ハピバ☆ビバ!!



 




今日は、俺の誕生日!

ゾロ、ちゃんとわかってるよな?

昨日、ちゃんと言ったもんな。

ゾロ、ちゃんと返事したもんな。

ちょっと寝てたけど・・・・・

「ああ。」って・・・・・・言ってくれたもん。

今朝だって、「ちゃんと早く帰ってくるんだぞ。」って言ったら、

「おう。」って笑って返事してくれてたし・・・・




なのに・・・・・・

なんで、帰ってきてくれねえんだよぅ・・・・

もう9時だぞ・・・・

せっかくのご馳走が冷めちゃったじゃねえか。

ゾロの・・・・・馬鹿・・・・・




俺はサンジ。

新婚一年目にして、幸せ真っ只中の専業主婦。

んでもって、今日は俺の誕生日。

とびっきり上等なワインとご馳走を用意して、二人っきりでお祝いする・・・・・予定・・・

だったのにぃーーっ!!

肝心の旦那様は、未だに帰宅せず、俺はイライラしながら、壁に掛かった時計と睨めっこ。

「遅え!! なにやってんだ!あの馬鹿亭主!! 後一時間待って来なかったら、俺、実家

に帰るからな! もう・・・・・早く帰って来いよぅ・・・・・淋しいじゃんか・・・・馬鹿ゾロ・・・・」

この日のために誂えた深紅のテーブルクロスの上にがくんと頭を押し付けて、俺はちょっぴり

涙目。

「・・・・・・まさか、忘れてる、なんてことはねえよな? いくらボーっとしてるゾロでも、俺の誕

生日くらいは覚えてるよな? だって、自分の誕生日の日に、俺に、ってこれプレゼントしてく

れたくらいだもん。 ゾロに限って、それはねえよ・・・」

昨年のゾロの誕生日に貰ったペンダントを手で弄くりながら、その先端についている宝石を見

つめる。

きらきらと輝くそれは、俺の瞳とおんなじ蒼。

誕生石は、身につける人に幸せをもたらすという。

なのに・・・・・・

不意に、ポケットの中の携帯電話が鳴る。




ゾロだ!!




俺は、弾む心を抑え、わざとごく普通を装って電話に出た。

「あ、サンジ? 悪い・・・・今日、遅くなりそうなんだ。 先に寝てて構わないから・・・」

本当にすまなそうにゾロがそう言う。

けど・・・・・・・

俺の誕生日については一言もねえ。

そう言えば、おめでとうって言葉も、今日まだ貰ってねえ。




もしかして、ゾロ・・・・・・




「・・・・・ゾロ、今日何の日か知ってる??」

それでも俺は、一縷の望みを掛けてゾロに尋ねる。

ややハーフトーン上げた声で・・・・聞いてみた。

「あ? 今日?? ・・・・・なんだっけか。 バラティエの定休日?」

「そりゃそうだけど・・・って違う!!」

んー・・・・・あ、WJの日か! わかってる、ちゃんと買って帰るから!」

「そうじゃなくて・・・・」

「あ、悪い、サンジ。 もう仕事に戻らなきゃ・・・・ごめんな、ちゃんと買って帰るから!」

俺の言葉にそれだけ言うと、ゾロは一方的に電話を切った。




やっぱ、忘れてんだ。

ゾロの莫迦ーーーーーっ!!




俺は、ガシャンとテーブルの上のグラスを弾き飛ばしてその場に伏す。

グラスは、音を響かせて、床の上で粉々に砕け散った。




俺の心と一緒・・・




「チクショー! こうなったら一人で街に繰り出して、馬鹿騒ぎしてやるぅーっ!」

俺は独りそう叫んで、ジャケットを羽織ると街に飛び出す。

賑やかで華やかなネオン。

独りでこんな夜に街に出たのは、結婚以来、初めてで・・・

ゾロと歩く街並みは、いつも楽しさと幸せしか感じなかったのに

今、同じ道を歩いているのに、雑踏の中、侘しさしか感じられない。

「・・・・・・ゾロの莫迦・・・・」

こみ上げてくる涙にゴシゴシと瞳を擦りながら、俯いてただひたすらに歩いた。

気が付くと、そこは、ゾロの居る会社の前。

無意識に、足がゾロを慕ってやってきてしまったのか。

俺はそのビルをジィッといつまでも見つめていた。

真っ暗なビルに灯る一角の部屋。

あの部屋にゾロは居るのだ。

俺の事も忘れ、仕事に没頭して・・・

花冷えしたビル風に煽られ、俺はブルッと身震いをする。

心の芯まで冷えそうな・・・そんな空気。

このままじゃいつまでたっても埒が明かないと、家に戻ろうと踵を返した瞬間、声が掛かった。

「あの・・・・・サンジさんですよ、ね?」

「エッ?!」

振り返ると、知らない若い女性だった。

「ロロノア課長の奥さんのサンジさんですよね? あの、本当に・・・・ごめんなさい、ごめんな

さい、ごめんなさい!!」

その女性はそう言って、振り子鳥のようにペコペコと俺に頭を下げ続ける。

「いや、あの・・・・」

「あ、あたし、申し遅れました。 たしぎと言います。 いつもロロノア課長にはお世話になって

いて・・・・・ごめんなさい。 今日の残業もあたしのせいなんです。 今日は絶対に早く帰るん

だって、課長、そう言ってたのに・・・・あたしが、どじ踏んだせいで・・・・本当に、ごめんなさ

い・・・」

一方的に深々と頭を下げられ、俺は困惑した。

「いや、ま・・・そんなに謝らなくても、良いですから。 あ、じゃあ、ゾロに伝えてください。 俺

の事は気にせずに仕事頑張れって・・・・じゃあ・・・・」

何でこのたしぎさんが、自分がゾロの奥さんだと知っているのか?

ゾロの残業の理由がわかったのと、ゾロ自身が、早く帰ろうと思っていたのを知って、俺は頭

の中をフル回転させながらも、その場を離れようと一歩を踏み出す。

「あっ、待ってください! せっかくだから、ご自分の口で伝えたらどうですか? 幸いあまり会

社に人残ってないですし・・・・」

「あ、いや、仕事の邪魔になるし・・・」

「大丈夫ですよ。 ロロノア課長きっと喜びますよ。 毎日、お弁当幸せそうに食べてて、料理

が凄く上手だって、いっつもあたし達惚気られてるんですから・・・・」

渋る俺の背中をぐいぐいと押しながら、たしぎさんはビルのオフィスに俺を連れて入った。

「課長! お客様です!!」

悪戯っ子の様に嬉々としたたしぎさんの声がオフィスに響く。

中に居た社員の人達の視線が一心に俺に突き刺さった。

「あれ? サンジさん?」

「サンジさんじゃないですか?」

「うっわぁ・・・・本当にサンジさんだ・・・」

俺は全然逢った事もないのに、皆は俺の顔を知っていて、俺は唖然として声も出ない。

「課長、言ってた通りの素敵な方ですね?」

「うっさい!! 早く仕事片付けろよ!」

冷やかし半分の口調に、ゾロが慌てて俺の傍に駆け寄ってきた。

「どうしたんだよ・・・・家に居たんじゃなかったのか・・・・」

ボソッと不機嫌そうにそう告げられた。




やっぱ、俺、迷惑だったんだな・・・

来なきゃ良かった。




「ん、ごめん。 俺、帰る。 仕事・・・・頑張れな?」

グッと涙が出そうになるのを堪え、そう返事してドアノブに手を掛ける。

「あ、いや・・・・・・ごめんな、今日。 も少しで片付きそうだから・・・・そこに座って待っててく

れ。」

「けど、俺が居たら邪魔だろ? だったら・・・」

「大丈夫ですよ、サンジさん。 貴方がいらっしゃる方が課長もやる気出ると思いますか

ら・・・」

ゾロの言葉に渋る俺に、社員の一人からそう声が掛かる。

「クスクス・・・・そうそう・・・」

くすくすと社内に響き渡る含み笑い。

「いーから、さっさと仕事終わらせるぞ!!」

照れたように発破を飛ばすゾロ。

的確に部下に指示を出し、きびきびと動き回る姿は、いつものゾロとは全く違う姿。




仕事をするゾロって、カッキィーーー!!




俺は惚れ惚れしながらその姿をジッと見つめた。

なんだか、出逢った頃を思い出して、胸がキュンとした。

傍に居るだけで幸せだった筈なのに、いつの間にか、欲張りになってた自分に気付く。

「うっし! 終了!! 皆、ごくろうさん! もう帰って良いぜ?」

そう言ったゾロの声に我に返った。

「あ、はーい。 それじゃあお先します!! サンジさん、今度遊びに行って良いですか?」

「あ、俺もー!」

「俺だって、行きたいです!」

口々に会社の人が返り際に、俺に声をかける。

「あ、はい。 いつでもどうぞ。 皆さんで来てください。」

俺は、なんだか親近感を感じて嬉しかった。

「いーから、さっさと帰れよ! お疲れさん!」

グイグイとゾロがそう言いながら、皆をドアの外へと押しやった。

「ふぅ〜・・・やっと帰ったか・・・・ったく、間に合わないとこだったじゃないか。」

静かになったオフィスで、ゾロがそう呟きながら時計を見る。

時計は、午後11時45分・・・

今から大急ぎで家に帰っても、今日中には戻れそうにない。

けど・・・・・




俺、すっげえ素敵なプレゼント貰った気がする。

お金じゃ買えない大切なもの・・・・俺の知らなかったゾロ・・・・

俺は、それを今日、貰った。




「サンジ・・・誕生日、おめでとう。」

そう言って、ギュッとゾロが抱きしめてくれた。

「ん・・・・ありがとう、ゾロ。」

そう言って俺も抱きしめ返す。

「ごめんな・・・・・今日、外出する暇もなくて・・・・プレゼント、取って来れなかった。 や、注文

してあったんだぜ? 忘れてた訳じゃないから・・・・・」

「クスクス・・・・・わかってるよ、ゾロ。 それに・・・俺、もう貰ったから、プレゼント。 この会社

の人に・・・・思いがけず貰っちゃったから・・・」

ばつが悪そうに俺に言うゾロに、俺はそう言って触れるだけのキスをした。

ゾロは、意味がわかってなかったようだけど、すぐに俺にキスを返してくれた。

とっても、濃厚なやつ・・・・




もうゾロってば、そんなことされたら、俺・・・・・




愛撫にも似た激しい口付けに、俺は立っていられなくなって、ゾロに凭れ掛かる。

誰も居ないオフィスで、と言うのが俺をますます煽らせて・・・・

「ふ・・・・ん・・・・・んぁ・・・・」

もう我慢できないよって、視線で強請ってみる。

ゾロは、そんな俺にフッと笑って、心得たように俺の肌に手を這わした。

「ひぅ・・・・あ・・・・・あん・・・・ゃあ・・・・ゾロ・・・・んぁ・・・あ・・・・・」

胸を弄る指に、俺は堪らずギュッとゾロにしがみ付く。

ゾロは俺を抱き抱えたまま、デスクに乗せた。

押し倒されて、背中に触れる冷たい感触に身体が、ブルッと震える。

「ん・・・? 寒いか?」

スッと俺の身体を起こして、ゾロが俺の背中に自分の背広を敷いてくれた。

「ん・・・・平気・・・・」

ギュッとゾロの首に抱きつく。

ゾロは、片手で俺を抱きしめ、慣れた手つきで俺の衣服を剥ぎ取っていった。

ゾロに愛撫され、俺の雄はムクムクと擡げ始め、くちゅくちゅと扱かれる度に淫猥な音がオフィ

スに響き渡る。

「ハァ・・・ん・・・あっ・・・・・ろっ・・・・やぁ・・・ん・・・・ゾロ・・・・も・・・・ゃん・・・・」

耳から入る刺激と雄から直接感じる刺激に翻弄され、堪らず腰を動かした。

背筋がゾクゾクして堪らない。

ゾロの手だけじゃ我慢できなくなって、懸命に視線で呼びかけてみる。




だって、声に出せるような余裕なんてねえんだもん。




ゾロは俺の意を察したのか、俺ので濡れた手を後ろへ這わし、俺の中を解し始めた。

「ひぃ・・・あ・・・・・あん・・・・ヤァー・・・・ゾロ・・・・・そこ・・・・・ヤ・・・ダッ・・・」

ゾロの指は的確に俺のイイところを探ってくる。

元より余裕のなかった俺の雄は、先走りの液が次々と滲み出て、俺が気を抜けば一気に射

精しかねない状態まできてた。

「ゾ・・・ロッ・・・も・・・・・ヤダ・・・・・早・・・・く・・・あ・・・ヤッ・・・んぁっ・・・・」

必死でゾロの身体にしがみ付く。

それを合図にしたように、ゾロのが、俺の中に入ってきた。

ううん、入ってきたなんて生易しいもんじゃない。

背筋まで貫かれたって感じ。

「ッ・・・・くぅぅ・・・んッ・・・・ああ・・・・んっ・・・・」

自分で、雄の先端から白濁の液が滲み出てるのがわかる。

すんげぇ恥ずかしい。

ネクタイ姿のゾロは、ストイックで・・・・・なのに、俺の姿見て息を乱してる。

それが、また俺の欲情に火をつける。

もう・・・・・止まらない。

「ぅあっ・・・・あ・・・・んぁ・・・・ゾロ・・・・っあ・・・・」

ゾロの首に腕を回し、激しい動きを受け入れる。

ゾロも少しいつもと違う。

やっぱ、オフィスだからかなぁ。

「あっ・・・・あっ・・・・ヤァ・・・・ダメ・・・・そんな・・・・ダメ・・・ヤー・・・」

ズンズンと最奥まで突き上げてくるゾロに、俺は堪らずにイヤイヤを繰り返す。




そんなに動いたら壊れちゃうよ・・・




「ッ・・・・クッ・・・・サン・・ジ・・・」

切羽詰ったゾロの声と同じくして、俺の中でドクンとゾロのが跳ねた。

「ん・・・ゾロも・・・・キテ・・・・俺も・・・・も・・・あっ・・・・ぅあっ・・・・ック・・・んんーーッ!!」

俺の中と外で、熱い熱が迸る。

ゾロのキスが俺の唇を塞いだ。

何度も繰り返される触れるだけのキス。

この瞬間が一番好き。

この気だるさの中、抱きしめあう身体の心地よさは、ゾロじゃなきゃダメなんだ。

「さてと・・・・早く戻るとするか・・・」

「うん!」

最後にチュッと額にキスして、ゾロが俺から離れた。

急いで身支度して、オフィスを出る。

「帰ったら、もう一戦な?」

「ん、じゃあ、お風呂入れて?」

「おう、わかった。」

そう会話して、手を繋いで道を歩く。




あー・・・・なんて現金な俺!!

来た時とは、大違い。

やっぱ、ゾロが傍に居るからかなぁ。

俺の誕生日に感謝。

俺を産んでくれてありがとうの日。

また、来年も、傍に居てな?ゾロ・・・・








<END>


 

 


<コメント>

・・・・・・今頃です。(死)
途中までは、書けてました。3月に。 が、しかし・・・・
本当に、ごめんなさい!(懺悔)
実は、これ、キリリク113000番用だったのですが、やっぱ、海賊ででいこうと決めて
お流れになった奴ざんす。
たまに書くと疲れるよね〜、乙女サンジ(笑)
けど、明るくて楽しい話は好きです。
暫くぶりのお目汚しには、丁度良いかと・・・(違う?笑)
それでは☆

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