Before Marry X’mas!!






・・・・・・今日は・・・・俺の誕生日・・・・

・・・・・・皆、もう、忘れちゃってるよな・・・・・

・・・・・・たった一回だけ言った俺の誕生日・・・・・・

・・・・・・それも、今年の初めに言ったきりだもんな・・・・・

・・・・・・あの時、たまたま皆の誕生日の話になって・・・・・

・・・・・・一人ずつ、言い合いしたんだっけ・・・・・

・・・・・・もう・・・・・・覚えてるわけ・・・・ない・・・・よな・・・・・

・・・・・・お、俺は、別に・・・・別に寂しくなんかないぞ・・・・・ほ、本当だゾ・・・・・

・・・・・・誕生日・・・・・・・皆・・・・・・忘れてるよ、な・・・・・・

・・・・・・けど、ひょっとしたら・・・・・ひょっとしたら・・・・・・・











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今日は、12月24日。

ゴーイングメリー号は、グランドラインをゆっくりと航海中・・・・・・

天候も穏やかな日々に恵まれて、日がな一日、ゆったりとした平穏に包まれていた。

「・・・・・・・・ナミ、何してんだ? 大事な蜜柑の木だろ? 良いのか?そんなことして

も・・・」

チョッパーが、蜜柑畑にいるナミとロビンに、不思議そうに言った。

「あら、チョッパー。 良いところに来たわ。 さあ、あなたも飾って。 明日は、クリス

マスでしょ? 本当は、樅の木にデコレーションするんだけど、ここにはないから、

この蜜柑の木に飾り付けして、少しでも、クリスマスムードを楽しもうと思ってるの。 

ただでさえ、船の上じゃ、季節とか感じなくなっちゃうから、こういう大きなイベントの

時ぐらい、派手にしなくちゃvv」

ナミは、そう言って、チョッパーに、飾りを渡す。

「ふ〜ん。 っで、ナミ、ロビン、クリスマスって、何だ? 俺、そんなのやったことない

からわからないんだ。」

チョッパーは、ロビンに貰った銀色の飾りを蜜柑の木に付けながら、そう聞いてみた。

「・・・・そうか。 知らなかったのね。 良いわ、ただで教えて上げる。 クリスマス

は、キリストって言う偉い人が、生まれた日なの。 その偉い人の誕生日をお祝いす

るってわけ。 わかった?」

「・・・・・・誕生日・・・・・・・うん。 ・・・・・・・わかった。 ごめん、ナミ、ロビン、俺、

用事を思い出しちゃった。 ごめんな。」

チョッパーは、ナミの言葉に、寂しそうにそう言って、その場所から離れた。

「あっ、ちょっと、待って、チョッパー!」

そう叫ぶナミの言葉も、チョッパーには、届いてはいなかった。




・・・・・・・偉い人は・・・・・・良いな・・・・・

・・・・・・・知らない人からも、お祝いされて・・・・・・・

・・・・・・・俺の誕生日なんて・・・・・・・

・・・・・・・やっぱり、皆・・・・・・・・忘れてるんだ・・・・・




とぼとぼと、甲板を歩いていると、ウソップとルフィが、なにやら騒いでいる。

「ねえ、二人ともなにしてんの?」

チョッパーは、先程の気分を振り払うように、明るく声を掛けた。

「ん?ああ、チョッパーか。 実はな。 ・・・ふがっ・・・・・・・ひえ!! 

あちーーーっ!!!」

「ああ、チョッパー、今な、新しい小物入れを作ってたんだ。 明日は、クリスマスだ

ろ? サンタさんが、プレゼントを置いていってくれる時、入れる場所がねえと困るだ

ろ? そう思ってな。 なっ、ルフィ・・・」

ウソップは、ルフィの口のなかに、タバスコ星を入れると、そう、チョッパーに説明する。

ウソップの後ろで、ルフィは、口から火を噴き出しながら、『みずーーーっ!!』と叫んでい

た。

「ふ〜ん。 ウソップも、ルフィも・・・・・やっぱり、クリスマスなんだ。」

チョッパーは、ますます寂しくなって、小さな声でそう言うと、キッチンに向かった。

キッチンのドアを開けると、甘いケーキの匂いが、充満していた。

キッチンには、ブツブツと言い合いをしながらケーキを作るサンジと、それを手伝うゾロの姿。

チョッパーの頭の中に、11月に行われたゾロの誕生日の様子が思い出される。




・・・・・・・・あの時も、同じ匂いがして・・・・・・

・・・・・・・そのケーキは、ゾロのバースディーケーキだった。

・・・・・・もしかして、サンジだったら・・・・・

・・・・・・もしかしたら、覚えてるかも知れない・・・・・・・

・・・・・俺の・・・・・俺の誕生日のこと・・・・・・




「・・・・なあ、サンジ。 何、作ってんだ? ひょっとして、ケーキか??」

チョッパーは、期待に胸を膨らませて、サンジにそう尋ねる。

「ん?・・・・なんだ、チョッパー、てめえ、食いてえのか? 出来たら、食って良いぞ。

これは、試作品だから。 こいつ、甘いもん、あまり食わねえから、今、いろいろと試

作してんだ。 明日、クリスマスだろ? せっかくのクリスマスケーキだからな、

皆で食べれるようにって、な。 おい、こら。 手を休めて良いって、誰が言ったよ! 

てめえの為に俺は、一生懸命に作ってんだからな。 ほらっ、終わったら、こっちのフ

ルーツも、皮剥けよ。 ・・・・・全く・・・・あれ? チョッパー?? 何処に行った??

・・・・・・変な奴・・・・」

チョッパーは、サンジの言葉にショックを受けて、黙って、キッチンを出ていった。




・・・・・・・やっぱり・・・・・皆・・・・・・・・

・・・・・・クリスマスのことしか、頭にないみたい・・・・・

・・・・・やっぱり・・・・・俺の誕生日なんて・・・・・・・

・・・・誰も・・・・・・誰も覚えてなんか・・・・・・・

・・・覚えてなんかなかった・・・・・・・

・・・・チクショー・・・・・・・

・・・・・ドクター・・・・・・ドクター・・・・・・

・・・・・・俺・・・・・悲しいよ・・・・・・

・・・・・・・俺・・・・・・寂しいよ・・・・・・

・・・・・・・・ドクター・・・・・・俺・・・・・・

・・・・・・・・・俺、一人・・・・・・一人、取り残されたみたいだ・・・・・・・




チョッパーは、男部屋のソファーの上で、そっと声を殺して泣いた。

いつの間に眠っていたのか、チョッパーは、身体を揺さぶられている感じがして目を覚ます。

ふとソファを見ると、ロビンの手が、チョッパーを揺らしていた。

「えっ、俺・・・・・眠っちゃたんだ。」

チョッパーは、そう言って、窓から見える、闇色の風景を見つめた。

言いようのない淋しさが、こみ上げてくる。

「・・・・べ、別に、いいさっ。 俺は、強いんだ。 海賊なんだぞ。 海賊は、こんなこと

で、うじうじしたりしないんだ。」

チョッパーは、そう自分に言い聞かせるように呟いて、部屋を出た。

誰もいない甲板・・・・・・

灯りの無いキッチン・・・・・・

「あれ?? 皆、何処に行っちゃったんだろ??」

甲板に出たチョッパーは、そう呟いて、辺りをキョロキョロする。

「「「「「「チョッパー!!」」」」」」

後ろの方で、皆の呼ぶ声がして、チョッパーは、慌てて後ろを振り向いた。

サッと、昼間の明るさのようなライトが点滅して、蜜柑畑に、文字が浮かぶ。

『HAPPY BIRTHDAY!! DEAR チョッパー!!』

文字が浮かぶと同時に、次々にクルー達が、チョッパーの元に来た。

「誕生日、おめでとう。 チョッパー。」

「海の上だから、プレゼントの代わりねvv」

ロビンとナミは、そう言って、左右から同時に、チョッパーの頬にチュッとキスをする。

「誕生日、おめでとうな、チョッパー。 これは、俺とルフィからだ。 お前、薬入れる

箱、欲しがってたろ? まあ、ほとんど、俺一人で作ったようなもんだけど、な・・・・」

「チョッパー、誕生日、おめでとさん。 俺だって、ちょびっとは、手伝ったんだから

な。」

ウソップとルフィは、そう言って、木の箱をチョッパーに手渡す。

「・・・・じゃあ、最後にだ。 おめでとう、チョッパー。 昼間は、ごめんな。 あんとき

ゃ、まだ話すわけにはいかなかったんだ。 ・・・・このケーキは、てめえに、俺達から

のプレゼントだ。」

「受け取れよ。 死ぬ気で、何度も、味見して作ったんだからな。」

サンジとゾロはそう言って、チョッパーの前に、バースディーケーキを差し出した。

そのケーキは、ピンク色のクリームでデコレーションされ、桜の花の形をしていた。

そして真ん中に、『Happy birthday』の文字・・・・・・

「っ・・・・・・皆・・・・・・・・覚えててくれたんだ・・・・・・・・忘れてるって思ってた。

・・・・・・ありがとう・・・・・・ありがとう・・・・・皆・・・・・俺・・・・・俺・・・・・俺、凄く嬉し

い・・・・・・嬉しいのに・・・・・あれ? ・・・・・なんで、涙が出るんだろ・・・・嬉しいの

に・・・・・・涙が・・・・・止まらない・・・・・・」

チョッパーは、そう言って、泣いた。




・・・・・・ドクター・・・・・ドクター・・・・・・

・・・・・・俺・・・・・俺・・・・・・・

・・・・・・凄く嬉しいよ・・・・・・嬉しくて・・・・・・・嬉しくて・・・・・・

・・・・・・ドクター・・・・・・俺・・・・・

・・・・・・俺・・・・・・嬉しい・・・・・・

・・・・・・たった一回だけしか言わなかったのに・・・・・・・・

・・・・・・皆・・・・・・皆・・・・・・・忘れてなかったんだ・・・・・・

・・・・・・覚えててくれたんだ・・・・・・

・・・・・・ドクター・・・・俺・・・・・・・幸せだ・・・・・・

・・・・・・凄く・・・・・・凄く・・・・・・幸せだ・・・・・・・

・・・・・・俺・・・・・生まれてきて・・・・・本当に・・・・・本当に良かった・・・・・

・・・・・・悪魔の実食べて・・・・・・ドクターに逢えて・・・・・皆に逢えて・・・・・・

・・・・・・本当に・・・・・・良かった・・・・・・・




「当たり前だ! 仲間だろ? 肉食える日は、覚えてる。」

「当ったり前よぅ。 忘れるわけないぜ、このウソップ様がよ。」

「ごめんね、チョッパー。 昼間、言えなくて・・・・・皆で、こっそり用意して驚かそうっ

て決めてたから・・・・」

「・・・・・本当に・・・・この航海士さんが、あなたの悲しげな顔を見てばらすんじゃない

かとハラハラしたわ。」

ルフィ、ウソップ、ナミ、ロビンが口々にそう言う。

「なめんなよ、海のコックを。 皆のアニバーサリーは、ちゃんとインプットされてんだ

ぜ。」

「・・・・・・すまねえ、俺だけ、本当に事言うと、こいつに言われるまで忘れてた。」

「気にすんな、チョッパー。 てめえの誕生日も覚えきれねえクソまりもには、脳みそ

が、入ってないからな。」

「何言ってやがる、てめえ・・・・・・」

「あん? 本当のことだろが!」

「・・・・やんのか、こら・・・・」

「・・・・・おもしれえ、相手になってやる・・・・」

「・・・・・ロビン、あの二人をお願い。」

「・・・・・わかったわ。」

一触即発ムードのゾロとサンジをロビンは、ハナハナの能力を使って、二人抱き合わせる格

好で拘束した。

「・・・・・ありがとう、皆・・・・・俺・・・・・・凄く、嬉しい・・・・」

チョッパーはもう一度、皆にお礼を言った。

「さあ、パーティーの始まりだーっ!」

ルフィの言葉で、チョッパーの誕生日パーティーが、始まった。

次々と甲板にセッティングされたテーブルの上に、サンジの豪華な料理が並ぶ。

そして、花びらの形にカットされたケーキが、皆の前に置かれる。

「・・・・あれ? サンジ、なんで、ゾロとサンジのだけ、花びらの半分だけなんだ?」

チョッパーが、不思議そうに、そう尋ねる。

「ああ、俺は、昼間、試作品、食ったからな。 これで、良いんだよ。 それに、こいつ

は、甘いの苦手だし・・・・これで、充分だ。」

サンジは、そう言って笑った。

「・・・・このケーキって、ハートみたいね・・・・」

ぼそりと、ロビンがそう呟く。

「やだ、本当。 色もピンクだし・・・・可愛いvv ピンクのハートのケーキねvv」

ナミが、そう言って、チラリとサンジを見る。

「・・・じゃあ、ゾロとサンジは、ハートを半分ずつ分けたんだ。 ラブラブだねvv」

チョッパーは、そう言って、笑った。

「「ブフッ・・・ゲホッ・・・ゴボッ・・」」

ゾロとサンジが、同時に噴き出す。

「いやだ、ちょっと・・・・なに・・・・汚いわね、サンジ君まで・・・・」

ナミは、そう言って、笑った。

「「チョッパー!!!」」

なぜか、チョッパーは、ゾロとサンジの二人に追いかけ回される羽目になった。

「な、なんでだよぅ・・・・俺、なんか、変なこと、言った?」

「「うるせえーっ! 待てこのクソトナカイ!!」」

「もう、止めなさい、二人とも!!」

ゴーイングメリー号を駆けめぐる声は、暫く収まることはなかった。






今日は、チョッパーの誕生日・・・・・・・Before Xmas!!







・・・・・・・・ドクター・・・・・・・・俺、最高に・・・・・幸せだ・・・・・・・・








 <END>






        
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<コメント>

チョッパー誕・・・・・少しだけだけど、お祝いと言うことで・・・(汗)
しかし、うちのサンジは、色気無いというか可愛げがないというか・・・・
その代わり、チョッパーを可愛く!!(ど〜ん)
うちのサイト、LOVEシリーズには、まだ出てきてないからなあ・・・・
どういうキャラにしようか、検討中・・・・
あくまでも、ボケボケ中立型にするか、サンジラブっ子にするか・・・・・
う〜ん・・・・・・まあ、それは、おいといて・・・・
『誕生日おめでとう! チョッパー!!』