白い世界のその先に・・・






夢を見た
寒い・・・のだろうか・・
目の前は真っ白な世界で・・・
でも、耳を突くような痛み・・・やはり・・
寒いのかも知れないと思う



何故だろう・・・
夢だとわかっている夢・・・
いつもは夢なのか・・現実なのかなんてあまり気にした事もないのに
今の夢は・・・
間違いなく夢だと思う。




夢を見た
白い世界が広がって
とりあえず、その眩しい世界に一歩踏み出す



ザクザク



小気味良い足音
足元を見れば
真っ白な雪・・
なんだ・・雪が降ってるのか・・・
やっと理解して、顔を上げると
・・・・・
目の前に眩しい銀世界
光輝き
まばゆく・・・目を瞑る事も意味をなさない程の
真っ白な世界



ザクザク
ザクザク



真っ直ぐに・・・真っ直ぐに・・・
雪を掻き分けて
進んでいく
気が付けば・・・冬用のロングコートを身につけていた

歩くたび
歩くたび

雪は光の結晶のように目の前を舞い
さらさらと消えて行く
それは優しい音色をたてて

先に何があるのか知らない
これは夢だとその確信と
この先に行かねばならないと
そんなおかしな義務感

真っ白の世界に
ただ一人
すでに自分がどちらから歩いて来たのか
真っ直ぐ歩いているのかもわからない
それでも
ただ、前に進む事だけが・・
唯一オレにわかる事で・・・

真っ直ぐ
真っ直ぐ

歩く
歩く

その度にオレの周りでは優しい音色と
光が舞う


どうか・・
この先に何かある事を
祈って



何処までも
何処までも

ただ何処までも広く
ただ何処までも優しく
ただ何処までも白い


この世界にもしかして一人なのではないかと
ふと思い・・・
もちろん夢なのだとわかっているのだけれど
それでも
今この世界に一人ではないのだろうかと思うと
足の動きは止まってしまって
自分の吐く息が
白い事に初めて気が付いた


あぁ・・・
一人で生きていると思っていたのに
現実でも・・いつでも一人と思っていたのに・・・
気が付けば・・・・周りに色んな人がいたのだと
今気が付く

こんなに一人である事が静かだと
誰が・・・誰が・・・
知っているのだろう・・・一人で生きているなんて・・・
そんな傲慢なことをどうして思っていたのだろう


世界はこんなに静かなのだ
一人とは
こんなにも・・・

涙も出ず
声も出ず・・・
何も考えられない・・・・虚無の世界なのだと

ただ吐く息だけが白い・・・・













































ただ・・・白い世界で・・
夢のはずのこの世界で・・・・
































































こんなに孤独な者は・・・






















































涙を流す事すら





































声をもらす事すら・・・・・









































忘れてしまうのだ







































そして・・・・・・いつか・・・・・
































































自分さえも・・・・・・













































忘れて


























しまうのだろうか・・・
























































夢の世界で
ふと仰ぎ見ると空は見えず
もう一度

目の前の世界を見ると
ぼんやりと
































何かが見える









何でもいいい
自分以外の物を
オレは求めて・・・・・また歩く気力を取り戻す








ザクザク
ザクザク












掻き分けて
進んだ先に




































あぁ















































どうか・・・・・

この幸福を失くさぬ事を願います
















































君が佇む













































微笑んで
微笑んで









































その光る金の髪も
穏やかな微笑をたたえる
その淡い蒼の瞳も































こんなに嬉しいなんて
こんなに愛してるなんて













君が溶ける
君が微笑む
君が・・・・・・・・・
ここにいる






























































白い世界は・・・
そしてそこにいるオレは・・・・
救われる























































+++++++++++++++++++++++++++++++
+++

夢を見た
不意に目覚めて瞳を開く



濡れた感触に
頬を流れる感触に



夢であった事を実感する
もう一人では生きられない



もう一人では・・・・




君を見つけたから
君に会ってしまったから


君を愛してしまったから



もう・・・他に何も見えぬほどの
恋をしているから



あの白い世界が
昔の自分なら
なんて悲しい世界なのだろう・・・
美しいけれど
それは・・・生きてはいない
生きている事を実感できない
そんな世界に何の未練もない

君に会えた事
君が微笑む事
君が側にいる事



その全てが
きっと

必要だった事・・・・




他の者を起さぬように甲板に出て
船首にいる

金の髪
白い肌
黒い細身の君




天に手をかざし
何かを待つ仕草の君



足音に気がつき
君が振り返る

あぁ・・・・そう・・ここにいたのに
君はこんなにもはっきりと輝いている


「おはよ・・・ゾロ・早いな・・・・・」

君の声
君の瞳

大好きなのだ・・
失くしたくない

「抱きしめて・・・いいか・・・?」

神様
この人を全部欲しい
この人の側で・・・死んだ先も・・・
側にいたい


驚いた顔
でも、頷いて・・・・オレはそっと背後から抱きしめる
触れたかった
あの夢でも
君に
触れたかった・・・きっとそこから
雪は溶けだして行くだろうに

「怖い夢でもみたか?」
「・・・・そんなとこだ・・・」

クスクスと笑う君の声
いつまでも笑っていて
オレの側で・・微笑んで
幸せでいて・・・・


「ほら・・・雪が降ってる・・・・きっと積もる・・・」
「・・・・・・・」


「ホワイトクリスマス・・・だな・・・・ゾロ・・・」





「・・・・そうだな・・・メリー・クリスマス・・・・サンジ・・・」






あぁ・・・
どうかもう二度と



あの白い世界に戻らぬ事を・・・





Fin



<コメント>

茜ちゃまのサイトより頂いてきましたvv
本当に、優しくて、ゾロの想いが凝縮された作品ですよねvv
ゾロのひたむきな想いとサンジの包み込む温かさが妙にジンときました。
こんな素敵なSSがある茜ちゃまのサイトは、
こちらから、飛べますですよ〜っv

<treasure>   <index>