WANTED |
面白くねえ・・・。 全然、面白くねえよ。 ・・・・・むかつく。 なんでだよ・・・。 なんで・・・・あいつだけ・・・・。 「・・・・・・邪魔だ。 そこ退け・・・。」 ぽかぽかと暖かい気候が続き、順調な航海を続けているゴーイングメリー号の船尾に一際 「んあ? なんだ、てめえか。 ・・・・別に邪魔じゃねえだろ。 昼寝の邪魔するなよな。」 船尾の縁にもたれ掛かり、いつものように昼寝していたゾロは眠そうに伸びをしながら、 「邪魔に決まってるだろうがっ!!このクソ剣士!! 人がせかせか働いてるときに一人で ゾロの言葉に、サンジは噛みつくようにそう罵声を飛ばし、ゾロの後頭部に踵を落とした。 「っ・・・・痛えーーーーっ!! なにしやがんだ!このクソコック!! なにイライラしてるのか ゾロは蹴られた頭に手を添え、勢い良く立ち上がろうとした。 「うるせーっ!! まりもの癖に口答えするなっ!!」 そこへまた、サンジから容赦ない蹴りが飛んでくる。 「このクソコック!!! いい加減にしろっ!!」 ゾロは、ひょいとサンジの蹴りをかわすと、振り上げられた足を掴んで、勢い良くサンジの 「っ痛えーーっ!! 離せ!!クソこの馬鹿力!! 離しやがれっ!!」 馬乗りになったゾロの下で、サンジはそう叫びながら、やみくもに暴れる。 「サンジ!!」 ゾロに名前を叫ばれて、サンジは、ビクッと身体を強張らせた。 「・・・・サンジ。 てめえが皆のためにいつも忙しく働いてくれてることはわかってる。 ゾロは、サンジの腕を手で押さえつけながら、そう言って睨み付けた。 「っ・・・・・てめえは・・・てめえは良いよなっ! そうやって眠ってても・・・ちゃんと・・・。 サンジは、悔しさからこみ上げてくる涙をゾロに見られまいと俯いたままそう言う。 「・・・・・・サンジ・・。」 「うるせえ!! 退けっ!!」 ドカッ!! サンジの涙に気を取られ、ゾロの力が弱まった瞬間、サンジは、力任せにゾロの腕を振りほ 「ガハッ! っ・・・・・サン・・・ジ・・・?」 瞬間のことで受け身を取り損ねたゾロは、そのまま甲板に俯した。 「・・・・・ごめんな、ゾロ。 ・・・・ごめん。」 サンジは、強い酒のせいもあって、そのままテーブルに伏して手配書の上で眠ってしまっ 「ったく、なんだってんだよ、今日は・・・。 サンジの奴、なんであんなに機嫌悪かったんだ? 格納庫でサンジを待っていたゾロは、そう呟いて部屋を出てキッチンへ向かう。 「・・・・なんだ、眠ってやがんのか。 しょうがねえな、そっとしておくか・・。」 ゾロは、小さな声でそう呟くとサンジの身体に毛布を掛けた。 「・・・・・そう言えば、昼間も手配書がどうとか言ってたな・・・。 ・・・・・馬鹿な奴。 たかが ゾロは、眠っているサンジの身体を抱き抱えて、側にあるソファーに横たえ、もう一度毛布を 「・・・・・何が変わるって訳でもねえのに・・・・・そんなに気になるんなら・・・・。」 ゾロは、テーブルに置いてある自分の手配書を手に取るとキッチンを出て、男部屋に向かう。 「おい! ウソップ! おい、起きろ!!」 ゾロは、熟睡していたウソップを揺り動かし、叩き起こした。 「あ〜・・・・・なんだ・・? どうしたんだ、こんな時間に・・・・ふぁ〜・・・・」 寝ぼけ眼を擦りながら、ウソップはゾロにそう返事する。 「・・・・写真出せ。」 「へっ?? いきなり何を?」 「・・・・サンジの写真、持ってるんだろ? 出せよ!」 「はは・・・・何を言って・・・。 そんなの持ってる訳ねえ・・・」 ゾロの突然の言葉にウソップは、背筋にゾッとするものを感じながら慌てて否定する。 「・・・・・ナミに言われてサンジを隠し撮りしたやつが有るはずだ。 別にそれをとやかくいう ゾロは、はぐらかそうとするウソップを睨み付けてそう告げた。 「ヒッ。 わ、わかった。 今出すから・・・。 言っとくけど、俺は撮りたくなかったんだぞ。 ウソップはそう言って、タンスの奥からサンジの写真を取りだした。 「・・・・・・・・・・・・・こんなにあるのかよ・・・。 ったく、ナミの奴、ろくな事しやがらねえ・・・。」 次から次へと出てくる写真に、ゾロは呆れた顔でそう呟くと全部の写真を手に取る。 「これは、俺が没収する。 それから、この手配書を作り直せ。 今すぐにな!」 ゾロは、ウソップに鋭い視線を向け、そう言って色々と指示した。 「ハィ?? って、ゾロ・・・・これ・・・・・本当に作るのか・・・?」 「良いから、言うとおりにしねえか!」 「わ、わかった。 作るよ・・・作りゃあいいんだろ。 どうなっても知らねえからな、俺・・・。」 ゾロに脅されて、ウソップは、嫌々徹夜で作業を続ける。 「で、出来たぞ・・・・ゾロ・・。 これで良いんだよな・・・これで・・・・・。」 明け方近く、ウソップは瞳の下にクマを作りながら、出来上がった手配書を手に、眠っていた 「ん・・・・・あ、ああ。 わりい、ウソップ。 ありがとな。」 ゾロはそう言って、ウソップから手配書を受け取ってキッチンに急ぐ。 「うっし! これで良し!」 ゾロは、壁に掛けてあるカレンダーの下に、ウソップに作らせた手配書を画鋲で留める。 「ん・・・・・ふぁ〜・・・・れ? 俺、いつの間にここで寝て・・・? ・・・・・・ゾロ・・・? なんで、 サンジは、目を覚ますと、ソファーの脇で眠っているゾロに微笑み掛けてシンクに立つ。 「おはよ、サンジ君・・・。あら、今日はやたらと上機嫌ね。 なにかあった?」 いつもより上機嫌のサンジに、ナミはそう言って声を掛ける。 「おはよう、コックさん。」 ロビンもそう言ってナミの後からキッチンにやってきた。 「あ、おはようございま〜すvvナミさんvvロビンちゃんvv もうすぐ出来ますから。 絞りたての サンジはそう言って、食卓にジュースを持ってくる。 「ありがとう、コックさん。 あら? ・・・・・ねぇ・・・あれ・・・」 ロビンが目の前の壁を見て、ナミに壁を指差した。 「ありがとう、サンジ君vv ん? なによ、ロビン・・・?」 ナミはそう返事して指差された壁を見つめる。 「・・・・・・・・・サンジ君の機嫌が良いのって・・・これのせいかしら・・・?」 「・・・・・・どうかしら・・?」 「これって・・・・こんな器用なこと出来るのは、この船じゃあ、ウソップだけよね。 けど、あい 「・・・・じゃあ、コックさんが自分で頼んだのかしら・・?」 「まさか・・・? サンジ君のキャラじゃ考えられないわ。」 「だとしたら・・・・・。」 「そうね。 だとしたら、考えられるのは・・・・。」 ナミとロビンはそう囁き合って、ソファーの脇で眠っているゾロに視線を移した。 「・・・・・彼の考えてることがわからないわ。」 「・・・・あたしも・・・。」 ロビンとナミはそう呟いてため息を吐く。 「おや? どうしたんですか?二人とも。 そんなにため息なんか吐いて・・・? なにかお悩 サンジは、そう言って二人ににっこりと笑う。 「ううん、そんな大したことじゃ。 ・・・・・・サンジ君、あなた、本当に愛されてるのね。」 ナミは、やや同情めいた顔をしてサンジにそう告げた。 「愛され?? ナミさん、言っている意味がどうもわからないんですが・・・。」 笑顔を崩さず自分にそう尋ねるサンジに、ナミは盛大なため息を吐いてカレンダーの下に貼 「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 ポトリとサンジの口元から火の点いてないタバコが落ちる。 「・・・・ナミさん、ロビンちゃん。 申し訳ないんですけど、少しだけ朝食の時間、遅くなっても サンジは、引きつった笑顔のまま、ナミとロビンにそう告げると、眠っているゾロめがけて、 「てめえは!! てめえって奴は!!」 サンジはそう叫びながら、ゾロを追い掛けてキッチンを飛び出していった。 「あ〜あ・・・。 また始まっちゃった。」 「ふふ。 飽きないわね、この船・・・。」 ナミとロビンはそう言って、蜜柑ジュースを飲み、二人を眺める。 「なんだよっ!! てめえが気にしているようだったから・・・。」 「ざけんなよっ! だからと言ってあんなことされりゃあ、ますます俺が惨めだろ!!」 「・・・・・良くできてると思うんだがなぁ・・。」 「だいたいなぁ・・・。 なんで二人で賞金額が1億なんだ? てめえが6000万で、俺が 「・・・・妥当だろ。」 「きしょーーーーっ!!!ぬけぬけと!! 許せねえ! ぜってえ、オロす!!」 朝一番の甲板に、サンジの怒声がこだました。 「・・・・・・サンジ・・・・手配書に並んで写っているのはOKなのか?」 そんな二人のやりとりを男部屋のドアからそっと覗いていたウソップは、一人ボソリとそうツッ 「ふふふ・・・。 そのうち、本当にこんな手配書が配られたりして・・・。」 「ロビン。 その冗談、リアルすぎて笑えないわ。」 ナミはロビンの言葉にそう言うと、その手配書を壁から剥がし、持っていたペンで落書きをし 「なんだ、たしぎ。 騒がしいぞ。」 「すみません、大佐。 これを見て下さい!」 「なんだ? 新しい手配書でも来たのか?」 「あ、あの・・・・・何と言っていいのか・・・」 たしぎは、そう言って手配書をスモーカーに手渡す。 「な、なんだ、これは・・・。 たしぎ!至急、本部に手配書の真偽の連絡をしろ!」 「わかりました!大佐! しかし・・・・ロロノアは、本当にホモなんでしょうか?」 「知るか!俺が!! いいからさっさと連絡してこい!!」 「は、はい!!」 スモーカーに怒鳴られて、たしぎは慌てて部屋を出ていった。 「麦藁の一味か・・・・ただの海賊じゃねえとは思っていたが・・・まさか、こんな連中だったと ナミが悪戯書きをした手配書は、その後、海軍に大いなる波紋をもたらしていた。 |
<コメント> 瑠衣ちゃま、一周年おめでちょーvv こんなお馬鹿なSSで本当にいいのかしらん? お題が『ヤサグレサンジとお馬鹿ゾロ』だったので。(汗) いやぁ・・・こんな話は楽しいなvv(自分だけだけどね-_-;) こんなば〜かな話しか書けないけど、末永く仲良くしてちょvv 本当に一周年、おめでとうござりまするvv(ぺこり) |