God bless you!







うららかな日差しを一杯浴びたゴーイングメリー号の昼下がり。

サンジが用意したアフタヌーンティーを楽しみながら、ナミは、部屋で新聞に目を通す。

その間から、ハラリと広告が落ちた。

その広告を無造作に拾い上げたその瞬間、ナミは、驚喜する。

『さあ、君も、バレンタイン島で素敵なお菓子を作って賞金をGETしよう! なんと、

優勝者には、豪華300万ベリーが!!(但し、女性限定だよ。)』

広告には、そう記され、その島は、今、目の前に見える島に他ならなかったからである。

元々、海賊とは言え、船を襲っているわけでもないゴーイングメリー号の経済状態は、極め

て不安であり、且つ、船長の大食らい、内輪もめによる壊れた船の修繕費等、喉から手が出

るほど、金は必要であった。

「・・・ねえ、どう思う? ロビン。」

ナミは、広告をロビンに見せながら、意見を聞いてみる。

「・・・・そうねぇ。 良いと思うけど、あのコックさんが、出場してくれるかしら・・・・」

「いいえ、絶対に出場して貰うわ。 あたしのため・・・・いや、この船のために!!」

「・・・・・・・。」

ナミの確固たる意思の前に、ロビンは、無言でフッと微笑んだ。

「さあ、次の目的地が決まったわ。 皆、全速力で、あの島を目指すのよ!」

ナミは、その広告を握りしめ、他のクルー達にてきぱきと上陸の指示を出す。

そして、上陸準備に駆け回るサンジを捕まえて部屋に連れ込むと、その広告を見せ、こう言

った。

「サンジ君、今回の上陸目的は、ずばり、これよ! 是非、協力して欲しいの。 

貴方なら、間違いなく、優勝できるわ。 そしたら、この賞金は、あたしの手に・・・

いいえ、この船のためにも、お願いね、サンジ君!」

「ナ、ナミさん。 お言葉ですが、これ、女性限定って書いてありますよ? 残念だけ

ど、俺、男ですし・・・・・ あっ、そうだ。 俺が、レシピを書きますから、ロビンさんと

ナミさんで出場すればいいじゃないですか!」

ナミの言葉に、サンジはそう言って反論した。

「それじゃあ、ダメよ。 いくらサンジ君のレシピを使っても、サンジ君に敵うわけ無い

モノ。 ここは、絶対に優勝して賞金をGETしなきゃダメなのよ。 一日だけ我慢し

て、女の子になって頂戴。 ね? お・ね・が・いvv」

ナミは、甘えるようにサンジを説得する。

「・・・・いくら、ナミさんの頼みでも、それだけは、勘弁して下さいよ。 俺、女装は、

ちょっと・・・・・」

「あら? じゃあ、この船の修理代、即刻、返済して貰えるのかしら? 確か、昨日

も、誰かさんと喧嘩して、船尾に穴開けてなかった? いいこと?サンジ君。 この船

の経済状態は、かなり逼迫してるのよ。 船長の食費と、貴方達による船の修繕費

によってね。 ・・・・・これで、わかったわよね? やってくれるでしょ? サンジ君?」

「・・・・・・・わかりました。 けど、本当に、今回だけですよ? それに、男だってばれ

ても、俺、知りませんからね・・・・・はぁ・・・・・」

結局、ナミに押し切られて、サンジは、渋々協力することになった。

「決まりねvv じゃあ、用意しましょうか? ロビン、サンジ君をお願い。」

「・・・わかったわ。」

「え?! 用意って・・・・あの、ちょ、ちょっと・・・・ナミさん? ・・・・・え??」

サンジは、ロビンによって、アッという間に髭を剃られ化粧を施された。

それから、ナミが、自分の洋服から選び出した服に着替えさせられる。

白色の起毛タートルネックのノースリーブセーターと同タイプのアームウォーマー。

バーバリーチェックのプリーツが入った巻スカート。

キャメルのフェイクファーコート。

「・・・・完璧!! サンジ君!! 誰がどう見たって、完璧な女の子よ! これで、

賞金は、いただきよ!」

ナミは、サンジを等身大の鏡の前に立たせて、後ろからサンジの肩を叩く。

「お、俺の・・・・・髭・・・・・・」

喜々とした表情のナミとは対照的に、サンジは、鏡の前でそう呟いて、呆然としていた。

「うふふ・・・・そんな顔してたら、せっかくの可愛い顔が台無しよ。」

「そうよ、サンジ君、笑顔よ、笑顔!! 審査員にちゃんとアピールしなきゃいけない

んだから。 わかった?? さあ、今度は、笑顔の練習よ。 ほら、にっこりと・・・・

そうそう、相手が、女の人と思って。 もう一回・・・・・」

「ナミさ〜ん・・・・・ロビンさ〜ん・・・・」

「泣き言を言わないの!! さあ、300万ベリーの為よ! ほら、もう一回・・・・」

船が島に着くまでの間、サンジは、ナミとロビンによって、みっちりと女の子の作法を叩き込

まれた。

「ナミーッ!! 船、もう着いたぞーっ!!」

甲板から、ルフィの呼ぶ声が聞こえる。

「わかったわ。 今行くから、全員、甲板に集合してて。 さ、行くわよ、サンジ君。」

ナミは、ルフィにそう返事をして、サンジを見てにっこりと笑った。

「・・・・・・・はい。」

サンジは、がっくりと項垂れると、力無くそう返事する。

「ふふふ、皆、どんな反応するかしら。 ・・・・・楽しみだわ。」

ロビンは、そう言ってサンジを見つめ、にっこりと笑った。






「「うおおーーっ!! お前、サンジか?? 本当に、あのサンジなのか??」」

ナミと一緒に現れた女装をしたサンジに、チョッパーとウソップは、そう絶叫して瞳を見張っ

た。

何処から見ても、女の子。

しかも、見てくれは、結構、いや、めちゃくちゃにイケてるのだ。

サンジは、皆の視線が居たたまれないのか、俯いたままじっとしている。

その様子が、妙に女の子らしくて、チョッパーとウソップは、思わず、喉を鳴らした。

「ニシシ・・・・・サンジ、お前、女だったのか??」

「そんなわけあるかーーっ!!」

ルフィの間抜けな質問に、サンジは、キッとルフィを睨み付けると、額に青筋を立てて怒鳴っ

た。

女装したサンジにずっと見とれていたチョッパーとウソップは、その怒声に現実に返る。

「・・・・やっぱり、サンジだ・・・・・」

「・・・・・そうだな、やっぱり、サンジだ・・・」

チョッパーとウソップは、互いをしっかり抱きしめ合いながら、そう呟いた。

甲板のサンジの怒鳴り声に、船尾で眠っていたゾロは、ようやく目を覚ます。

「ん? もう着いたのか?? ふぁ〜・・・」

ゾロは、そう呟いて、のっそりと皆のいる甲板へと向かった。

「あン?? なんだ? 騒がしいぞ、てめえら。 おちおち昼寝も・・・・ゲッ・・」

ガタガタドタバターーン!!!

そう言いながら、皆のところに向かっていたゾロは、視界に入った驚愕の風景に思わず、

階段を踏み外した。

「ゾロ!! 大丈夫か??」

階段の下で、俯しているゾロに、チョッパーは慌てて駆け寄ってそう声を掛ける。

「なにてめえ、遊んでんだよ・・・・本当、どんくせえな・・・」

サンジも、そう言いながら、ゾロの側に行った。

「・・・・・・・・・・・。」

ゾロは、無言のまま、スッと起きあがり、じっとサンジの顔を見る。

「な、なんだよ。 んなに、見るな!! し、仕方なかったんだよ!!」

サンジは、ゾロの視線に居たたまれなくなって、プイッと横を向いた。

そんなサンジを見ていたゾロの鼻から、ツーッと血が滴り落ちる。

ゾロは、その感触に、慌てて手で覆ったが、手の間から、ぽたぽたと鮮血が止まらない。

「ゾローッ!! おおおっ!! 血が!! 階段で怪我したのか??」

「・・・いや、なんでもねえ、チョッパー・・・・」

「そんな事言ったって、血がそんなに出てるんだぞ! ほら、横になって!! 止血し

なきゃ・・・」

チョッパーは、そんなゾロの様子に、慌てて救急箱を取りに、男部屋に走った。

「チョッパー・・・・それ、全然違うと思うぞ。」

「・・・・そうね、アレ・・・・・単なる鼻血よね、きっと・・・・・」

「ふふふ・・・・やっぱり、一番面白い反応をしてくれるわね。」

「なーなー。 早く、船、下りようぜ。」

クルー達は、そんな三人の様子を遠巻きに見て、そう言い合った。












「じゃあ、サンジ君、時間厳守だから。 あたし達、先に行って、エントリーしてくるか

らねvv 今日は、久しぶりに宿に泊まりましょう。 じゃあ、会場でvv」

そう言って、ナミ達は、ゾロとサンジを残して、船を下りていく。

ゾロは、あの後も鼻血が止まらずに、まだ、甲板で横になっていた。

「・・・・・ったく、もう。 本当、世話が焼けるな、てめえは・・・・ほれ。」

サンジは、そう言ってゾロの横にしゃがみ、冷やしたタオルをゾロの顔に落とす。

「んな事言ったって、てめえが、そんな格好してたからじゃねえか!」

「あァ?! 俺のせいって、言うのか?? てめえの精神力の弱さを人のせいにすん

じゃねえぞ、エロまりも!! だいたい、いつもの武士道精神はどうしたよ。 

・・・いつ何時も、冷静且つ・・・」

「黙れよ!!」

「うわっ!!」

ゾロは、サッとサンジの腕を捕ると、そのまま甲板に押し倒す。

「・・・・やっぱ、そう言う格好をして、俺の前にいるてめえが、悪い・・・・」

「ば、馬鹿! これから、俺、街に・・・んんっ・・・」

ゾロは、サンジの言葉を途中で遮るように、口付けた。

初めは必死で抵抗していたサンジも、だんだんとゾロの口付けに応えだす。

うっすらと化粧を施した顔につるつるの顎。

あの髭がないだけで、こうも視覚的にクルのかと、ゾロは、心の中で苦笑した。

「んんっ・・・・あっ・・・・洋服・・・・破いたら、ナミさんに・・・・」

「・・・・わかってるって。 破かねえように気を付けるから・・・・」

サンジの言葉に、ゾロは、耳元でそう囁くと、裾から手を入れ、サンジの胸に手を這わす。

ゾロの手によって胸の尖りはツンと上向いて、ゾロはその感触を楽しむかのように、何度も指

で撫で回した。

「んっ・・・ああっ・・・やっ・・・ん・・・あ・・・」

すでに、サンジの瞳は、涙で揺れ、ゾロの手の動きにフルフルと身体を震わせる。

ゾロは、サンジのセーターを胸までたくし上げ、ツンと立ち上がっている胸の尖りを口に含み

舌で愛撫した。

「ヒャッ・・んっ・・・・ああ・・・・ん・・・ゾロ・・・ヤァ・・・・」

ゾロの舌の動きに翻弄され、サンジは、髪を振り乱す。

ゾロは、胸の尖りを舌で愛撫したまま、そっとスカートの中に手を忍ばせた。

そして下着を剥ぎ、ゆっくりとサンジの雄を扱き始めた。

すでに勃ち上がり掛けていたサンジの雄は、ゾロの手の中ですぐに容積を増し、ビクビクと

脈打ち始める。

「んんっ・・・ヤッ・・・・ゾロ・・・・ああっ・・・俺・・・・もう・・・」

サンジは、胸と下半身と同時に弄ばれて、ゾロのギュッとしがみついた。

「なんだ、早いんじゃねえ?」

ゾロは、サンジの胸の尖りを口に含んだまま、瞳だけサンジの顔を見てニヤリと笑う。

「ん・・ああっ・・・ば・・か・・・銜えたまま喋ん・・・なっ・・あっ・・・・」

サンジは、涙で揺れる瞳でそう言って、ゾロを睨み付けた。

「・・・・・やっぱ、結構、クルな・・・・」

ゾロは、そう呟くと、サンジの雄を扱く手の動きを早め、サンジを追い立てる。

「ああっ・・・んっ・・・・ヤァ・・・んっ・・・ゾロ・・・・ダメ・・・・・だ・・・俺・・・・・あっ・・・

ヤッ・・・ックッ・・・」

ビクンとサンジの身体が仰け反り、サンジは、ゾロの手の中に白濁の精を吐き出した。

ゾロは、絶頂の余韻に浸るサンジの身体を甲板に俯せ、腰を抱えるとスカートの下から、

サンジの精の付いた指をそっと後口に這わせる。

「フルール!」

急に、ロビンの声が聞こえたかと思うと、その瞬間、ゾロは、サンジから離され、ロビンの数

本の腕によって甲板にがっちりと拘束された。

「ダッ!! な、なんだ? なんで、コレ? おい! こら、ロビン! てめえ・・・」

ゾロは、必死でその拘束をほどこうとしたが、頼みの刀は、ロビンの手によって遠ざけられて

いた。

バキッ!!

「グガッ!!」

その直後、ゾロの頭に、ナミの天候棒が飛んできた。

「・・・・ったく、この強姦魔!! もしかしたら、って思って、帰ってきて正解だったわ。

危うく、300万ベリーの大損するとこだったじゃない!! サンジ君も、昼間っから、

この強姦魔獣にいいようにされてるんじゃないわよ! さ、さっさと身支度し直して、

あたし達と一緒に行くわよ!」

ナミは、そう言うと、呆然としているサンジを引っ張ってロビンと共に、船を下りていく。

「・・・・・この最凶魔女軍団が・・・・・・・」

バコッ!!

「グハッ!!」

「・・・・聞こえてるのよ・・・・・ふん!!」

ゾロの呟きに、ナミは、もう一度、天候棒をゾロの頭に投げつけてから、街に向かった。

「・・・・・あいつら・・・・いつか絶対に、斬ってやる・・・・・」

ゾロはそう呟いて、刀を手に持つと、慌ててサンジの後を追い、船を下りた。








「さあ、今年のバレンタイン島お菓子コンクール。 見事優勝してこの豪華景品と賞金

を手にするのは一体誰なんでしょうか? 予選を勝ち抜いたこの4名で争われます。

それにしても、今年は、なかなかの美女揃いですね。 その腕もさることながら、目の

保養の方も充分にできそうです。 では、調理の方、スタートです!!」

司会者の掛け声と共に、特設会場では、4人の女性によるお菓子作りが始まっていた。

その中には、当然、サンジの姿もある。

やはり、コックを本職としているサンジは、料理をしているときが一番楽しいのか、自然と表

情に笑みが零れる。

「はぁはぁ・・・・なんとか、間に合ったみてえだな。」

船を下りた後、案の定、迷子になっていたゾロは、息を切らしながら、決勝戦になってようや

く姿を現した。

「・・・・・やっぱり、俺のサンジが、一番・・・・」

すぐにステージの上のサンジを見つけると、ゾロはそう呟いて、自ら納得している。

ふと、周りの人に瞳を向けると、明らかに自分と同じ目でサンジを見つめる男達が、映った。

「・・・・あの娘、綺麗だよな。 にこにこと楽しそうに料理してるし、俺、結婚するんだ

ったら、ああ言う娘が良いな。 俺、このコンテスト終わったら、声掛けてみようか

な。」

「ば〜か、お前のような奴を相手になんかするもんか。 ああ言う娘は、俺みたいに、

金持ちで格好いい男じゃないと釣り合わないんだよ。 俺が、声掛けるんだ。」

「俺、絶対に、あの娘に投票する。 味なんか、関係ない。 あの娘が作るんだった

ら、俺、どんなにまずくても全部食べてやる。」

聞きたくなくても、聞こえてくるそんな男達の声に、ゾロは、チッと舌打ちをして、あらかさまに

その男達に向けて殺気を放つ。

その異様な殺気に、ゾロの周りだけが、シンと静まり返り、先程の声も、聞こえなくなった。

「さて、優勝は・・・・・な、なんと審査員全員一致して、3番のサラさんに、決定しまし

た!! 皆さん、拍手をお願いします。」

司会者は、そう言って、サンジの手を捕ると、ステージの中央へ連れてきた。

「さあ、今年のバレンタインクイーンは、貴女です、サラさん! おめでとう!! 

これが、賞金の300万ドルの小切手。 あと副賞に、1年分のこの島特産のチョコレ

ート菓子をプレゼントです。」

サンジは、審査委員長から賞金の小切手と目録を受け取ると、会場内で飛び上がって喜ん

でいるナミとその隣で微笑んでいるロビンに、にっこり笑って、ウィンクをする。

会場内に男達のどよめきが起きる。

そして次の瞬間、観客席から、ステージ中央のサンジめがけて数人の男達が、飛び出して

きた。

他方では、それを見ていた他の男達が、我先にと自分達もサンジの元に近づき、場内は、

騒然、パニックに陥った。

「こらっ!! 離せよ! ええい、触るな!!」

サンジは、自分に向かっている男達から必死で逃げ回る。

スカートが邪魔して思うように、蹴りが繰り出せない。

アッという間の出来事に、唖然としていたゾロは、サンジの声を聞いて、慌てて救出に向か

った。

連続して、竜巻を繰り出し、最短距離でサンジの元に向かう。

当然、ゾロが通った場所は、ことごとく全潰していて・・・・騒ぎが収まったときには、会場は、

荒れ地と化していた。

「お客さん、困りますよ。 いくら、暴動を抑えるためとはいえ、これじゃあ・・・・・」

主催者が、そう言って、ゾロを窘める。

「・・・・悪かった。 ・・・・やりすぎた、謝る。」

ゾロは、ばつが悪そうにそう言って頭を下げた。

「謝られてもねえ・・・・弁償して貰わないと・・・・・」

「・・・・済みません。 じゃあ、この賞金から弁償しますから、この人、許して貰えませ

んか?」

「良いんですか?サラさん?? あなたの賞金でしょ?」

「ええ、でも、放ってはおけませんから。」

サンジは、主催者にそう言ってにっこりと微笑んだ。

「貴女がそうおっしゃるのなら・・・・・」

結局、サンジが受け取った賞金は、大部分が、その弁償金と消え、残ったのは、10万ベリ

ーだけだった。

「・・・・・ったくよ。 どうすんだ、このお金・・・・ナミさん、すげえ怒るぞ。 俺、知らね

えからな。」

主催者のところから宿屋に向かう途中、サンジは、呆れ顔でゾロにそう言った。

「・・・・・・・・・。」

「まっ、それだけ、てめえが俺に惚れ込んでる証拠だし、な? 今回は、俺も一緒に

謝ってやるよ。」

サンジはそう言って、ゾロの腕に自分の腕を絡ませる。

「・・・・サンジ??」

いつもと違うサンジの態度にゾロは、思わず声を掛けた。

「き、今日は、俺、一応、レディだからな・・・・・・こ、こうしてても・・・・・・可笑しくね

え・・・・だろ・・・・/////」

サンジは、俯いたままゾロにそう言った。

かなり慣れないことをやっていると自分で自覚があるのか、サンジは、耳まで真っ赤になっ

ている。

ゾロは、そんなサンジを見て苦笑すると、俯いているサンジの顔を覗き込んで、唇にそっと口

付けた。

「な、ば、馬鹿!! 皆が見てるだろ!!・・・・/////」

そう言って狼狽えて辺りをキョロキョロ見回すサンジに、ゾロは、優しく微笑んで、その身体を

ギュッと自分の胸に抱き締める。

「・・・・好きだ、サンジ。 すっげえ好きだ・・・・」

ゾロはそう言って、サンジの顎に手を掛け、顔を近づけた。

「はい、そこまで。 公衆道徳は、守ってね。」

いつの間に側にいたのか、すぐ近くでナミがそう言って、ゾロを睨み付けている。

「なんだよ! 何の用事だ。」

ゾロは、忌々しげにナミを睨み付けてそう言った。

「あら、あんたなんかに用はないわ。 サンジ君、お疲れさまvv さあ、賞金の小切手

は、何処?」

ナミは、そんなゾロを一瞥して、サンジににっこりと笑いかける。

「ナ、ナミさん・・・・・実は・・・・・・・」

サンジは、事の次第と顛末をナミに全て話した。

サンジが差しだした10万ベリーを握り締め、見る見るうちにナミの表情に暗雲が広がってい

く。

「・・・・・・・・あんたは・・・・・・・あんたって人は・・・・・・・」

これ以上ないって言うほどの怒りのオーラに身を包み、ナミはゾロを睨み付けた。

「・・・・・あの・・・・・ナ、ナミさん・・・・」

「サンジ君、すぐに出航するわよ!! すぐに、皆を船に呼び寄せて!! これ以上

お金を散財するなんて出来ないわ!! さあ、ぐずぐずせずに!! これ以上、あた

しを怒らせないで!!」

ナミは、サンジにとりつくしまもなく、一気にそう捲し立てると、一人で船に戻っていった。

事の次第を知った他のクルー達は、慌てて船に戻り、ゴーイングメリー号は、慌ただしく港を

後にする。

「サンジ君、ゾロ、ちょっといいかしら?」

さあこれから、恋人達の時間が始まるという深夜の格納庫に、ナミはそう言って現れた。

「何しに来てんだよ!」

今日一日、ことごとくサンジとの仲を邪魔され続けたゾロは、こめかみをヒクつかせナミにそう

怒鳴る。

「・・・・・これ、今日の副賞。 ゾロ、コレ、あんたの分。 全部食べなさいよ。 

コレ食べきるまでは、サンジ君との愛の営み、全面禁止よ!! 良いわね! サンジ

君も、あたしに嫌われたくなかったら、ゾロが、コレ食べ終えるまで、こいつに近づか

ないこと! 当然、ルフィとか他のクルーに食べさせようなんて考えない事ね。 

ちゃんとチェックするんだから。 わかったら、サンジ君、さっさと行くわよ。 

ゾロ、あんた、ソレ食べ終えるまで、ここで一人で寝るんだからね。 金の恨みほど恐

ろしいモノはないんだから。」

ナミは、逆にゾロを睨み付けると、そう言ってサンジと共に格納庫を出ていった。

カチャリと外側から鍵の掛かる音がする。

ゾロは、呆気にとられて、側に置いてある袋を見つめる。

両腕一杯程もあるその袋から、甘ったるい匂いが漂ってくる。

「・・・・・・嘘だろ、おい・・・・・・・」

ゾロは、青ざめた表情のまま、その袋をじっと見つめた。

それから、一週間、未来の大剣豪は、皆の前にその姿を現すことはなかった。

あまりに心配になったので、チョッパーは、こっそりとゾロの様子を身に格納庫に入った。

「ゾローッ!! おい、しっかりしろ!! 大変だ!! チアノーゼがおき始めてる!」

チョッパーは、慌てて変身すると、ゾロを抱えて格納庫を出た。

「・・・・・・食ったぞ。 ・・・・・・全部食ったからな・・・・・・もう、文句は言わせ・・

ね・・・・」

ゾロは、ボソリとそう呟く。

「おい! しっかりしろ!! ゾロって! ゾロってば!!」

薄れゆく意識の中で、ゾロは、懐かしいサンジの声を聞いた。









季節は冬・・・・・それは、皮肉にも、恋人達が愛を交わす2月14日。

Got bless you!

ロロノア・ゾロに、神の祝福あれ!









<END>




          
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<コメント>

ロロノア・ゾロの悲惨なバレンタインデーということで。(笑)
いや、別に、バレンタインじゃなくてもって感じなんですが。
瑠衣ちゃまのリクエストで、
【バレンタインで、死ぬほど甘い物を食べさせられる不幸なゾロ】
だったっけ??(-_-;)をお届けしました。
あってる?? 瑠衣ちゃま??(汗)
では★(脱兎!)