God bless you! |
うららかな日差しを一杯浴びたゴーイングメリー号の昼下がり。 サンジが用意したアフタヌーンティーを楽しみながら、ナミは、部屋で新聞に目を通す。 その間から、ハラリと広告が落ちた。 その広告を無造作に拾い上げたその瞬間、ナミは、驚喜する。 『さあ、君も、バレンタイン島で素敵なお菓子を作って賞金をGETしよう! なんと、 広告には、そう記され、その島は、今、目の前に見える島に他ならなかったからである。 「・・・ねえ、どう思う? ロビン。」 ナミは、広告をロビンに見せながら、意見を聞いてみる。 「・・・・そうねぇ。 良いと思うけど、あのコックさんが、出場してくれるかしら・・・・」 「いいえ、絶対に出場して貰うわ。 あたしのため・・・・いや、この船のために!!」 「・・・・・・・。」 ナミの確固たる意思の前に、ロビンは、無言でフッと微笑んだ。 「さあ、次の目的地が決まったわ。 皆、全速力で、あの島を目指すのよ!」 ナミは、その広告を握りしめ、他のクルー達にてきぱきと上陸の指示を出す。 「サンジ君、今回の上陸目的は、ずばり、これよ! 是非、協力して欲しいの。 「ナ、ナミさん。 お言葉ですが、これ、女性限定って書いてありますよ? 残念だけ ナミの言葉に、サンジはそう言って反論した。 「それじゃあ、ダメよ。 いくらサンジ君のレシピを使っても、サンジ君に敵うわけ無い ナミは、甘えるようにサンジを説得する。 「・・・・いくら、ナミさんの頼みでも、それだけは、勘弁して下さいよ。 俺、女装は、 「あら? じゃあ、この船の修理代、即刻、返済して貰えるのかしら? 確か、昨日 「・・・・・・・わかりました。 けど、本当に、今回だけですよ? それに、男だってばれ 結局、ナミに押し切られて、サンジは、渋々協力することになった。 「決まりねvv じゃあ、用意しましょうか? ロビン、サンジ君をお願い。」 「・・・わかったわ。」 「え?! 用意って・・・・あの、ちょ、ちょっと・・・・ナミさん? ・・・・・え??」 サンジは、ロビンによって、アッという間に髭を剃られ化粧を施された。 「・・・・完璧!! サンジ君!! 誰がどう見たって、完璧な女の子よ! これで、 ナミは、サンジを等身大の鏡の前に立たせて、後ろからサンジの肩を叩く。 「お、俺の・・・・・髭・・・・・・」 喜々とした表情のナミとは対照的に、サンジは、鏡の前でそう呟いて、呆然としていた。 「うふふ・・・・そんな顔してたら、せっかくの可愛い顔が台無しよ。」 「そうよ、サンジ君、笑顔よ、笑顔!! 審査員にちゃんとアピールしなきゃいけない 「ナミさ〜ん・・・・・ロビンさ〜ん・・・・」 「泣き言を言わないの!! さあ、300万ベリーの為よ! ほら、もう一回・・・・」 船が島に着くまでの間、サンジは、ナミとロビンによって、みっちりと女の子の作法を叩き込 「ナミーッ!! 船、もう着いたぞーっ!!」 甲板から、ルフィの呼ぶ声が聞こえる。 「わかったわ。 今行くから、全員、甲板に集合してて。 さ、行くわよ、サンジ君。」 ナミは、ルフィにそう返事をして、サンジを見てにっこりと笑った。 「・・・・・・・はい。」 サンジは、がっくりと項垂れると、力無くそう返事する。 「ふふふ、皆、どんな反応するかしら。 ・・・・・楽しみだわ。」 ロビンは、そう言ってサンジを見つめ、にっこりと笑った。 ナミと一緒に現れた女装をしたサンジに、チョッパーとウソップは、そう絶叫して瞳を見張っ 「ニシシ・・・・・サンジ、お前、女だったのか??」 「そんなわけあるかーーっ!!」 ルフィの間抜けな質問に、サンジは、キッとルフィを睨み付けると、額に青筋を立てて怒鳴っ 「・・・・やっぱり、サンジだ・・・・・」 「・・・・・そうだな、やっぱり、サンジだ・・・」 チョッパーとウソップは、互いをしっかり抱きしめ合いながら、そう呟いた。 「ん? もう着いたのか?? ふぁ〜・・・」 「あン?? なんだ? 騒がしいぞ、てめえら。 おちおち昼寝も・・・・ゲッ・・」 ガタガタドタバターーン!!! そう言いながら、皆のところに向かっていたゾロは、視界に入った驚愕の風景に思わず、 「ゾロ!! 大丈夫か??」 階段の下で、俯しているゾロに、チョッパーは慌てて駆け寄ってそう声を掛ける。 「なにてめえ、遊んでんだよ・・・・本当、どんくせえな・・・」 サンジも、そう言いながら、ゾロの側に行った。 「・・・・・・・・・・・。」 ゾロは、無言のまま、スッと起きあがり、じっとサンジの顔を見る。 「な、なんだよ。 んなに、見るな!! し、仕方なかったんだよ!!」 サンジは、ゾロの視線に居たたまれなくなって、プイッと横を向いた。 「ゾローッ!! おおおっ!! 血が!! 階段で怪我したのか??」 「・・・いや、なんでもねえ、チョッパー・・・・」 「そんな事言ったって、血がそんなに出てるんだぞ! ほら、横になって!! 止血し チョッパーは、そんなゾロの様子に、慌てて救急箱を取りに、男部屋に走った。 「チョッパー・・・・それ、全然違うと思うぞ。」 「・・・・そうね、アレ・・・・・単なる鼻血よね、きっと・・・・・」 「ふふふ・・・・やっぱり、一番面白い反応をしてくれるわね。」 「なーなー。 早く、船、下りようぜ。」 クルー達は、そんな三人の様子を遠巻きに見て、そう言い合った。 そう言って、ナミ達は、ゾロとサンジを残して、船を下りていく。 「・・・・・ったく、もう。 本当、世話が焼けるな、てめえは・・・・ほれ。」 サンジは、そう言ってゾロの横にしゃがみ、冷やしたタオルをゾロの顔に落とす。 「んな事言ったって、てめえが、そんな格好してたからじゃねえか!」 「あァ?! 俺のせいって、言うのか?? てめえの精神力の弱さを人のせいにすん 「黙れよ!!」 「うわっ!!」 ゾロは、サッとサンジの腕を捕ると、そのまま甲板に押し倒す。 「・・・・やっぱ、そう言う格好をして、俺の前にいるてめえが、悪い・・・・」 「ば、馬鹿! これから、俺、街に・・・んんっ・・・」 ゾロは、サンジの言葉を途中で遮るように、口付けた。 「んんっ・・・・あっ・・・・洋服・・・・破いたら、ナミさんに・・・・」 「・・・・わかってるって。 破かねえように気を付けるから・・・・」 サンジの言葉に、ゾロは、耳元でそう囁くと、裾から手を入れ、サンジの胸に手を這わす。 「んっ・・・ああっ・・・やっ・・・ん・・・あ・・・」 すでに、サンジの瞳は、涙で揺れ、ゾロの手の動きにフルフルと身体を震わせる。 「ヒャッ・・んっ・・・・ああ・・・・ん・・・ゾロ・・・ヤァ・・・・」 ゾロの舌の動きに翻弄され、サンジは、髪を振り乱す。 「んんっ・・・ヤッ・・・・ゾロ・・・・ああっ・・・俺・・・・もう・・・」 サンジは、胸と下半身と同時に弄ばれて、ゾロのギュッとしがみついた。 「なんだ、早いんじゃねえ?」 ゾロは、サンジの胸の尖りを口に含んだまま、瞳だけサンジの顔を見てニヤリと笑う。 「ん・・ああっ・・・ば・・か・・・銜えたまま喋ん・・・なっ・・あっ・・・・」 サンジは、涙で揺れる瞳でそう言って、ゾロを睨み付けた。 「・・・・・やっぱ、結構、クルな・・・・」 ゾロは、そう呟くと、サンジの雄を扱く手の動きを早め、サンジを追い立てる。 「ああっ・・・んっ・・・・ヤァ・・・んっ・・・ゾロ・・・・ダメ・・・・・だ・・・俺・・・・・あっ・・・ ビクンとサンジの身体が仰け反り、サンジは、ゾロの手の中に白濁の精を吐き出した。 「フルール!」 急に、ロビンの声が聞こえたかと思うと、その瞬間、ゾロは、サンジから離され、ロビンの数 「ダッ!! な、なんだ? なんで、コレ? おい! こら、ロビン! てめえ・・・」 ゾロは、必死でその拘束をほどこうとしたが、頼みの刀は、ロビンの手によって遠ざけられて バキッ!! 「グガッ!!」 その直後、ゾロの頭に、ナミの天候棒が飛んできた。 「・・・・ったく、この強姦魔!! もしかしたら、って思って、帰ってきて正解だったわ。 ナミは、そう言うと、呆然としているサンジを引っ張ってロビンと共に、船を下りていく。 「・・・・・この最凶魔女軍団が・・・・・・・」 バコッ!! 「グハッ!!」 「・・・・聞こえてるのよ・・・・・ふん!!」 ゾロの呟きに、ナミは、もう一度、天候棒をゾロの頭に投げつけてから、街に向かった。 「・・・・・あいつら・・・・いつか絶対に、斬ってやる・・・・・」 ゾロはそう呟いて、刀を手に持つと、慌ててサンジの後を追い、船を下りた。 司会者の掛け声と共に、特設会場では、4人の女性によるお菓子作りが始まっていた。 「はぁはぁ・・・・なんとか、間に合ったみてえだな。」 船を下りた後、案の定、迷子になっていたゾロは、息を切らしながら、決勝戦になってようや 「・・・・・やっぱり、俺のサンジが、一番・・・・」 すぐにステージの上のサンジを見つけると、ゾロはそう呟いて、自ら納得している。 「・・・・あの娘、綺麗だよな。 にこにこと楽しそうに料理してるし、俺、結婚するんだ 「ば〜か、お前のような奴を相手になんかするもんか。 ああ言う娘は、俺みたいに、 「俺、絶対に、あの娘に投票する。 味なんか、関係ない。 あの娘が作るんだった 聞きたくなくても、聞こえてくるそんな男達の声に、ゾロは、チッと舌打ちをして、あらかさまに 「さて、優勝は・・・・・な、なんと審査員全員一致して、3番のサラさんに、決定しまし 司会者は、そう言って、サンジの手を捕ると、ステージの中央へ連れてきた。 「さあ、今年のバレンタインクイーンは、貴女です、サラさん! おめでとう!! サンジは、審査委員長から賞金の小切手と目録を受け取ると、会場内で飛び上がって喜ん 「こらっ!! 離せよ! ええい、触るな!!」 サンジは、自分に向かっている男達から必死で逃げ回る。 「お客さん、困りますよ。 いくら、暴動を抑えるためとはいえ、これじゃあ・・・・・」 主催者が、そう言って、ゾロを窘める。 「・・・・悪かった。 ・・・・やりすぎた、謝る。」 ゾロは、ばつが悪そうにそう言って頭を下げた。 「謝られてもねえ・・・・弁償して貰わないと・・・・・」 「・・・・済みません。 じゃあ、この賞金から弁償しますから、この人、許して貰えませ 「良いんですか?サラさん?? あなたの賞金でしょ?」 「ええ、でも、放ってはおけませんから。」 サンジは、主催者にそう言ってにっこりと微笑んだ。 「貴女がそうおっしゃるのなら・・・・・」 結局、サンジが受け取った賞金は、大部分が、その弁償金と消え、残ったのは、10万ベリ 「・・・・・ったくよ。 どうすんだ、このお金・・・・ナミさん、すげえ怒るぞ。 俺、知らね 主催者のところから宿屋に向かう途中、サンジは、呆れ顔でゾロにそう言った。 「・・・・・・・・・。」 「まっ、それだけ、てめえが俺に惚れ込んでる証拠だし、な? 今回は、俺も一緒に サンジはそう言って、ゾロの腕に自分の腕を絡ませる。 「・・・・サンジ??」 いつもと違うサンジの態度にゾロは、思わず声を掛けた。 「き、今日は、俺、一応、レディだからな・・・・・・こ、こうしてても・・・・・・可笑しくね サンジは、俯いたままゾロにそう言った。 「な、ば、馬鹿!! 皆が見てるだろ!!・・・・/////」 そう言って狼狽えて辺りをキョロキョロ見回すサンジに、ゾロは、優しく微笑んで、その身体を 「・・・・好きだ、サンジ。 すっげえ好きだ・・・・」 ゾロはそう言って、サンジの顎に手を掛け、顔を近づけた。 「はい、そこまで。 公衆道徳は、守ってね。」 いつの間に側にいたのか、すぐ近くでナミがそう言って、ゾロを睨み付けている。 「なんだよ! 何の用事だ。」 ゾロは、忌々しげにナミを睨み付けてそう言った。 「あら、あんたなんかに用はないわ。 サンジ君、お疲れさまvv さあ、賞金の小切手 ナミは、そんなゾロを一瞥して、サンジににっこりと笑いかける。 「ナ、ナミさん・・・・・実は・・・・・・・」 サンジは、事の次第と顛末をナミに全て話した。 「・・・・・・・・あんたは・・・・・・・あんたって人は・・・・・・・」 これ以上ないって言うほどの怒りのオーラに身を包み、ナミはゾロを睨み付けた。 「・・・・・あの・・・・・ナ、ナミさん・・・・」 「サンジ君、すぐに出航するわよ!! すぐに、皆を船に呼び寄せて!! これ以上 ナミは、サンジにとりつくしまもなく、一気にそう捲し立てると、一人で船に戻っていった。 「サンジ君、ゾロ、ちょっといいかしら?」 さあこれから、恋人達の時間が始まるという深夜の格納庫に、ナミはそう言って現れた。 「何しに来てんだよ!」 今日一日、ことごとくサンジとの仲を邪魔され続けたゾロは、こめかみをヒクつかせナミにそう 「・・・・・これ、今日の副賞。 ゾロ、コレ、あんたの分。 全部食べなさいよ。 ナミは、逆にゾロを睨み付けると、そう言ってサンジと共に格納庫を出ていった。 「・・・・・・嘘だろ、おい・・・・・・・」 ゾロは、青ざめた表情のまま、その袋をじっと見つめた。 「ゾローッ!! おい、しっかりしろ!! 大変だ!! チアノーゼがおき始めてる!」 チョッパーは、慌てて変身すると、ゾロを抱えて格納庫を出た。 「・・・・・・食ったぞ。 ・・・・・・全部食ったからな・・・・・・もう、文句は言わせ・・ ゾロは、ボソリとそう呟く。 「おい! しっかりしろ!! ゾロって! ゾロってば!!」 薄れゆく意識の中で、ゾロは、懐かしいサンジの声を聞いた。 Got bless you! |
<コメント> ロロノア・ゾロの悲惨なバレンタインデーということで。(笑) いや、別に、バレンタインじゃなくてもって感じなんですが。 瑠衣ちゃまのリクエストで、 【バレンタインで、死ぬほど甘い物を食べさせられる不幸なゾロ】 だったっけ??(-_-;)をお届けしました。 あってる?? 瑠衣ちゃま??(汗) では★(脱兎!) |