CRAZY ABOUT YOU |
窓の外を一心に見つめる蒼い瞳。 陽に透けてキラキラと輝く金色の髪。 幼い身体つきに似つかわしくない整った顔立ち。 透き通るような白い肌。 忙しい父親の代理で、訪れた養護施設。 色々と目を掛けてくれる父親の代理とあって、院長は俺を恭しく出迎え、施設内を案内してく れた。 その中に、あいつは居た。 ・・・・・・・・・・・・・・・ゾクッとした。 あの蒼い瞳を見た途端・・・・金色の髪が、こっちを振り向いた途端・・・・ 背筋がゾクンと・・・・・・した。 その姿を瞳にした瞬間、周りの音と景色が一瞬、途絶えた。 ・・・・・・・・・・欲しい。 「ゾロ様?」 「・・・・・・あの子は?」
「ああ、あの子ですか? あの子は一時預かりの子でして・・・・・・祖父が今、病気で 俺の視線の先に気が付き、院長は怪訝そうにそう答える。 「いや、別に・・・・・ただちょっと・・・・。」
「・・・・・最近、両親をいっぺんに失くしてしまったらしく、あんな風に誰と遊ぶわけもな 院長はそう言って、応接室に俺を通した。
「いつも貴方のお父様には、何かとご支援、援助して頂いていて、私達、職員一同 自分の子どもと変わらない年の俺に、院長は謙った物の言い方で挨拶をする。 「・・・・・じゃあ、これで。 それでは・・・」 そう言って席を立ち、玄関のドアに向かう。 「待ちなさい!! サンジ君!! もうすぐ貴方のお祖父様も迎えに来てくれるか バタバタと職員の走ってくる靴音。 「いや!! もう帰る! ここはいや!! お家に帰る!!」 職員に後ろから羽交い絞めにされ、やみくもに暴れるあいつ。
「申し訳ありません。 いつもの事ですから、お気になさらないで・・・・・あの・・・・・・ 慌てて院長が、俺にそう言って頭を下げる。 「嫌だーーーっ!!」 俺に向かって、白い小さな手が伸びる。 「・・・・・行くか? 俺と一緒に行くか?」 じっとあいつを見つめて、そう声を掛ける。 「ハハハ・・・・・ゾロ様、そんなご冗談を・・・。」 「・・・・・俺は、今、その子と話をしているんだ。 黙っててくれ。」 顔を引き攣らせながら笑う院長を尻目に、俺はもう一度同じ言葉をあいつに投げかけた。 「俺と一緒に、ここ出るか?」 「・・・・・・行く!! 行きたい!!」 俺の言葉に、あいつはそう返事する。
「じゃあ、そう言う事なので、この子は、俺が面倒を見る。 当然、この子のお祖父さん あっけに取られて声も出ない院長と職員に、俺はそう言って、あいつに手を差し伸べる。
「・・・・・・父には私からよく話しておこう。 これからもこちらへの援助は惜しみなく続く あいつを腕に抱き上げて、院長にそう言ってドアを開ける。 「ゾロ様? その子は?」 「ん? この子は・・・・・・・・・・・・・俺のだ。」 怪訝そうな運転手にそう返事して、俺はその子と共に車に乗り込んだ。 「・・・・・・そう言えば、名前、聞いてなかったな。 名前は?」 名前さえ知らなかったことにようやく気が付いて、俺はそう尋ねる。 「・・・・・サンジ。 ・・・・・・・ありがとう、お兄さん。」 「こら! 滅多な口を利くもんじゃない。 ゾロ様とそうお呼びしなさい。」 馴れ馴れしい口の利き方に、運転手がそう言ってサンジを嗜めた。 「ご、ごめんなさい。 ・・・・・ゾロ様・・・。」 「ククク・・・・・ゾロで良いよ。 俺は様付けで呼ばれるような大した男じゃないから・・・」 運転手の言葉を真に受けて、シュンとして俺に謝るサンジに俺は可笑しくなる。 「ゾロ様! ダメですよ、そんな事言ったら・・・・。 何事も初めが肝心なんです。
「ククク・・・・・・よく言うよ、エース。 お前だって、小さい頃は俺の事、ゾロって呼び捨 「・・・・・その事は、とっくに忘れましたよ、ゾロ様。」 ニッといつものように口角を少し上げて、エースが俺にそう言った。
「・・・・ったく、融通が利かない奴だな。 じゃあ、こうしよう。 俺と二人のときには、
「そうですね。 ゾロ様がそうおっしゃるなら、そのように・・・。 しかし、珍しいですね、 いつもながら、鋭い観察眼で俺にものを言うエースに、俺は苦笑してそう言い返す。
「・・・・・だな。 どうせ、屋敷に戻れば、また堅苦しい言葉で話さなきゃならないし・・・ 今までの恭しい態度は何処へやら、エースはいつものように俺にそう言った。
「・・・・・まぁ、そんなところだ。 親父には俺から言うが、悪い、エース。 この子の 「了解!ゾロ。 けど、犯罪は止めとけよ。 ククク・・・・・」 俺の言葉にそう返事して、エースが意味ありげに俺を笑う。 「んなんじゃないって!!」
俺は、そう慌てて言い返したが・・・・・・妙に頬が熱く感じた。 「ん・・・・・・」
小さな吐息が耳に入った。
「今までお前の我侭でサンジを置いてやった。 しかしだ、お前は、この家の跡取りだ
親父の言葉が、胸に響いた。
「・・・・・・そうだね。 ゾロのお父さんの言う事は正しいよ。 俺さ・・・・ここ好きだよ。 サンジは、にっこりと笑って俺にそう言った。 「・・・・・サンジ・・・!!」 その笑顔があまりにも儚げで、俺は思わずサンジを抱き締める。 「・・・・ゾ・・・・ロ・・・・?」 そう言ってキョトンとした丸い愛らしい瞳に、俺は口付けを落として、そっと囁く。 「・・・・・・良いんだ。 二人きりの時は今までと同じで良いんだ。」 「・・・・・うん。 ありがとう、ゾロ・・・・。」 サンジは、そう言って照れたように笑った。 「いらっしゃいませ・・・・あ・・・・・ゾ・・・・ロ・・・・。」
そこには、サンジがいた。 「サンジ!! なんだよ?! なんていう格好を・・・・!!」 俺は、心底驚いてサンジの腕を掴んだ。 「っ・・・・・やだ。 見られたくない・・・!!」
サンジは俺の腕を振り払うと、一目散に離れの自分の部屋に駆け出していった。
「・・・・・・サンジから言うの止められてたから、お前には黙ってたけどな、ゾロ。 「・・・・・サンジ・・・・」 俺はそう呟いて、サンジの後を追った。 「サンジ!! ここを開けろ!!」 「嫌!! もう着替えるから!! ・・・・・・・・・・・・・・見なかったことにして!!」
そう叫ぶように言ったサンジの言葉は震えていた。 「・・・・・・ごめん。 ごめんな、サンジ。 俺・・・・・・俺、知らなくて・・・・・。」
そっと、サンジの身体を抱き締めた。 「ふぇ・・・・ゾロ・・・・・俺・・・・・俺・・・・・・」
そう言って泣きじゃくってサンジが俺にしがみつく。 「・・・・・・好きだ、サンジ。」
極自然に声が出た。 「ゾロ・・・・ゾロ・・・・・ゾロ・・・・・」 ギュッとサンジの腕の力が増す。
「俺は、ずっとお前が好きだったんだ。 あの養護施設で初めて逢ったあの時から・・。 そう囁いて、流れる涙を指でそっと拭った。
「っ・・・・・俺も・・・・・・ゾロだけだった。 あの施設から俺を救い出してくれるのは、
サンジは、そう言いながら、あの養護施設で虐げられていた事実を俺に告げる。 「・・・・・あんなとこ、ぶっ潰してやる。」 「ゾロ!ダメ!! そんなことしたらダメだよ。」 俺の声に怒気を感じたのか、サンジが慌てて俺にそう言う。
「あそこにいたから・・・・・・・こうして、ゾロと出逢えた。 あそこじゃなかったら・・・・・・ サンジは、はにかみがちに俺にそう言った。
「・・・・・・そうだな。 あそこにお前がいなかったら、今は無かった。 ある意味、感謝
俺は、ギュッとサンジを抱き締めてそう言い返す。 「・・・・・ゾ・・・ロ?」 黙ったまま動こうとしない俺に、サンジは小首をかしげて俺の顔を覗き込む。
「・・・・・・・・・サンジ。 お前は、俺が好きか・・・?」
そう言って金色の髪を撫でる。 「うん。 ゾロなら・・・・・ゾロなら、平気。」
サンジは、にっこりと笑った。 「キス・・・・・・嫌だったか?」 そう言った俺に、サンジは真っ赤な顔をして俯く。
「サンジ・・・・・正直に言う。 俺は、お前が好きだ。 だから、こうやって抱き締めたい
そこまで言った時、サンジが急に顔を上げた。
「嫌なんて、言ってない・・・・・言わないよ、ゾロ。 俺は、こうしていると幸せなんだ。
ギュッとその小さな胸に抱き締められた。
俺はサンジを抱き上げて、自分の部屋に向かう。 ベッドの中でまどろむように俺に顔を寄せるサンジにそっと耳打ちした。
「・・・・馬鹿。 えへへ・・・・・じゃあ、明日からはあの格好で出迎えてやるからな、
そう言って無邪気に笑うサンジに、俺はまたクラッとした。 「お帰りなさいませ、ゾロ様!」
今日も、屋敷に戻るとサンジがそう言って出迎えてくれる。 |
<コメント> 蓮しゃ〜んvv 半周年おめでちょーvvっつうか、時間掛かってごめんよ〜。(汗) 蓮しゃん宅のサンジをイメージして書いたんだけど・・・・ ショタっぽくなっちゃった・・・・・犯罪者だよ、ロロノア・・・。(;一_一) ごめんね〜、こんなヘボくて・・・けど、愛情だけは籠ってるから☆ っで、蓮しゃんに挿絵を書いて頂きましたvv どう??愛くるしいばかりのメイドサンジはvv これで少しは、ルナの駄文もマシになったでしょ?? 蓮しゃん、どうも素敵なイラストありがとうね〜vv こんなもので、素敵イラストGETできたあたしは幸せ者ですvv これは、一応始まりで・・・・その後の展開って言うのも、考えてはいるんだけど・・・ それはまた、後日という事で・・・(汗) では☆ <パラレル> |