Birthday






・・・・・・・今日は、俺の誕生日。

一人で飲むのも、もう、慣れた。

慣れてるはずなのに・・・・・・・

なぜか、この船に乗ってから・・・・・・・

・・・・それが、味気なく感じる・・・・・


毎年、いつも変わらず過ぎていった、この日・・・・・・

だけど、ふと寂しさを感じるのは・・・・・・・あいつのせい・・・・・・

俺の心の中に・・・・あいつの存在を認めっちまったから・・・・・・・









++++++++++++++++++++

ガチャッ

「酒、持っていって良いか?」

俺は、あいつに断って酒棚から、酒を探す。

「おい、ちょっと待てよ。 いくら何でも飲みすぎだ、てめえ。 1本にしとけ。 それから、

酒だけ飲むな。 飲むんだったら、何か、腹に入れろ。 いい加減、身体、壊すぞ。」

あいつは、明日の仕込みをする手を止めて、俺にそう言った。

「・・・・・俺の勝手だ。 自分の誕生日くらい、好きに飲ませろ。」

俺はそう言い返して、酒を2本取ると、キッチンの扉を開ける。

「ちょっと、待て。 てめえ、今、誕生日・・・・・・そう言わなかったか?」

あいつは、そう言って、こめかみをヒクつかせ、俺の方へ歩いてくる。

「ああ、・・・・言った。」

俺は、口を滑らせたことを後悔しながら、そう言った。

「てめえ、何で、今頃、そんなこと、言ってんだ! もう、終わっちまうだろが!! もっと、

早くに言えよ。 そしたら、皆で祝って・・・・・俺だって、もっと豪華なもん作ってやったの

に・・・・」

あいつはそう言いながら、俺の胸ぐらを掴む。

「・・・・・別に、祝って貰うほどのことじゃねえだろ。 良いんだよ、俺は、これで・・・・・・ 

・・・・・じゃ、貰ってくぜ。」

そう言って、俺は、あいつの手を払うと、キッチンを出て、甲板に向かう。







見上げると、少し欠けた青白い月・・・・・

「何処で見る月も、皆、一緒だな・・・・・」

俺は、最後に見た故郷の月を思い出し、甲板に座って飲み始めた。


月を見ると、あいつのこと、思いだしちまう。

俺は、かなり、重傷らしい・・・・・

俺は、苦笑して、酒の栓を開けた。

「酒だけ飲むなって、言ってるだろ。 ・・・・・俺も、付き合う。」

ふいに、あいつの声がして・・・・・・・

あいつは、つまみを片手に、俺のとなりに座った。

ゆらゆら揺れる紫煙・・・・・・

微妙に開かれた薄い唇に、俺は、視線をはずせなくなる。

「何、見てんだよ。 ・・・・・てめえも、吸いてえのか?」

あいつは、俺の視線に気が付いて、そう言った。

「・・・・・・いや、別に。」

俺は、そう言って、酒を一気に煽る。

一瞬、思ってしまった、邪な考え・・・・・



叶わぬ想い・・・・・・・

願望・・・・・・・



俺は、自分の思いをうち消すように、ただひたすら酒を飲む。

「おい、てめえ。 いくらなんでも、ピッチ、早すぎやしないか? おいって!」

あいつは、そう言って、俺を見た。

・・・・・・・蒼・・・・・・・・

海を思わせるような、蒼い瞳が、真っ直ぐに、俺の心に突き刺さる。

「・・・・・・・・サンジ・・・・・・・」

俺は、無意識に、あいつの頬に手を伸ばした。

「??・・・・ゾロ?」

あいつは、俺の動作に面食らって、固まった。

「・・・すまん。 俺、やっぱり、どうかしてる。」

俺は、慌てて手を引っ込めると、その場から離れようと、立ち上がる。

「・・・・・ちょっと、待てよ。」

あいつが、そう言って、俺のシャツを掴む。

「・・・・・なあ、てめえ。 今日、誕生日・・・・・・そう言ったよな。 ・・・・・・プレゼント

・・・・・・・いるか?」

あいつは、俺を見上げて、そう聞いた。

「・・・・・・・・・。」

俺は、どう返事して良いのか、返答に困った。

「なあ、いるのか、いらねえのか、どっちなんだよ!」

あいつは、俺の態度に痺れを切らして、苛ついた声でそう言った。

「・・・・・気持ちだけ・・・・・・受けとっとく。」

俺は、ため息を吐き、そう返事した。

「じゃあ、受け取れよ、俺の気持ち・・・・」

あいつは、そう言うと、立ち上がって、俺の唇に口付けた。

柔らかく温かい感触に、俺は・・・・・とまどった。

「・・・・やっぱ、いらねえよな。 ごめん。 変なコトして・・・・・・悪かったな。」

あいつは、そう言うと、そのまま、キッチンに戻っていく。

俺は、慌てて、あいつを追いかける。

そして、その後ろ姿を抱きしめた。

「・・・・・・・本気にとって良いか。」

俺は、あいつの耳元で、そう囁く。

「ああ、俺は、いつも、てめえには、本気だからな。」

あいつは、振り向くと、笑って、俺に、そう言った。

「・・・・・じゃあ、くれ。 全部・・・・・・てめえの全部、俺にくれ。」

俺は、もう一度、正面からあいつを抱きしめる。

「ああ、良いぜ。 ・・・・・でも、返品は、きかねえからな。」

あいつはそう言って、俺の首に、腕を廻す。

「ああ、一生、返品なんかしねえ。 てめえこそ、覚悟しやがれ。」

「望むところだ。」

俺達は、もう一度、お互いに唇をあわせた。

「誕生日、おめでとう、ゾロ。」

サンジは、そう言って、俺の腕の中で、笑った。





<END>





 



<コメント>

グハッ!・・・・ルナには、珍しく、砂吐くほどの甘さ無く、終わってしまった。
甘いことは甘いんだけど、ね。
しかも、エロ無し・・・・・見事な短編・・・・・
サンジ、全然、乙女ってない・・・・・しかも、天然ボケボケでもない。
どうしたんだ、ルナ?! 天変地異の前触れか?!(←いや、そこまでつっこまんでも)
あくまでも、対等な二人を、表現したかったんだけど・・・・(撃沈!)
とりあえず、ロロ誕と言うことで・・・・・・逃げっ!!

<kikaku>