GET BACK!



 




燦々と降り注ぐ日差し、晴天続きのゴーイングメリー号は、今日も賑やか。

「おー、ウソップ、何持ってんだ?」

見慣れない物を持って、何やら考え込んでいるウソップに、ルフィがそう声を掛けた。

「あ?ああ、ルフィ。この前の街の雑貨屋で、これを買ってきたんだが、どういう風に改良する

か考えてたんだ。」

「なんだぁ?これ?? 玉に紐ついてブラブラ・・・・なぁ、なんなんだぁ、これ? すんげぇな、

飛ぶのか?! それともボンって爆発すんのかぁ?!」

「ちげーよ! これはなぁ、アメリカンクラッカーと言って、おもちゃの一種で、こうやって・・・・」

ウソップはルフィにそう言って、やってみせる。

カチカチとリズミカルにぶつかり合う二つの玉。

「すんげぇ!! すんげぇよ!ウソップ!! うははぁ〜!!」

だんだんとスピードを上げてカチカチと忙しなく音を鳴らすソレにルフィは釘付け。

ウソップも調子に乗って、一段と手を激しく振って鳴らし続けた。

「俺もやってみてえ!! なぁ、貸して、貸してぇ??」

「ああ、良いけど、ルフィ。気をつけろよ。」

そう言って、ルフィはウソップからアメリカンクラッカーを借りる。

「ニシシ・・・わかってるって!!」

嬉々として、ルフィは腕を振り始めた。

「すんげぇ面白え!! ゴムゴムのぉ〜・・・・・・クラッカー!!」

ルフィの振り方にも熱が篭る。

が、しかし・・・・

あまりの激しさに、頑丈に括り付けられてる筈の紐が千切れ、その玉が離れて飛んでいく。

しかも、その先には・・・・

「うごっ! 痛ェーーーーッ!!」

「あ・・・・ゾロ。」

「ヒィー!!」

ルフィとウソップの見つめる先には、額を押さえるゾロの姿。

「おー!やっぱ武器だったんだな、それ。 あれ?ウソップは??」

そう言って横を見たルフィの隣には、ウソップの姿は忽然と消えていた。

「ルフィーッ!!」

「いやぁー、ゾロ。 悪い、悪い! つい、ツルッとな・・・?」

「ツルッとじゃねえ!! イタタ・・・ん? なんだ、これ・・・・へぇ・・・懐かしいな。」

手の中にある緑色の玉を懐かしそうに見つめるゾロ。

「ん? ゾロもこれ、知ってんのかぁ?」

「ああ、ガキの頃、よくやってた。 んな立派なもんじゃなかったけどな。 どら、それ、貸してみ

ろ。」

「ん? ああ、ほい。」

ゾロに言われるまま、ルフィは手に持っていたもう片方を差し出した。

「ん・・・・これなら括り直すだけで良いな。 よっと・・・・」

ゾロは、千切れた紐を再度結び直し、左右の長さも調節し、その玩具を修理する。

「よし! 出来た!」

掛け声と共に、アメリカンクラッカーはゾロの手でカチカチとまた小気味良い音を立て始めた。

「うおっ! すげェーなぁ、ゾロ。」

「おーっ! 確かに俺様が指導してやったように、ちゃんと直せてるな。 よし、さすがは、

ゾロ・・・」

「いや、てめえ、今まで居なかっただろ!!」

急に降って湧いたように現れたウソップに即座にそう突っ込みを入れるゾロ。

「いや、この際、気にするな!」

「そっか、ウソップのおかげなんだな。 さすがは、ウソップ。」

「おう。 俺様にかかれば、これくらい・・・」

「違うだろ!!」

甲板は、三人の掛け合いと笑い声が響いていた。






「何をはしゃいでんだ? 珍しい・・・この時間に、あの寝腐れマリモが起きているなんて・・・」

キッチンの窓から聞こえる楽しそうな声に誘われ、サンジは不思議そうに覗いてみる。

「しかも・・・・・なんて無邪気な・・・ハッ! いかん、いかん。 俺様としたことが、思わずあの

顔にキュンと・・・・って、オイ。 俺は何を言って・・・・」

キッチンの窓から、その様子を覗いていたサンジは、自分の思考に思わず、がっくりと肩を落

とした。

しかし、暫くすると、なんだかムカムカしてくる。

自分だけ仲間外れにされているような・・・・

「大体、あんな顔、俺には見せねえ癖して、あのクソマリモ・・・・」

それが、嫉妬であるとは、サンジは思ってもしない。

ただ釈然とムカついてるのだ。

サンジは、冷たい飲み物を人数分トレーに載せると、心持ち急いで甲板に向かった。

「ほれ、喉渇いてんだろ? 差し入れだ。」

「おっ! サンジ、気が利くな。 サンキュー。」

言葉より先に、ルフィがトレーに手を伸ばす。

「ん?なんだそりゃ?」

ゾロの手にあるアメリカンクラッカーに気が付き、そう尋ねてみる。

「ああ、これか? これはだな・・・」

「ん?? なんだ、サンジ、知らねーのか? こんなに有名な玩具を・・・」

ゾロが先程盗み見ていた笑顔でサンジに説明しようとした矢先、ウソップが話に割り込んで

ゾロの手からアメリカンクラッカーを奪い、得意げにサンジに説明しようとした。




この長っ鼻! せっかくのところを邪魔すんじゃねえ!

てめえに聞いてねえんだよ!!




視線にやや威嚇の意を込め、ウソップに投げかけてみる。

が、しかし、その視線に気が付いたのは、ウソップではなく、ゾロであった。

「あ? なにウソップにガンたれてんだよ?てめえ・・・・クク・・・・」

ゾロは、サンジの真情を見透かしたかのように意味深に笑う。

「べ別になんでもねえよ!! ・・・・チッ・・」

ついどもってしまった自分に、サンジは小さく舌打ちをした。

「ん?サンジ、おめェも一緒にするかぁ?」

能天気なルフィがそう声をかける。

「しねえよっ!!」

「ふーん・・・。 そんな事言って本当は遊び方も知らなかったりして・・・」

居たたまれずにその場を去ろうとしたサンジの背中にぼそりとゾロの声が聞こえた。

「なんだとぉ?!」

その言葉と共に、ぴたりと足の動きが止まり、背中から、ゴゴゴッと効果音でも聞こえそうな

気迫を背負ったサンジが振り返る。

「ほらっ・・・・」

間髪いれずに、ゾロがサンジにそれを放りやった。

初めて見るその玩具に一瞬戸惑った表情を見せるサンジ。




ええい、ままよ!!




サンジは適当に腕を振り、音を鳴らそうとするがなかなか思うようには音が続かない。

瞳の前には、やや口角を上げ笑いを抑えてる表情のゾロの姿。

かぁっと全身に火がついたような羞恥心が巻き起こる。

何笑ってんだよっ!と怒鳴りつけてやりたいが、それはさすがに大人気ない。

「・・・・・・さてと・・・ガキの遊びも大概にして、俺は美しいナミさん達にアフタヌーンティのおか

わりをお持ちしなくては・・・」

サンジはゆっくりとその玩具をルフィに手渡すと、煙草を銜え、何気ない表情でキッチンに

戻っていった。

「・・・・・どうしたんだ?サンジ?」

「クク・・・・いや、放っといてやれよ・・・」

キョトンとしたルフィにゾロは、そう笑いながら告げる。

 

一方、こちらはキッチンに居るサンジ。

甲板からは、ずっとあの後も三人の笑い声が聞こえてくる。

チラッと窓から覗けば、子供のように無邪気に笑うゾロが瞳に入り、サンジは、ますます心穏

やかでなくなってきた。

「チクショ!!チクショ!チクショーッ!!」

ダンッと力任せに包丁を振り下ろし、そのイライラした態度に、食卓で本を読んでいたチョッパ

ーが慌ててサンジの元へ近づいてくる。

「どどうしたんだ?サンジ? なんかあったのか?」

「いや・・・・なんでもねえ。」

そうチョッパーに返事したものの、聞こえてくる笑い声につい反応してしまうサンジ。

「ん?? あ、そう言えば、ゾロたち、なんか楽しそうだな。 俺も行ってこようかな・・・・サンジ

も行く?」

「行かねえよっ!!」

急に怒声に変わったサンジの声にチョッパーはビクッと身を竦ませた。

「あ、ああ、悪い。 俺さ、今、忙しくてさ・・・・ここ、離れられねえんだ。 お前一人で行って来

い・・・」

いつもの様に柔らかな笑顔を向け、サンジはチョッパーにそう言う。

「う、うん・・・・・」

そう返事してチョッパーは言われるままキッチンを後にした。











その夜。

「さてと・・・・これで仕込みも万全。 俺もシャワー浴びて早く寝るとするか・・・」

クルーたちが寝静まったキッチンでサンジがそう呟き、風呂場へと向かう。

途中、歩いてた足にカツンと何かが当たった。

何気なく取り上げてみれば、昼間ゾロ達が遊んでいたアメリカンクラッカー。

「・・・・何が面白いんだ。 んな単純なもん・・・」

昼間の光景が目に浮かび、思わずそのまま海に投げ捨てようかとした腕を不意に誰かが掴

んだ。

ゾロだった。

「てめえ、何一人でぶつくさ言ってんだ?ん?」

「別になんでもねえよ。 それよかてめえ、見張りはどうした。見張りは・・・」

間が悪く現われたゾロに、サンジは不機嫌そうにそう言い返す。

「あ? 喉が渇いたから、なんか飲もうかと・・・・」

「・・・・・そうか。 じゃあ、キッチンの酒棚の一番下から適当になんか持って行けよ。 俺はひ

とっ風呂浴びたら、もう寝るから・・・」

ヒラヒラと手を振りながら、サンジはゾロの傍を離れ、風呂場に向かう。

「あ、そうそう、これ・・・・・落ちてたぜ?」

ふと気がついたように、サンジは振り向きざまに手にしていたアメリカンクラッカーをゾロに投

げた。

「んじゃな!」

ゾロの掌にそれが収まったのを確認する事もせず、サンジの姿は風呂場へと消える。

ゾロは、ジッとその玩具を見つけると、不意に何かを思いついたように口角を上げ歩き出した。

「はぁ・・・・疲れた。 にしても、昼間のあれはムカついたよな・・・別にあんなもんできなくても

良いじゃねえかよ・・・・ったく、あのクソマリモ・・・・」

「クソマリモで悪かったな。」

自分の言葉に間近で返ってきた言葉にギョッとして振り返るサンジ。

「な、なんで、てめえ?!」

「なんでって・・・・教えてやろうかと思ってな・・・・」

裏返り上ずったサンジの声と対照的に冷ややかな口調のゾロの声。

その手には、サンジの投げたアメリカンクラッカー。

サンジは直感的に身の危険を感じ、後退った。

「クク・・・・・何後退りしてんだよ・・・」

「うるせー! てめえこそ気配消して入ってくんじゃねーっ!! そこを退け! もう出る!」

強行突破とばかりにゾロに不意の蹴りをお見舞いしすり抜けようとするサンジ。

だが、それさえ見透かしたようにスッとその蹴りを避けると、ゾロはサンジの身体を後ろから抱

きしめた。

「な、な、なんだよ! 離せ! 離しやがれ!」

ジタバタともがき暴れるサンジの耳元にゾロは唇を寄せ息を吹きかける。

「あっ! それ、止め・・・・反則だ・・・・クソ・・・止め・・・」

「・・・・・ヤリてえ・・・・イヤ・・・・か?」

耳元で囁かれるゾロの声にゾクンと背筋を剃らせ、サンジの抵抗が徐々に収まっていく。

「クソ、てめ・・・卑怯もん・・・・」

サンジは恨めしげにゾロを睨みつけると、そのままゾロの腕の中に身を預けた。

「・・・・あっ・・・・・んぁっ・・・・・ゾ・・・・ロッ・・・・俺・・・・もっ・・・・」

的確に中の要所を攻めてくるゾロの指にサンジは堪らず腰を揺すり、潤んだ瞳でゾロを見返

す。

「クク・・・・いつもそれくらい素直だと良いんだがな・・・待ってろ・・・」

風呂場の壁に両手を付かせサンジの双丘を突き出させ、徐に何かを秘蕾に宛がうゾロ。

「ふぁっ! あっ、ヤ・・・・・なに・・・・グッ・・・・て、てめえ・・・・なに・・・・挿れ・・・」

中に埋め込まれた無機質な感覚に、サンジは思わず振り返る。

「クク・・・・てめえにも鳴らしてやろうかと思ってな・・・・」

サンジの表情にニヤリと笑みを返しながら、ゾロは再度また何かを埋め込んだ。

ゴクリとサンジの喉が鳴る。




・・・・・まさか・・・・・

いや、まさかだろ・・・・・けど・・・・・・




サンジは自らの考えを否定するかのように頭を左右に振った。

と同時に、強烈な圧迫感が内部から生じる。

「くはぁっ・・・・ッ・・・・ゾロ・・・・てめえ・・・・なに・・・を・・・・ッ・・・」

息を吐かせぬほどの圧迫感にサンジは絶え絶えにそう声を絞り出すのがやっと。

「ッ・・・・やっぱ、2個はキツいか・・・・けど、入るもんだな、結構・・・・」

「まさか、てめえ!! あっ・・・・ハッ・・・んヤッ・・・あああっ・・・ぁう・・・・」

自分の考えに間違いがなかった事を確信し、抗議しようと口を開いたサンジだったが、ゾロの

容赦ない動きにその抗議が嬌声に変わる。

自分の中でカツカツと音を立てるソレが、中で最奥をぐりぐりと押し広げていくのがわかる。

「ゾロ!! クッ・・・・ヤッ・・・・止め・・・あぅっ! ヤッ・・・・おかしく・・・おかしくなっち・・・ま

う・・・ああっ・・・・」

力の入りきれなくなったサンジの膝がガクンと崩れた。

「まだだ。 これから、だろ?」

ニッと狡猾な笑みを浮かべ、自分を支えるゾロの動きがますます激しくなる。

「ヒッ! ぅあ・・・・あ・・・あ・・・・クッ・・・・んああっ・・・・」

無造作に体勢を入れ替えられ、サンジは壁に背をつけ抱き抱えられた。

必死の抗議か無意識か、サンジの爪がゾロの背中に傷を作る。

少しだけ顔を歪ませて、それでも口とは裏腹に切羽詰った表情を浮かべるゾロに、満たされ

る。

自分だけが特別だと感じられる時間。

見つめる視線の先に映る誰も知らない表情を浮かべるゾロ。

自然の摂理に反した行為。

それでも、求める熱は本物で、満たされる身体は正直で、囚われてる自分が居た。

「クッ・・・・あっ・・・・も・・・あああっ!!」

ビクンとサンジの背中が反る。

吐き出された精が互いの間に迸った。

ほぼ同時に、低い声と共に、サンジの中にゾロのそれも注がれた。

流れ続けるシャワーの音だけが、室内に響く。

互いに熱の余韻を貪るように何度も口付けた。

「クク・・・・どうだった?」

不意に唇を離し、サンジに告げるゾロ。

それは、まるで悪戯に成功した子供のような笑顔付きで・・・

サンジの中にカァッとこみ上げる羞恥心とイイように流されてしまった口惜しさが込み上げる。

ドカッ!!

サンジの放った渾身の膝蹴りがゾロの鳩尾に決まる。

それから、気を失いその場に崩れ落ちたゾロを尻目に、自分の中に埋め込まれたソレを引き

抜き、サンジは速攻で闇の海に投げ捨てた。

 

翌日。

甲板では必死になってウソップとルフィとチョッパーがソレを探し回っていた。

傍らには、満足げに眠りこけている剣士と・・・・いつも以上に不機嫌を纏い彼を起こそうとする

コックの姿。

「なぁ、サンジ! アメリカンなんとかってカチカチなるアレ、知らねーかぁ?」

このルフィの言葉で、戦闘開始。

「てめえとはもう金輪際シねえっ!!」

「ァア?! 遊び方を教えてやっただけだろ!!」

「ざけんなっ!! オロす!!」

甲板で繰り広げられる日常の光景。

「な〜んだ、サンジ。 ゾロに教えて貰ったのかぁ・・・良いなぁ・・・」

ボソッと囁かれたチョッパーの言葉が、青い海に消えていく。

ゴーイングメリー号、今日も楽しい航海が続くのであった。






<END>




 


<コメント>

久しぶりのキリリクは、梅秀あかね様のリクエストで
『ゾロサンでゾロが小さい頃の遊びを思い出して思わずまた熱中してしまい、
サンジはそれについていけず…。』な話を、でした。
エロ有りに使えるものと・・・真っ先にアメリカンクラッカーを思い出してしまった。(笑)
こ、こんなもんでよござんしょうか?(ドキドキ)

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