君のためにできること。 |
俺は、ロロノア・ゾロ・・・。 少し前までは、一人で旅を続けていた。 幼い日の親友との誓いを果たすため・・・。 世界一の大剣豪になるため・・・。 ただそれだけのために、独り、生きてきた。 殺る、殺られるの殺伐とした中で生きてきた俺には、仲間なんて必要なかった。 人は、強い奴と弱い奴、守られる側と守る側。 それくらいの認識しか、俺には無かった。 野望を手にするためには、弱い奴には興味は無えし、守ってやるような奴は、邪魔だった。 だから・・・・・・。 人に深入りするのは、したくなかった。 それをあっさりと覆したのは、ルフィとあいつ・・・。 ルフィと知り合い、この船に乗って・・・。 ナミやウソップと知り合い、そして・・・・。 ・・・・・・あいつに出逢った。 あいつは、ルフィと同じで、俺の中にズカズカと土足で入り込んできた。 ただ、ルフィと違うのは・・・・。 あいつは、俺とまるっきり違うと言うこと。 海賊王を目指すルフィには、俺と似通うところがあった。 海賊という世間では闇の部分の頂点を目指すルフィと・・・。 殺戮と言う闇無しでは野望を達成できない俺・・・。 しかし、あいつは・・・。 コックと言う人の生を司る職業・・・。 オールブルーと言う魚達の楽園を見つける夢・・・。 闇など全く必要としない・・・人生・・・。 どれ一つとっても・・・・・・・・あまりにも違いすぎた。 闇に身を置く者と光を放つ者・・・。 それなのにあいつは、いつの間にか、俺のすぐ傍にいて・・・。 にこやかに微笑む。 日だまりのような温かさで・・・。 俺を優しく包み込む。 気が付いたときには、もう手放せなくなっていた。 プロメテウスの火のように・・・。 闇にただ一つの灯を・・・。 自分では・・・・・消せない。 そう、その温かさに触れてしまった俺は・・・。 もう、暗闇には戻れない。 その光に包まれる幸せを知ってしまったから・・・。 だから、この先、どんなことがあろうと・・・・。 決して手放さない。 例え、世界を敵に回そうと・・・・。 あいつだけは、絶対に・・・・。 あいつの笑顔だけは、絶対に守り通す。 俺は、そう誓った。 大剣豪になると誓ったこの親友の形見に・・・。 +++++++++++++++++++++++ 「サンジく〜んvv お茶入れてくれる?」 「コックさん、私にもコーヒー入れてくれるかしら?」 「サンジーっ!! 飯はまだかーっ!!」 「サンジ・・・・これ、教えてくれる? わかった、ありがとう。」 「サンジ、ちょっと、これ、こっちの片方を持っててくれねえか。 悪いな・・・。」 今日も、サンジはクルクルと忙しく、皆の世話をやく。 深夜、皆が寝静まったキッチンで、ゾロは後片付けをするサンジにそう声を掛ける。 「いや、大したことねえよ。 ここのとこ、ずっと嵐とか無用な襲撃者とか立て続けだったか サンジはゾロの方を振り向くと、そう言ってにっこりと笑った。 「・・・・・また痩せたな、お前・・・。 働き過ぎだ。 自分達で出来ることは自分達にやらせ ゾロはサンジを抱き締めて、そう言って口付ける。 「ん・・・・ありがとう、ゾロ。 けど、これが俺の仕事だから・・・。 皆が俺を頼ってくれるから、 サンジはそう言いながらも、ゾロの腕の中でがくんと膝を崩す。 「ほら、言わんこっちゃない。 良いから、今日はもう休め。 後片付けは俺がやるから。」 ゾロは、崩れるサンジをしっかりと抱き抱え、壁際のソファーにその身を横たえた。 「・・・・ごめんな、ゾロ・・・。 明日は、ちゃんとするから・・・・。」 「良いから、もう寝ろ。」 「ん・・・・・そうする・・・。」 ゾロは優しくサンジの髪を撫で、その寝息が聞こえるまでじっとサンジの顔を見つめていた。 ゾロは、ため息混じりにそう呟いて、サンジの代わりに皿を洗った。 「サンジく〜んvv 喉が渇いちゃったvv なんか頼める〜??」 テラスからナミがサンジを呼ぶ声がする。 「・・・水だ。 コレが嫌なら、てめえでキッチンに飲みに行け。 ・・・良いな?」 ゾロは、テラスのテーブルにミネラルウォーターのボトルを置き、そう言ってナミを睨み付け 「な、なんなのよ、あんた・・・。 なんであんたにそう命令口調で言われなきゃならないの 「・・・・・文句、あるのか?」 ナミの言葉に、ゾロはそれだけ言うとカチャリと刀の柄を鳴らした。 「わ、わかったわよ・・・。 ったくもう、物騒な奴・・・。」 ゾロの迫力に押され、ナミは渋々引き下がった。 「お〜い! サンジーッ!!」 今度は、ルフィが、船頭でサンジを呼んでいる。 「おい!ルフィ!! これでも食っとけ!」 ゾロは、ルフィに向かってそう叫ぶと、小さな飴玉を投げた。 「あぐっ・・・・・・・・・・・ぐがーぐがー・・・・・。」 ルフィは大口を開け、その飴玉を呑み込むと、途端にぐっすりと眠り込む。 「・・・全く、良く効く薬だ。 暫くは静かだな・・・。」 ゾロは、眠っているルフィが誤って海に落ちないように男部屋に運んだ。 「悪いな、ルフィ・・・。 後でちゃんと食わせるから・・・。」 そう言ってゾロが、ルフィをハンモックに横たえたとき、すぐ横でウソップの声がした。 「サンジーッ! 悪いが・・・・」 「ウソップ・・・・。 長生きしたかったら、サンジに用事を頼むな。 てめえで行って来い。」 ゾロは、ウソップをジロリと睨みつけてそう言う。 「ヒッ。 あ・・・・そ、そうだよな・・・。 自分のことは自分でやらなくちゃ・・・あはは・・・ ウソップは、顔面蒼白になりながら、男部屋を出ていった。 「・・・・あれ?サンジは??」 振り返るとチョッパーがそう言ってドアの前に立っていた。 「ここには、いねえぜ。」 「・・・そうか。 じゃあ、倉庫かなぁ・・・ありがとう、ゾロ・・・。」 ゾロの言葉に、チョッパーはそう言って倉庫に向かおうとする。 「・・・・・・サンジになんか用事か? サンジじゃなくても良いことなら、ロビンかナミに聞いて ゾロは、チョッパーをそう言って呼び止めた。 「えっ?! ゾロ、疲れてんのか??」 チョッパーが驚いたようにそう言ってゾロに近づいてきた。 「いや、俺じゃないんだ。 ・・・・・サンジに、な。 疲れてるみたいだから・・・。」 「・・・・そうなんだ。 サンジ、疲れてんだね。 うん、わかった。 すぐ作ってサンジに持って 「あっ、チョッパー。 俺が、そう言ってたことは、内緒にしろな。」 ゾロはそう言って、ポンとチョッパーの帽子に手を置く。 「??・・・・どうして?」 「いいから・・・・頼んだぜ、チョッパー。」 ゾロは、不思議がるチョッパーに苦笑してそう言うと、男部屋を後にした。 「・・・・お疲れさん。 今日は、ゆっくり休め。 俺が、全部引き受けるから・・・・。」 ゾロはそう呟いて、テーブルで俯してうたた寝しているサンジにそっと毛布を掛ける。 「あら、やっとお目覚め? ねぇ、ゾロ! あんたいい加減にしなさいよ!! なんでこんなと 瞳の前には、仁王立ちしたナミの姿・・・。 「・・・・・今は、ダメだ。 それより、静かにしろよ。 そう大声で怒鳴らなくても聞こえてる。」 ゾロは、面倒くさそうにそう言ってナミを睨んだ。 「何が、今はダメだ、よ・・・。 いい加減にして!! あたしは、喉が渇いたの! お腹が空 そう怒鳴るナミの遙か後方の格納庫のドアから、ウソップがビクビクしてその様子を覗いてい 「・・・・・・聞こえないのか? 静かにしろと、言っている・・・。」 自分に対しそう言って捲し立てるナミに、ゾロはスッと鞘から和道一文字を抜くとナミの喉元 「なっ、なによ・・・。 脅したって効かないんだから。 そこを退きなさい、ゾロ! 退かないの ナミはそう言って一人でテラスで本を読んでいるロビンに頼む。 「・・・・・仕方がないわね。 許してね、剣士さん。 ・・・・・フルール。」 ロビンは、ゾロを見てにっこりと笑うと、ハナハナの能力でゾロをドアの前から引き剥がそうと 「クッ・・。 頼む・・・後一時間で良い。 頼む、この通りだ、ナミ・・・。」 ロビンの咲かせる手に押さえつけられながらも、ゾロはそう言ってナミに頼んだ。 「・・・・・ねぇ、ゾロ。 なんで、今日に限ってそこまでするの? なんか理由があるの?」 「・・・・・・・理由なんてねえ。 俺の身勝手だ。」 呆れた顔でそう言うナミにゾロは、そう言い返す。 「あっ、いた。 ゾロ、これ、薬、出来たよ。 今からサンジに飲ませてくるね・・・。」 チョッパーはそう言って、ゾロに薬を見せる。 「えっ?! 薬?? ちょっと待って。 ・・・・チョッパー、何、それ? サンジ君に薬って?」 「あ、これ? これは、サンジがね、疲れてるみたいだからって。 だから、俺、今作って来た ナミの言葉に、チョッパーはそう言ってにっこりと笑った。 「ふ〜ん・・・。 そう、そう言うことだったのね。 ・・・だから、か。 理由なんて無いなん ナミは、意味深な微笑みを浮かべてゾロを見る。 「・・・・・チョッパー・・・だから、言うなって・・・。」 「えっ?俺? なんか不味いこと言ったのか?俺・・・。」 頭を抱え恨みがましく自分を見るゾロの視線にチョッパーは、慌ててそう聞き返した。 「ううん。 ・・・・良いのよ、チョッパー。 その薬は、ゾロに渡してあげると良いわ。 ナミは、ゾロに向かってにっこりと笑ってそう言うと、自分の部屋に戻っていく。 「な、なんだ。 そんなことか・・・。 俺はまた、とうとうゾロがキレてサンジをキッチンに閉じこ ウソップも、妙に納得してまた、格納庫に入って作業を続けた。 「・・・・・じゃあ、ゾロ。 これ、薬だ。 もっと欲しかったら、そう言って。 エッエッエッ。 チョッパーもニコニコしてゾロに薬を手渡すと、そう言って格納庫に向かった。 「どいつもこいつも・・・・・・まっ、いいか・・・。」 ゾロは深くため息を吐いて、またどかっとキッチンのドアの前に腰を下ろす。 「・・・・・あれ?ゾロ?? なんでこんなところで寝てんの?」 いつも船尾で眠っているゾロがドアの前にいたので、サンジは驚いてそう声を掛ける。 「・・・・いや、ここがお日様が当たって一番気持ちよさそうだったから・・・それだけだ。 ゾロは何気ない素振りで伸びをしてそう言うと、サンジに薬を手渡した。 「えっ?!チョッパーが?! よく俺が疲れてるってわかったよなぁ。 ・・・・・顔に出てたか サンジは、その薬を受け取りながらそう呟く。 「・・・・・・医者だからだろ・・・。 それより、これから何か作るんだろ? 目も覚めたことだし、 ゾロはそう言って立ち上がった。 「おう! なんか、今日はゆっくり出来て気分がすっきりしてんだ、俺。 なんか食いてえもん 「じゃあ・・・・卵焼きと大根サラダと肉じゃがと焼き魚も良いな・・・・。」 「おいおい、誰がそんなに作ると言った! 一品だけだ、一品だけ!!」 「へーへー。 じゃあ、大根の煮付け・・・。」 「なんだよ、そりゃ・・・。 さっき言ったやつと全然違うじゃんか!」 「そんな細かいこと一々覚えてねえし・・・。」 「ククク・・・やっぱ、馬鹿だろ、てめえ・・・。」 サンジとゾロは笑いながらそう会話して、倉庫に食材を取りに行く。 「・・・・ん? そう言えば・・・今日はルフィ、全然、腹減ったって言わなかったな? ・・・・どう 「・・・・・・・・さあな? 今日は、天気が良かったから眠りこけてんだろ。 こんな日もあるさ。 サンジの素朴な疑問にゾロは、素知らぬ顔でそう答えた。 「サンジーッ!! 腹が・・・・腹が減って・・・・死にそうだぞぉ〜・・・・。」 甲板に、ルフィの元気のない声が響いた。 「・・・・なっ? 言ったとおりだろ?」 「ククク・・・だな・・・。 さて、急いで作るか・・・。」 「ああ、そうしてやってくれ・・・。」 ゾロは、心の中でルフィに手を合わせながらそう言って、サンジを手伝う。 「ん? ・・・・なんか変だぞ、てめえ・・・。」 「気のせいだろ。 それより、早く・・・」 「ああ、そうだったな・・・。 急がねえと・・・。」 サンジは、そう言って夕食の準備に取りかかった。 「さあ、出来た!! ナミさ〜んvv ロビンちゃ〜んvv お食事の用意が出来ました〜vv サンジは、キッチンのドアを開け、そう言って皆を呼ぶ。 「あら? 今日は、和食なのね? フフフ、どういう風の吹き回しかしら? さしずめ、今日の ナミが席に着くなりそう言って、ゾロを見て微笑む。 「・・・・・くだんねえ事言ってんじゃねえよ・・・。」 ゾロは、努めて冷静を装いそう言って、酒を飲んだ。 「エッエッエッ。 二人ともラブラブだもんねvv」 ガッシャーーーーーンッ!! 「ブーッ!! ごほっ・・・げぼっ・・・。 チョ、チョッパー!!」 チョッパーの無邪気な一言に、ゾロは思わず吹き出し、むせかえる。 「いやだぁ・・・。もう、汚いんだから・・・。」 「フッ。 まだまだ、青いわね・・・。」 「かかったぞ・・・。 俺の皿に、酒・・・かかったぞ・・・。」 「・・・なんで・・・俺、寝てたんだろ・・・?」 ナミとロビンとウソップとルフィは、それぞれそう呟いて・・・・楽しい食事の時間が始まった。 「今日だけだ。 今日だけだかんな・・・。 いつもすると思うなよ・・・。」 出来上がった料理を食卓に並べながら、サンジはゾロの耳元でそう言ってサッとシンクに戻 「ククク・・・・・やっぱ、手放せねえよなぁ・・・・。」 ゾロは、そんなサンジの態度に苦笑しながらそっと呟く。 |
<コメント> こちらは、みずきさんのリクエストで・・・・・。 『独占欲丸出しのゾロ』だったかなぁ・・・『サンジが好きで好きで堪らないゾロ』 だったかなぁ・・・。 すみません・・・(平謝り!) リク内容があやふやで・・・・・・(TOT) こちらが、ややシリアス目の『サンジが好きで好きで堪らないゾロ』かなぁ・・・。 一応、大まかなスジは同じで二通り作ってみたんですが・・・(汗) あはは・・・・確認したところ、リクは・・・。 『馬鹿ップルで可哀想なくらいサンジにメロメロのゾロ』だそうで・・・。 見事過ぎるくらいのリクハズし!(殴) けど、みずきさんのご厚意でUPさせて頂きましたvv みずきさん、もうもう、ごめんなさいです。(泣) 脱兎!! |