は一緒なのよ・・誰かさんとね・・ でも、口に出来ない不器用さと・・・・ 怖いのねきっと・・・』 サンジは今更ながら・・自分の浅はかを呪いたくなった。 ゾロのあの瞳・・。 自分のモノと同じではなかったか? 淋しいと言葉に出来ない 甘えたいと言葉に出来ない 側にいてと言葉に出来ない 自分と同じ瞳ではなかったか? サンジの瞳から・・ 一筋の涙が・・ そっと流れた・・こんなに苦しいと思っていたのは自分だけだと思って・・ 一人で・・ゾロを悪く思っていたのに・・ 無骨な指が、 不器用な人が・・・そっと拭ってくれる この優しい人が・・ どれだけ傷ついた事だろう・・ 「・・・サンジ・・昼間も側にいていいか?」 ゾロの少し歪んだ顔。 サンジは当たり前だと・・・ その逞しい首に抱きついた。 ゾロは愛しい想いで綺麗な恋人を抱きしめた。 サンジは・・少しでもゾロの傷が癒えるように抱きしめた 「ゾロ・・もっと甘えさせてな?でないと淋しくて・・・心が死んじゃいそうだよ・・・」 「あぁ・・これから・・嫌ってほど・・甘えさせてやる・・」 クスクスと笑いあって。 明日から・・どうやって過ごそうか・・ 二人で相談しよう。 「なぁ・・オレ・・ゾロとお昼寝したい・・」 「あぁ・・」 「ゾロが枕になって・・二人で寝ような?」 「あぁ・・」 「あんま・・チョッパーと遊ぶな・・」 「ほえ?」 「お前はチョッパーに甘すぎだ・・」 「そうかな?」 「そうだ・・・クリーム位・・自分で取らせろ・・・」 「・・・!!ふふ・・わかった・・今度ゾロにもしてあげる」 「・・・・おう・・」 「だからさ・・・おやつタイムにお茶だけでも飲んで・・」 「・・・おぅ・・・善処する・・・」 「よし!!」 長い長い・・・すれ違いの果て。 やっと二人少し向き合えて・・ 明日からのおやつはゾロ用のモノを作ろうとか サンジが片付け終わるまで・・ 昼寝は待っていようとか・・・ まだまだ、新米の恋人達は・・・ 眠れぬ夜を それはそれは楽しく甘く 月明かりに祝福されて 過ごすのです・・・。 |
<コメント> いかがだったでしょうか? 茜色の雷様(略して、茜様)の素敵SS もう、ゾロが、優しくて素敵vv うちのとこのゾロに比べると、かなり、大人だよなあ・・・ この後の続きも、頂いてるんですけど・・・ 全4部作の、大作なのです! なるべく早いうちに・・・UPします・・・ 茜様〜、全部UPしてからご連絡する予定の ルナを、許してちょ!! でも、我慢できない貴女!! こちらから、茜様のサイトへLet’Go! <treasure> <map> |