キスより・・・ |
「あー・・・・もうそんな季節か・・・」
キッチンのカレンダーにふと瞳を向けると、そこには赤い花丸。 「そうだろ・・?俺・・・・」 ふぅと深く息をして、シンクに立つ。
「サンジ君、おはよう。 今日も良いお天気よ。」 そう言ってナミさんがキッチンに入って来た。 「おっはようございま〜っす!ナミすわんvv 今日もクソお美しい〜〜vv」 俺は、用意していたアールグレイに、ナミさんから分けて頂いた蜜柑で作ったマーマレードを 「ありがとう、サンジ君。 ん〜いい香りv 頂くわ。」 満面の笑顔で俺を見るナミさんに俺の鼓動はヒートアップ。 「そう言えば、今日、ゾロの誕生日だったわよね? 準備の方、お願いできるかしら?」 「もちろんです、ナミすわんv ナミさんの頼みとあらば、このサンジ、なんだってしちゃいまぁ 俺の・・・馬鹿。 「ありがとう、助かるわ。 君だけが頼りよ。 よろしく頼むわね。 じゃ、あたし、テラスで新聞 「はぁい、直ちに朝食の準備に取り掛かります!」 キッチンを出ていくナミさんの後姿に一礼し、俺はまたシンクに向かった。 「・・・・・・一応、祝いだからな。 アイツの好きなもんでも考えてみっか。」 今まで作ったレシピの中で、アイツが好んで食ってたもんをリストに上げる。 「おっ、サンジ。今日はご機嫌だな? なんか良い事あったのか?」 その声に気がついて食卓へ振り向くと、ウソップとルフィがいつの間にか座ってる。 「んぁ? お前ら、いつの間に入ってきたんだ?」 「ん? 今さっきだけどな。 お前、珍しく鼻歌混じりに熱中してたみてえだから、わかんなか 「サンジィ〜・・・・どうでもいいけど、腹減ったぁ・・・・」 俺の問い掛けに、ウソップとルフィはそう言った。
あっという間に時間が過ぎ、アイツの誕生パーティーは大いに盛り上がった。 「サンジ君、ゾロ。 後は頼むわね。 あたし達もう寝るから・・・」 「かしこまりましたぁ〜vv おやすみなさい、ナミすわん、ロビンちゅわん。」
甲板で酔い潰れて眠っているルフィ達を指して、ナミさんとロビンちゃんも自分達の部屋に戻
「さてと、俺はパーティーの後片付けするから、テメエは、ルフィ達を部屋に連れて行ってく アイツにそう指図して、俺はてきぱきと片付け始める。 「あー・・・今日は、ありがとな。」
急にすぐ後ろで声がして、ビビッた。 「わっ! なんだよっ! びっくりするじゃねえかっ! 居るなら居ると言えっ!」
まだ心臓がバクバクしている。
「あ? いや、礼を言っただけだろ。 テメエが鼻歌なんぞ歌ってるから気付かなかっただけ
本当にしれっとした表情で俺に言い返してきやがった。 「・・・・・別に礼を言われる事は何もしちゃあいねえぜ? プレゼントだって買ってねえし?」 そう皮肉っぽく言ってニヤリと笑ってやる。
「ガキじゃあるまいし、プレゼントなんざ、この年になって貰っても嬉しかねえよ。 まっ、気持 ニッとアイツも笑い返した。 「今日の飯・・・・ありがとな。」
ボソッとアイツが呟く。 「べ別に、俺は料理人として当然の事をしただけで・・・・」 「ああ、わかってる。 ただ礼を言いたくなっただけだから。 酒、貰ってって良いか?」 俺の動揺も知る由もなく、アイツは酒棚から酒を勝手に持って出ていく。 「ちょっと待て・・・・」 「あ? 良いだろ?今日ぐらい。 もう少し飲みてえ気分なんだ。」
呼び止めた俺に怪訝そうな表情を見せるアイツ。 「クク・・・・誕生日、おめでとう。ロロノア・ゾロ。」 初めて見た驚吃したアイツの表情に笑いがこみ上げる。 「テメエ・・・・」 ゆらりとアイツから殺気が漂う。 「オイオイ・・・んなファーストキスじゃあるまいし。 ただの戯れ。 ちょっとした・・・っ?!」
唇に生温かい感触。 「クク・・・・冗談、なんだろ?」 ニヤリとアイツの口角が上がった。 「なっ! クッ・・・・」
すぐには反論出来なかった。 「ああ、そうだよ。 テメエへのちょっとしたプレゼントだ。 嬉しいだろ?」 必死で余裕の笑顔を作り、そう言い返す。 「プレゼント?」 ピクリとアイツの眉が上がった。 「な、なんだよ・・・・」 「プレゼントって言ったよな?」 「ああ、言ったぜ? だったら、どうした・・・」 なんかとんでもねえ事を言った気がするが、後には引けそうにもねえ。 「じゃあ・・・・・この唇は、これから俺のもんだな。」 スッと唇を親指でなぞられた。 「遠慮なく貰う。 じゃあ、またな。」
アイツはそう言うと、また俺の唇を掠めて、キッチンを出て行った。 「まっ、いっか・・・・」
それ以上考えるのは止めとこう。
「だから、ちょ、ちょっと止め・・・っ!!」 「聞かね・・・」
キスなんか・・・・やるんじゃなかった。 |
<コメント> 祝ってるようで祝ってないようで・・・んー・・・ぽりぽり・・・(オイ) とりあえず1本目と言う事で!!(脱兎) 閉じてお戻りください。 |