Cappuccino |
「テメエ、人に食わせて貰っといて、今、なんつったぁ?! この緑野郎!」
「ァア?! 誰が食わせて貰ってるだぁ?! お前は、ただ作っただけだろがっ! このグル 「カァッチーーーン!! もう頭にキタ!! もう作ってやんねえ!! テメエなんかもう知らね バタンッ!! 一際大きな音を立てて、ドアが閉められた。 「やっべ! もうこんな時間!」
俺は、慌てて目玉焼きにしょうゆをぶっ掛けて口に流し込むと、ジャケットを羽織って表に飛び 「あんにゃろー・・・・俺を見てた癖に無視しやがった!!」
そんな事を呟いて、ちょっと油断してた隙に、バスが発車した。 「むっかつく!!」
俺は、心底ムカついた。 「な、なんだよ・・・」 「別に?」 それだけの会話で終わる。 「あら、満席ね。 ようやく乗れたと思ったのにぃ・・・」 「仕方ないわね。 暫くの辛抱だし、立ちましょう。」 聞き覚えのある声がした。 「ナミすゎんvv ロビンちゅわんvv ここにお座りくださ〜いvvv」 俺が反応するより早く、サンジがそう言って席を立った。 「あら、おはよ、サンジ君。 いいの?」 「もっちろんです、ナミすゎんvv」 「けど、これじゃあ・・・・」 俺の横のスペースを見て、そういってナミが困ったような顔をした。 「ああ、コレですねvv すぐにどかしますからvv おい、マリモ。すぐに退け。」
ナミに対する口調とは打って変わった横柄な口ぶり。 「オイ!ゾロ! 聞こえてんだろっ! 退けよ! ナミさんたちが座れねえだろ!」 口だけじゃなく、手も出してきやがる。 「痛っ!・・・・なんで、俺まで退けなきゃなんねえんだよっ! 俺だって座っていてえんだ!」 そう言い返して、ジロッと睨み付けた。
「ふーん・・・・やっぱ、たかが一停留所走っただけで、疲れるんだ。 思ったよか体力ねえな。
俺の鋭い視線にも臆するどころか、挑発するような視線で言葉の語尾をわざと濁すアイツ。 「ァア?! 何が言いてえ?!」 ムカつくままに立ち上がり、アイツの胸倉を掴む。 「飯食って身体鍛えてばかりじゃなくて、少しは人様のお役に立ちやがれっつってんだよっ!」
言葉が終わると同時に鳩尾に激痛。 「ゾローォ! こっち空いてるぞぉー!」
一触即発の俺らに注がれる視線。 「なぁなぁ・・・・お前ら、今度は何が原因なんだよ。」 バスを降りるなり、ウソップがそう言って俺と並んで歩き出す。 「あ? 何の?」
「何のって・・・・アレだろ、アレ。 お前ら、喧嘩するとすっげーわかるもんよ。 本当は 「余計な世話だ。」
度重なるサンジの態度を腹に据えかねてた俺は、ウソップにそう吐き捨てると、一人、急ぎ足 「あっちゃあ・・・・すげー怒ってるな、ゾロの奴・・・暫くは近寄らねえようにしとこう・・・」 「んぁ? ウソップ、どうした?」 立ち竦んでいるウソップの肩に触れ、サンジがそう声を掛ける。
「あ、サンジ・・・お前らさ、喧嘩するほど仲が良いって言うけどよ。 今回はちとヤバくねえ 「・・・・・ああ、忠告ありがとうよ。 わかった、そうしとく・・・」
自分でも少しやり過ぎたかと思っていたのか、サンジはウソップの言葉に素直にそう言って苦 「ゾロ・・・・さっきは、ご・・・」
「あ、ルフィ! お前、これからシャンクス受けんだろ? 俺もそのゼミ取ってるから、一緒に行 「おう! んじゃ、行こうぜ。」 まるでその場に居ないかのように、ゾロは俺を無視して、ルフィと共に教室に入っていった。 「う・・・・そ・・・・・」 呆然と立ち竦む俺。
『コーヒーなんて、腹に入れば同じだろ。 眠気覚ましに飲むんだし、んな牛乳を撹拌してクリ
ゾロはきっと朝の忙しい時間にわざわざ込み入ったもんを作らなくても、って意味で言ったんだ 「こんなんで、終わるのかな・・・・」
呟いた言葉にハッとした。 「ゾロ! あのな、あのな、ごめん! 今日は、俺・・・・・」 「話したくねえ。」 俺の言葉を遮るように、ゾロの一言。 「あ・・・・ああ・・・・わかった・・・・」
それから、俺は逃げるように足早にそこから去った。 「なんだ?ロロノア? 便所か?」 シャンクスの声で教室に笑い声。 「いえ・・・あ、はい。 そうです。 すみません!行ってきます! 悪い、ルフィ。 後、頼む!」 「あ、オイ! ちょっと!荷物全部持ってくのか?! しかも、そっちは便所じゃ・・・」
シャンクスの声も構いなく、俺は駆け足で教室を後にした。 「えっ?!」 びっくりした表情で振り向いたサンジを尻目に、俺はそのコーヒーを一口含む。 「・・・・・不味い・・・」 「えっ?!」
サンジの口から二度目の『えっ?!』。 「ゾロ・・・・美味いって・・・・・美味いって言ってたのに・・・・・・」
そう言いながら、なんでかサンジが泣き出した。 「ちょ、ちょっと、いいから、こい。」
居たたまれず、好奇の視線から逃れるようにサンジを引っ張り、店の外に連れ出た。
「あー・・・だから、なんで泣くんだよ。 んなに、俺が無視したのが堪えたのかよ。 悪かった。 誰も居ない公園で、ギュッとサンジを抱きしめて、そう謝る。
「んなんじゃねえよっ! もう忘れてんのかよっ! テメエがっ! テメエが去年、美味いって 瞳に涙を一杯溜めて、サンジがキッと俺を睨んだ。
「やっぱ、俺だけが覚えてたんだな。 初めて口利いたのに・・・それさえ忘れてんだ。 同じカ
そう言って、サンジはバシバシと俺の胸を叩く。 「・・・・・・なぁ。 なんでさっき・・・・不味いって・・・・」 さっきの店先を歩いてると、不意にサンジがそう聞いた。 「あ? ああ、今朝、お前の作ったカプチーノの方が、美味かったから。」 「そ・・・・そっか・・・・」 俺の言葉に、そう言って照れて、はにかんだサンジの手を掴み駆け出す。 「クク・・・・覚えてないか? 去年も・・・こうして・・・・ここを駆けたんだ。」 「あっ! 思い出した! 喧嘩して店から逃げたんだっけ・・・」 「あれから・・・・もう一年・・・・。 悪かったな?今朝は・・・」 「いや、俺の方こそ、ごめん。 けど、目玉焼きはソースだから! それだけは譲れねえ。」 「はぁ?! 目玉焼きは、しょうゆって決まってんだよっ! ソースなんて邪道だ!邪道!」 「うっせー! 作るのは、俺だ! 俺に従え!」 「んなんたかが目玉焼きだろっ! 俺だって、作れるわっ!!」 「俺の目玉焼きは特別なんだよっ!」 「何処が、だっ!!」 「全部だ!全部!!」 「・・・・・一緒だろ。」 「違ーう!!」 「だから、何処が・・・」 「俺の愛情が、だ。」 「・・・・・言ってろ・・・」 「へへん・・・あ、もしかして、照れてる?」 「うっせーよっ! ちんたらしてっと置いてくぞ。」 「あっ! 酷ェー・・・・ゾロ! 待てよっ!」
去年と同じ景色と行動・・・・・・違うのは、俺とサンジの笑い声。 「ん・・・・・カプチーノよか、お前がイイ・・・・」
「しょーがねえなぁ・・・・少しだけだぞ。」 |
<コメント> 【Cappuccino】様への心ばかりの差し上げものv 海賊では、カプチーノの御題は無理があったので パラレルにしてみたんですが・・・・所詮、フッ・・・・(遠い目) 鶫さん、これからも、頑張ってくださいませvv 閉じてお戻りください。 |