The judge



 




「・・・・・・もう一年経ったんだな・・・」

そう呟いて、そっと卓上カレンダーに触れる。

・・・・・・・3月2日。

俺が、この施設の幹部として配属された日。

そして・・・・・・俺の誕生日。

時間だけが過ぎる意味のない誕生日。

昨年から、無意味と化した俺の誕生日。

遠く懐かしい日々が蘇る。

一番幸せで、生まれてきた事に感謝して過ごした、今は無い俺の誕生日。

そうノスタルジックに浸っていると、不意にコンコンとドアのノックが聞こえた。

「少佐! ご報告に上がりました。」

くぐもった声が、部屋の外から聞こえる。

「ん? なんだ、こんな時間に・・・・・・・入れ。」

「ハイ、失礼します。」

そう言って、部下が部屋に入ってきた。

そして・・・・・・・

その人物に俺は驚愕する。




ゾ、ゾロ・・・・・

なんで、コイツが・・・・・




「なんで、こんなところに来た!」

軍服に身を包み変装しているゾロの胸倉を掴み、俺は、そう怒鳴った。

 

 

 

俺とゾロは、親友・・・・・・・・・・・・いや、恋人だった。

俺達の国は多民族国家だったが、それぞれの民族間になんの争いもなく平和な国だった。

ずっと、その幸せが続くものと、そう信じていた。

そう・・・・・・・この・・・・強大な軍事国家に占領されるまでは・・・・・・

長年、紛争もなく安穏としていた俺達の国は、あっという間に占領されて・・・・

その軍事国家による人種差別政策という恐怖政治が始まった。

先祖代々この国で育った俺と、数代前にこの国へ流れいついたゾロは、否応なくその渦中に

巻き込まれ・・・

軍事国家に支配される側と、追われる側とに分かたれた。

しかし、俺達もこの理不尽な侵略に黙って服従していた訳ではない。

俺達の自由を、幸せを、国を、取り戻そうとレジスタンス活動を起こした。

そして、同じような志を持つ同志とともに敢然と闘った。

だが・・・・・・

圧倒的な軍事力を持つその国の前では、俺達の戦力は高が知れてて・・・・・

ちょっとした気の緩みからアジトを襲撃されて・・・・・・・

気がつけば、俺とゾロだけ・・・・

「サンジ! 早く逃げろ!!」

敵の切っ先を避けながら、俺を抜け穴から先に脱出させようとしたゾロの胸に血飛沫が散る。

あっという間に、ゾロのシャツに広がる血の色。

「ゾローーーーッ!!」

「は・・・やく・・・行け・・・・・俺は大丈夫・・・・だから・・・・」

たどたどしい言葉を話しながらも、いつものように不敵に笑みさえ浮かべて俺を見つめるゾロ。

「嫌だ! てめえを置いて行けるか!!」

そう必死でゾロの元に駆け寄った。

背中に聞こえた銃声。

グッと息が詰まった。

口の中に、鉄の味。

「サンジーーーッ!!」

それが、俺の聞いた最後のゾロの声だった。

気がつくと、俺はどこかの病院のベッドで横たわっていて・・・・

黒髪の男が、俺の顔を見つめていた。

「どうやら、峠は越したようだな。」

黒髪の男は呟くようにそう言って、近くに居た将校らしき人物に話をし始める。

「てめえは誰だ! ゾ、ゾロは!! っう・・・!!」

そう叫んでガッと身体を勢い良く起こし、蹲る。

胸に真っ白な包帯。

勢いよく身体を起こしたせいか、瞳がクルクル回る。

「オイオイ・・・・せっかく拾ってやった命なんだぜ。 無碍にすんなよ。」

そう言って黒髪の男は俺の肩をベッドに押し付けた。

背中に激痛。

「グワァ!!」

あまりの痛みに声も出ない。

「おっ、悪かったな。 けど、騒ぐおめぇさんがいけねえんだぞ。 俺の名は、エース。 この一

帯の最高責任者だ。 おめぇ、サンジだろ。 名前はとある人物から聞いてよく知ってる。 

おめぇさんの力を借りたい。」

エースと名乗る男は、そう一方的に話をしてにっこりと笑った。

「ふざけんな!! 好き勝手してる残虐非道なてめえらに俺が手を貸すとでも思ってやがんの

か!」

胸倉を掴みたくても、俺にはその力さえ残っていない。

ジッと睨みつけるしかなかった。

「            」

「エッ?!」

俺は耳を疑った。

「おめぇさんが、ここで死ぬならそれでも良し。 けど・・・・・人間、最後まで何が起こるかわか

んねえよ。 さぁ・・・・どうする? 俺達に協力して裏切り者の烙印を押されたまま、それでも

生き延びるか・・・・・ジ・ハード(聖戦)の戦士として、ここで命を絶つのか。 決めるのは、おめ

ぇだ。」

エースの言葉を何度も頭の中で反芻する。




あいつが・・・・・・生きている・・・・・

まだ・・・・・・・・諦めるには、早え。




その一言が、俺に決断させた。

「俺がてめえらの犬になるのは、てめえらに屈したわけじゃねえ。 まして命が惜しくなったわ

けでもねえ。 いつかきっと後悔させてやる。 俺の命を取らなかった事。 それまでは、精々

可愛い従順な飼い犬を演じてやる。」

そう言って、キッとエースを睨みつける。

「良いねぇ〜、その瞳。 だが、容易に俺達は倒せねえぞ。 ミイラ取りがミイラにならねえよう

に気をつける事だな。 怪我が治り次第、おめぇには、仕事をやって貰う。 これが、おめぇさ

んの軍服だ。 その金色の髪に良く似合う・・・」

エースは不敵に笑うと、俺の髪をひっぱり、そっと唇を落とした。

「俺に気安く触るな!」

「ハハハ・・・・その元気がありゃ、すぐに良くなるな。 待ってるからな、サンジ。」

俺に叩かれた手を擦りながら、エースはそう言うと病室を出て行く。




俺は、諦めねえ。

俺は俺のやり方で、内側からこの巨大国家を突き崩してやる。

そして・・・・・・・・・

あいつに、逢う。

あいつが死んでねえ限り、俺も死ぬわけにはいかねえ。

諦めんのは、あいつの屍をこの瞳で見てからだ。







 

「誕生日・・・・おめでとう。」

回想していた俺の耳に懐かしいゾロの声が聞こえた。

ふと、現実に引き戻された俺。




この状況で、第一声がそれかよ?




あまりにもあいつらしくて、俺は苦笑した。

「ここが何処だかわかってんのか? 一体、てめえは何しに来たんだよ・・・」

「当然、わかってる。 てめえを助けに来た。」

俺の質問に全然緊迫感なく答えるゾロ。

「だからと言って・・・・・・無謀にも程がある。 てめえ自身が捕まったら、どうやって俺を助ける

と言うんだ。 ・・・・・早く行け。 さっさとどっか行っちまえ!!」

本当は、一緒に逃げ出したかった。

こいつと一緒なら、死んでも良いかとも思った。

けど・・・・・・こんな状況で、こいつを死なせたくなかった。

ここは、難攻不落の要塞。

国家の要。

逃げ出すのが容易じゃねえ事は俺が、一番良く知っている。




だって・・・・・・・・・

俺の為に、だなんて、そんなの・・・・・・・・

絶対に許せねえ。




「ああ、言われなくてもそうするつもりだ。 てめえと一緒に、な・・・・」

ゾロはそう言うと、ひょいと俺を抱かかえてドアを蹴破った。

俺は予想外のゾロの行動に面食らう。

思考がついていかない。

「少佐殿! 如何・・・・あっ! 貴様は!!」

その騒ぎを聞きつけて、数名の将校が駆けつけて来た。

「クスクス・・・・君がロロノア・ゾロ君だな。 わざわざのご来場、ご苦労さん。」

そう言って、将校たちの間を割って、エースが現れた。

「エース! てめえ、まさか・・・わざと・・・・」

「ネズミを捕まえるには、それなりに餌を用意しねえとな。 それに・・・全ては、計画通りだ。」

俺の言葉を遮って、エースはそう言ってにやりと笑った。

「捕らえろ!」

「「「ハッ!!」」」

エースの号令に将校たちが俺達を取り囲む。

「エース・・・・・てめえ、初めから・・・・」

俺はゾロから離れると勢い良くエースに飛び掛った。

「・・・・・・悪いな・・・・サンジ・・・・」

少しだけ淋しげなエースの声が意識のなくなる直前に俺の耳に届いた。










「全体ー、直れ! 右向けー、右!」

はっきりとしない頭の中で、そう声が聞こえる。

「ただいまから、公開処刑を執り行う。 狙撃手、構え!!」

「閣下、これが、反逆分子、『赤い牙』の主要幹部と思われるロロノア・ゾロです。 こいつを処

刑してしまえば、後はなし崩しに壊滅できるものと思われます。」

「うむ。 よくやったぞ、エース。 君には特別勲章を授与しよう。 肩書きも大将に特進だ。」

「・・・・・ありがたき、光栄・・・」

言葉ははっきりと聞こえるのに、意識がしっかりと保てない。

それが、薬を投与されたせいだとは容易に気がついた。

先程開発完成されたというマインドコントロールと弛緩剤の混合剤。




・・・・・・ちょっと、待て・・・・

なんなんだ、その話は・・・・

ここは、一体・・・・?

俺は、なにをして・・・・?

待て・・・・・・

あれは・・・・・・・

あの瞳の前に括り付けられているのは・・・・・




・・・・・・・・・何が起ころうとしてるんだ・・・・・?




俺の瞳の前には、梁に括り付けられてるゾロの姿。

狙撃手の銃口は、ゾロに向けられていた。

そして、俺は、それを平然と見つめている。

・・・・・・・・・・・・・・エースの隣で・・・・・

・・・・・・総督の横で・・・・・・




「            」

言葉が出ない。

身体が、凍りついたようにぴくりともしない。




止めろーーーっ!!

止めてくれ!!

俺のゾロを・・・・・・・・

俺の希望を・・・・・・・

どうか・・・・・・

奪わないで・・・・・・・




俺の心の叫びも虚しく、銃声が響き渡る。

真っ赤な胸の鮮血とともに・・・・・・・・・・・・ゾロの頭が力なく垂れた。




ゾ・・・・ロ・・・・・・・




俺は、何もできなかった。

ゾロの身体は梁から外され、壁際に無造作に放り出された。

「ハハハ・・・・これで、余も安心して眠れるというもの。 今夜は、ここに泊まり、明日の朝、

帝都に戻るとしよう。 エース、今夜は美味い酒でも酌み交わすとするか。」

「では、極上のワインを用意させましょう。 サンジ、行くぞ。」

「ハイ。」

俺の意思とは反して、身体はエースの言葉に反応する。

ゾロの亡骸に縋り付く事も振り向く事さえ出来ず、俺は、総督とエースの後に続いて施設に戻

った。



その夜、ようやく薬の効果が切れた。

俺はサイレンサー付の拳銃を胸ポケットに押し込め、エースの部屋に向かう。

ゾロを失った俺に、怖いものも、この世に未練もなかった。




必ず、総督とエースを葬り、その屍を晒してやる。

たとえこの身が果てようが、一矢だけでも報いてやる。

俺を生かし続けた事を後悔しろ。




音を立てないよう、細心の注意を払い、エースの部屋に忍び込む。

寝室を覗くと、エースが高鼾で眠っていた。

「あの世で、ゾロに詫びれ・・・」

そう言い放って、引き金を引く。

しかし、弾はエースを貫くことなく、枕にのめり込んだ。

「いよう・・・・・早かったな。」

のっそりとエースが身体を起こす。

まるで何事もなかったかのように・・・・・

俺は、慌てて次の引き金を引く。

「オイオイ、待てったら・・・・」

俺が引き金を引くより早く、エースがそう言って拳銃を払い落とした。

すかさず俺も蹴りを繰り出すが、エースはそれを絶妙に避けながら、俺を後ろ手に締め上げ

る。

「クソッ! コノやっ・・・・んっ・・・!!」

「シッ! 黙って・・・・せっかくの計画が全ておじゃんになるだろ・・・・」

暴れる俺の口を手で塞ぎ、エースはそう耳打ちした。




計画??

おじゃん??




エースの話が読めない俺は、ジッとエースを見るしかなかった。

「・・・・・・いよいよ待ち望んだ瞬間がやってくる。 おめぇも一緒に来いよ。」

俺の拘束を解き、エースはそう言って部屋を出る。

「話してる間も惜しいんだ。 早く来いよ。」

ニッといつもの人懐こい笑顔とともにそう言うエースに、俺は渋々従った。

向かった先は、総督の居る部屋。

日頃、臆病で有名な総督は何十もの厳重な警備に囲まれ、あまつさえ、影武者をも配置する

ような徹底振りだった。

が、しかし、今夜は、主要な反逆分子・ゾロを葬った安堵感からか、警備の方も極めて手薄。

簡単に寝室まで行き着いた。

「エース殿。 閣下は、既にご就寝なされています。 用件は明日の朝、お願い致します。」

寝室を守る二人の近衛兵が、そう言って俺達を遮る。

「はぁ・・・・そうしたいのは、山々なのですが・・・・・こちらも、事情がありまして・・・・・」

そうのらりくらりと近衛兵に話をしながら、エースが俺に目配せした。

次の瞬間、俺の蹴りとエースの拳が二人の近衛兵の腹にのめり込む。

「てめえは・・・・・一体・・・?」

「まっ、話は作戦を成功させてからゆっくりとしようや。」

そう返事してポンと俺の肩に手を置いたエースとともに、俺は総督が眠る寝室に入っていっ

た。

「・・・・・閣下。 総督閣下。 重要なお話があります。」

エースが、眠っている総督にそう声を掛け、身体を揺する。

「ん・・・・・なんだ、余はまだ・・・・・・眠い。 ・・・・・・話なら、明日、聞く・・・・。」

寝惚け風情でそう話す総督に、エースはにっこりと笑って、その額に銃口を当てた。

「なっ、なにを、馬鹿な!! エース!貴様!! 誰か!! 逆賊ぞ!! 誰か!!」

冷たい銃口の感触に飛び起きた総督は、慌ててそう叫ぶ。

「ジ・エンド・・・・・・この時を、ずっと待ってたぜ? せっかく起こしたのに、悪いな? おやす

み・・・・総督閣下・・・・・永遠に・・・・」

エースの冷酷な微笑とともに銃口が火を噴く。

「待て!! エー・・・」

総督の言葉は最後まで続く事はなかった。

ドサッと、総督の屍がベッドに横たわった。

「閣下!! 如何されました!! 閣下!!」

総督の声を聞きつけたらしく、部屋の外が急に騒がしくなる。

「任務完了。 さて、長居は不要だ。」

「エース・・・・・・てめえは・・・・」

事の成り行きを呆然と見ていた俺の耳に、突然物凄い爆発音が響いた。

「おっ! あっちも始まったようだな。 サンジ、全力で逃げるぞ!」

エースは、そういうや否や、ドアを蹴破り、敵兵の中を突っ切る。

俺もまた、事情が呑み込めないまま、エースの後に続いた。

闘いは熾烈を極め、施設を出る頃には、俺もエースもクタクタになっていた。

そんな中。

「こっちだ!! サンジ!!」

聞き覚えのある声が聞こえた。

聞こえる筈のない声。

頭で考えるよりも早く、身体が動いた。

その声の先を瞳で追った。

「ゾローーーーーッ!!」

ジープの運転席に居る人物を見とめて、そう叫ぶ。




なんで、ここに、ゾロが・・・・




頭の中が、グルグルと回る。

「急げ!! エース! サンジ!!」

差し伸べられた手を捕まえるように、俺は、ジープに飛び込んだ。

俺達を乗せたジープは、一直線に門を突破し施設を離れる。

後方に轟く爆音。

身体に感じる爆風が、その威力を俺達に伝えた。

「うっひゃあー・・・・壊滅だな、ありゃ・・・・・」

後ろを振り向きながら、エースが他人事のようにそう呟く。

「あんなもん、あいつらが俺たちの国にした事を思えば、微々たるもんだ。」

ふんと鼻であしらうように、俺の隣で声が聞こえる。

もう失ったと思っていた声が・・・・・身体が・・・・・・

俺の隣で動いていた。

「ん? どうした?サンジ・・・・・間抜けな顔をして・・・・」

そう言って、ゾロが俺の顔を覗きこむ。

「てめえ・・・・・てめえ、本当に・・・・・・ゾロか? いや、ゾロは俺の前で確かに・・・・・」

瞳の前に見える顔をまともに見返す事も出来ず、俺はブツブツと言葉を繰り返した。

「エース!! てめえ、サンジに何も言わなかったのか?!」

そう叫びながら、急ブレーキを掛け、ゾロが後ろを振り向く。

「いやぁ・・・・悪い、悪い。 言う暇もなくてさ・・・・・つい、うっかり・・・」

ヘラヘラと笑いながら、エースがゾロに謝った。

「ったく・・・・てめえ、わざとだろ。 わざと伝えなかったな・・・。」

呆れたように、ゾロはエースを見つめると、俺に視線を向ける。

「悪かったな、サンジ。 俺、てっきりてめえも知ってるものと・・・・」

「ゾロ・・・・・・俺に、わかるように説明してくれ。 俺・・・・・・頭がクラクラして・・・・」

「ああ、わかった。 ったく・・・・この馬鹿エースが・・・・」

俺の言葉に、ゾロはそう返事して、これまでのいきさつを俺に説明してくれた。

エースが、レジスタンス側の潜入スパイだった事。

俺が助けられてあの施設に配属されたのも、ゾロが捕まったのも、全て仕組まれてた事。

処刑の際、ゾロはあらかじめ血糊が入った防弾チョッキを着用し、狙撃手も同志だった事。

全ては・・・・

あの狡猾で臆病な独裁者を油断させ、抹殺する為の用意周到な計画だったと言う事。

俺は、あまりの衝撃に声も出なかった。

しかし、一人蚊帳の外に置かれていた事や、しらばっくれて俺の傍に居たエースにだんだんと

腹が立ってくる。

「このクソエース!!!」

俺は怒りに任せて立ち上がると、エースめがけて蹴りを放った。

「アヤヤ・・・サンジ君、すっごくおかんむりのご様子。 んじゃ、俺は一足先に、シャンクスに

作戦の成功を伝えてくるわ。 じゃあな〜・・・・ごゆっくり〜・・・!!」

ひらりと身を翻し、エースはジープから飛び降りると、後ろに続いていたジープに乗って去って

いった。

「クソ・・・・なんて野郎だ・・・・・」

ブツブツと文句を言う俺に、ゾロはククッ・・と喉を鳴らす。

「てめ!! 何がおかしい!! てめえが死んだと思って、俺は!!」

俺の怒りの矛先は、隣に居たゾロに向かった。

「クク・・・・・まぁまぁ・・・・こうしてまた逢えた訳だし・・・・・俺も、あん時にてめえが死んだと思

ってたぜ。 けど、てめえが生きて、あの要塞に居ると聞いて・・・・・志願したんだ。 少しでも

早くてめえに逢いたかったから・・・・・」

そう言って、ゾロが俺の唇に触れる。

「・・・・・・服・・・・脱げよ・・・」

そっと耳元で囁かれるゾロの言葉に、俺の怒りは何処かに飛んでしまってて・・・

「ばっ、なっ!! こんなとこで、なにを言って!!」

思わず恥ずかしくて俯いた。

「クク・・・・ばぁーか。 なに期待してんだよ? その軍服はてめえにゃ、似合わねえって、そう

言ったんだ。」

「うるせぇー!! だったら、最初からそう言えーーーーっ!!」

ニヤニヤして俺を見ているゾロに、俺はそう叫んで、その後頭部に踵を落とす。

「ったぁ・・・・・・クク・・・・全然変わってねえのな?てめえ・・・・」

俺の蹴りを食らっても、笑っているゾロに俺はムッとしながらも、こう声を掛ける。

「だったら、さっさと服を脱げる場所まで、連れて行きやがれ!!」






今日は、俺の誕生日。

動き始めた幸せな時間。

逢えなかった一年をすっぽりと俺から消し去ろう。

あの続きは、ここから始まる。






数日後。

独裁者を失った軍事国家は、あっけなく崩れ去る。

俺達の国に平和が戻った。









<END>


 

 


<コメント>

サン誕第一作は、軍服物だったりする・・・(苦笑)
ええ、これは企画に間に合わなかった代物。
使い回しだなんて・・・・そのとおり。(殴)
しかも、トイレで発想したと言ういわく付の・・・
・・・・・・しぃましぇん・・・(脱兎)

閉じてお戻りください。