キスから始まる日常、非日常 |
「いい加減起きやがれ!クソマリモ!」
ドカッとソファで未だ夢の中の住人の鳩尾目掛けて膝頭一発・・・多少手加減は加えて。 「おはよ・・・ぅッ?!」 言葉も言い終わらないうちに塞がれた唇に慌てて身を捩るが、時既に遅し・・・ 「・・・・今、スルんなら、当分てめェにゃ、近づかねぇからな。」
間髪居れずに、冷ややかな声でそう告げる。 「んー・・・? クク・・・当分?」
俺の思考を見透かしたような視線で口角僅かに歪める程度の笑みを浮かべ、人の表情を覗 「と、当分だ!」 その視線に耐え切れずに瞳を閉じて、再びそう告げる。 「んじゃ・・・今、ヤラなかったら、今夜も、だな・・・」 不意に耳元に感じた吐息に、慌てて耳を塞ぐ。 「なっ、な・・・なに・・・何を・・・」
心臓がバクバクとウザい。 「っざけた事抜かしてねぇで、さっさと起きて飯食えやっ!!」 そう怒鳴って、奴の顔面に腹いせ混じえて蹴りを入れ、そそくさとその寝室を後にした。
「・・・まったく・・・いつも、これだ・・・」
部屋を出てキッチンへ向かい、食事を温め直す。 「おはよう、サンジくんv」 「おっはようございま〜すvv ナミすわんv 今朝も麗しい〜vv」 「ああ、あたし、オレンジアッサムねv」 「かしこまりました〜〜vv」 やっぱ、朝はこうでなくちゃ。 「おはよう、サンジ・・・」 「おう! なんだまだ眠そうだな? ぅし!チョッパー手伝ってくれ!」 「うん!!」
おー・・・可愛い、可愛い・・・家族って、きっとこんな感じだよな。 「よぉ! 今朝も元気か?諸君!! ところで俺の飯はどこだい?サンジ君!」 「ハイハイ、今出すから、とっととそこに座っとけ。」
クソ・・・もう来たか。 「サンジィー・・・腹減って動け・・・」 「座ってねぇといつまでも食えねェぞ。」 「煤I!座った! ほら!座った!!飯だ!飯!! めーし!めーし!!」 「・・・じゃかましわっ!!」
苛々もピークに達した頃のルフィの飯コールに堪らず、踵を奴の頭目掛けて振り下ろし、奴を 「おはよう、コックさん。今朝も賑やかね?」 「あ、おはようv ロビンちゃんも相変わらず素敵な笑顔だ〜v」
クスクスと素敵な微笑のロビンちゃんに少し持ち直して、いそいそと配膳に取り掛かった。 「ったく、毎朝、毎朝・・・一緒に食えよな、いい加減・・・片付けできねェだろが・・・」 背後に立った気配に、そう吐き捨てて振り向きざまに奴へ皿に乗せた飯を差し出す。 「ん・・・はよ・・・」
未だ覚醒には程遠いのか、素直に返事する今瞳の前に居る奴は、すこぶる可愛い。 「おう! はよーさん!ほら、食え。」
気分は飼育係のお兄さんってとこだ。 「おう。 その前に・・・」 唇から煙草の感触が消え、スッと唇を何かが掠めた。 「おはようのキスだな・・・」
かぷかぷとじゃれつくような口付けの合間に舌先でその輪郭をなぞられる。 「っばっか・・・止め・・・・ッん・・・」
抗議の為に開いた唇に容赦なく奴の舌が滑り込んできて・・・呆気なく言葉を制された。 「ッ・・・ぁっ・・・んん!!」 気の遠くなる感覚に慌てて顔を振り、奴の唇から逃れる。 「ッ・・・はぁ・・・っ・・・殺す気かっ!!」
新鮮な空気を肺一杯に入れて、俺は奴に罵声を浴びせる。 「クク・・・んな面で言われてもな。 テメエだってノリノリだったじゃねェか。」
したり顔でそう言うと、奴は料理が落ちそうな皿を事も無げに俺から奪い、さっさと席に座って 「・・・・見てろよ、このエロマリモ・・・」 奴に聞こえねェように小声で呟いて、俺はリベンジを決意した。
朝起きると、奴はもう居ねェ。
甲板からルフィの声・・・邪魔者は去ったか。
余談・・・ 「なんだ、この写真はっ!!!」 「い、いや、でも、この写真しか奴の顔が映っているのが・・・」 「ロロノア・・・」
とある海軍基地で入手した写真を手にワナワナと震えるスモーカー大佐。 「ス、スモーカー大佐・・・」 尋常じゃないその表情に怯える海兵を尻目に、スモーカーは怒声を発した。 「ちょっと貸せ!その写真!!」 「あ、何を、大佐?! 大・・・佐?」 唖然とする海兵に、何やら描き始めたスモーカー大佐。 「これを本部へ回しとけ。」 「こ、これをですか・・・」 「良いから、とっとと送ってこい!!」 「イ、イエッサー!! はい!わかりました!」
バタバタと指示されたままに、部屋を出て行った海兵。
「・・・・・悪かった、金髪の・・・・」
己の刹那的な激昂のまま落書きした失態に、そっとコックに詫びるスモーカーの姿があった
|
<コメント> 無断リンクのお詫び(ぇ?)に久しぶりに、本当どれくらいぶりだろう、文ってもんを書いてみました。 お題は「キス」って事で・・・・ やっぱり、まだまだ修行が足りないなぁ・・・自分の文の拙さにへにょ・・・(笑) こんなもんでもよろしいんでしょうか・・・(おろおろ) 大好きな貴女へ・・返礼も兼ねてv ケムリンはサービスです。(爆) 描いてくれるんだよね?挿絵・・・(にっこりv) |