Natural |
「・・・・弱ったなぁ。 どうしよ・・・。 全然出来てる気配がねえ。 ・・・・うわ〜ん!! このままじゃ間に合わねえよ〜!!」
爽やかな秋晴れの昼下がり。 「サンジ君、いる? ・・・・・・・あら、どうしたの?サンジ君??」 キッチンに入ってきたナミは、テーブルにうつ伏したサンジにそう尋ねた。 「ナ、ナミしゃん・・・・・俺・・・・俺・・・・・」 ウルウルと瞳を潤ませて、ナミの顔をじっと見つめるサンジ。 「ねぇ、サンジ君。 あたしで力になれることなら、何でも相談してね。」 「・・・・・・ナミしゃん・・・実は・・・・・。」 にっこりと笑顔でそう話すナミに、サンジは悩みを打ち明けた。 「ええーーーーっ?!!! サンジ君、それって・・・・マジ??!!」 驚愕の悩みを打ち明けられたナミは、そうサンジに聞き返したが、サンジは至って真面目に
「・・・・・サンジ君、それは、無理じゃないかしら。 いくらサンジ君でも、できることと ナミは、極力優しくサンジに伝えようと、そこまで言って言葉に詰まる。 「そ、そうだよね! ナミさん、きっと出来るよね!! ハイ!俺、頑張ります!!」 目尻に流れた涙を拭い、サンジはにっこりとナミに笑ってそう言った。 「が、頑張ってね。・・・・・じゃあ、あたしはこれで・・・・」 ナミは、そう言ってキッチンを出ると、船尾に居る筈の剣士の元に向かう。 「ねぇ、ちょっと、ちょっと!!」 「うるせえな。 今、トレーニング中なんだから後にしてくれよ・・・。」 一心にウソップ特製ハンマーを振るうゾロは、ナミの言葉に面倒臭そうにそう答えた。
「あ、そっ! サンジ君が、泣きそうなくらい悩んでたから教えてやろうってそう思った ナミは、聞こえよがしにそう呟くと、ヒラヒラと手を振ってその場を後にする。 「待、待て!ナミ!! なんだ?サンジがどうしたんだ?」 「知〜らない! サンジ君に直接聞いてみたら? まっ、あんたに教えてくれるかは、 「サンジは?」 「キッチンよ・・・。」 ナミが答えるより早く、ゾロはキッチンに駆けて行く。 「ったく・・・・・・あのサンジ君にして、このゾロよね・・・。」 ナミは、呆れた様にその後姿を見送って、近くを通りかかったウソップに声を掛ける。 「あ、ウソップ! この穴、今日中に塞いどいてね。」 「うがぁ!! またゾロの野郎、カヤから貰った大事な船に・・・!!」 自分の作った特製ハンマーがあけた穴に、ウソップはそう叫んで慌てて大工道具を取ってく 「ったく、なんかある度に、これじゃ・・・俺は、船大工じゃねえってんだよ・・・。」 穴を開けた本人にそう言える筈もなく、ウソップの呟きは穴の中へと消えていった。 「サンジ・・・・どうした? なんかあったのか?」 そう声を掛けて、サンジの傍に寄る。
「あ、ゾロ。 ううん、何でもねえんだ。 ナミさんからも頑張れって言われたし・・・。 満面の笑みでゾロを見つめて、はにかみがちにそう言うサンジ。 「お前から貰える物で嬉しくねえ物がある訳ねえだろ。 んな可愛い事言ってると、 そっとサンジを引き寄せて、ゾロはサンジの頬に手を添える。 「・・・・・ゾロ。 ・・・・ううん、ダメ、ダメ。 今は、おやつを用意しているところなの!」 口付けようとしたゾロを慌ててサンジは押しのけて、キッとゾロを睨みつけた。 「んな睨んだって、可愛いだけだぜ・・?」 「可愛いって言うな!!」 「可愛い、可愛い・・・」 「もう・・・・馬鹿ゾロ!! 今はチューだけだからな! それ以上はダメだからな!」 「ククク・・・・ハイハイ、わかってるよ。」 真っ赤になったサンジに、ゾロはチュッと口付けて、ギュッとその痩躯を抱き締める。 「・・・・・今夜な・・?」 「・・・・うん・・・。」 もう一度、チュッとサンジのおでこに口付けて、ゾロはキッチンを出て行った。 「よぉし! 頑張るぞーっ!!」 そう張り切ったサンジの声が、キッチンから聞こえる。 「・・・・・・・俺、何しにキッチンに行ったんだっけか? まっ、良いか・・・。」 そう呟いて船尾に戻ると、また上機嫌にハンマーを振り始めたゾロ。 「こ、怖えよ、ゾロ。 頼むからその顔だけは止めてくれ・・・。」 それ以上にやけたゾロの顔を見たくなくて、ウソップはそう呟いてキッチンへ向かった。 「おっ、いい匂いだな、サンジ。 もうすぐ出来上がりか?」 「あ、ウソップ。 丁度良いところにきたな。 あのさ、俺、ウソップにもちょっと聞いて 「あ? 俺にか? なんだ? 質問なら、このキャプテンウソップ様に遠慮なく聞いてく ウソップはドンと胸をはり、サンジにそう告げる。
「あ、あのさ・・・。 俺、今、出来ない事があってさ、どうすれば出来るのか悩んでん 「な、何が出来ねえんだよ、サンジ・・・?」 真剣な表情で迫るサンジにウソップは、引き攣りながらそう尋ねた。 「それは・・・・・言えねえ。 けど・・・・どうしても・・・・ゾロの誕生日までに間に合わ そう言って、サンジはウソップをじっと見つめる。 サンジの言葉に甚く感動して、ウソップはポンとサンジの肩を叩いた。
「・・・・・何回もかぁ。 やれるかなぁ・・? 俺、意外と体力ねえんだよな・・・。 「おう! なんだかよくわかんねえが、俺のアドバイスが役に立ったようで嬉しいぜ。 「おう、任せとけ!」 ウソップに励まされ、サンジは嬉しそうにそう言って笑った。 「あっ・・・はぁ・・・んっ・・・・ゾロ・・・ヤァ・・・」
膝を肩に担ぎ上げられ、深く挿入を繰り返すゾロに、サンジはギュッと瞳を閉じてビクビクと身 「クッ・・・・サンジ、そんな締め付けんな・・・・・もたねえだろ・・・」 ゾロは何度もサンジの唇に口付けを落としながら、そう囁くと激しく腰を打ち付けた。
「あ・・・ん・・・・・・だって・・・・ゾロの・・・ヤァ・・・ズンズンきちゃ・・・う・・・・あ・・・ ビクンと弓なりにサンジの身体が撓り、サンジの雄から白濁の精が迸る。 「クッ・・・ヤベッ・・・・サンジ・・・!!」
サンジの内襞の動きに翻弄されて、ゾロもまたサンジの中に白濁の精を叩きつけた。 「・・・・風呂、入れてやろうか?」
そうサンジの耳元で囁いて、己の雄を引き抜こうとするゾロ。 「ん・・・・・まだ、大丈夫。 ねっ?もっと一杯しよ・・?」
いつもなら気を失っていてもおかしくない筈なのに、今夜のサンジはとても積極的で、艶を湛 「・・・・・良いのか? 明日辛えのは、お前だぞ?」 「良いんだ。 もっともっと、俺の中、ゾロので・・・・・・一杯にして・・・」 「ッ・・・・・もうどうなっても知らねえからな・・・」
その言葉を最後まで言わないうちに、ゾロはサンジを抱かかえて、腰を打ちつけた。 「・・・・・・どうしたんだ、急に・・? まっ、俺としては大歓迎なんだがよ・・・。」
いつものようにサンジの身体を綺麗に拭いて、ゾロは頬に張り付いた金色の髪を優しく掻き 「・・・ん・・・・ゾロォ・・・俺・・・・頑張るからな・・・・」 「ん?寝言か。 ・・・・・・・・程ほどにしとけよ。」
サンジの発した寝言にゾロはそう呟き、サンジを抱かかえて自分も眠りにつく。 「・・・・・サンジ、身体大丈夫か? なんだか顔色悪いよ・・・?」
キッチンでだるそうに食事の用意をしているサンジに、心配そうな顔でチョッパーがそう声を
「あ、うん・・・・大丈夫だよ、チョッパー。 これは病気なんかじゃねえんだから。 サンジは、心配そうなチョッパーにそう言ってはにかんだ。 「読んだ通りって??」
「ヘヘ・・・それは、明日までの秘密。 俺はね、今、愛の試練の真っ最中なんだぁ。
体調の悪さはなんのその、そう言って微笑むサンジの顔は本当に幸せに満ち溢れていて、 「・・・・・そう、なら良いんだけど・・・。 本当に無理しないでね、サンジ。」 「ああ、ありがとう、チョッパー。」 チョッパーの言葉に、サンジはポンと帽子を撫でながら、また食事を作り出した。 「サンジく〜ん、まだ? あら?チョッパー、どうしたの?こんなところで・・?」 そう言ってキッチンに入ってきたのはナミ。 「あ、ナミ。 あのね、サンジの顔色が悪かったから、ちょっと心配で・・・・」 「・・・・そりゃ、あんなにやってれば、身体がもつ訳無いわよ・・・。」 チョッパーの言葉に、ナミはボソリと小さな声で呟く。 「えっ?! 何?ナミ??」 「あ、ううん。 なんでもないの。」 チョッパーに聞かれて、ナミは慌ててそうごまかした。
「あ、ナミさん、ご心配には及びませんから。 それよりも、ナミさん。 俺、とうとうや 「えっ?! 出来たって何か??」
「やだなぁ、ナミさん。 アレですよ、アレ。 努力って必ず報われるものなんですね
ニコニコと満面の笑みを浮かべてそう話すサンジに、ナミの顔から血の気が失せた。 ナミは、サンジに声も掛けず、チョッパーを引き摺る様にキッチンを出て行く。 「?? ナミさん、どうしたのかな? まっ、いいや。 早く作らなきゃな・・・。」
誰もいなくなったキッチンで、サンジはキョトンとした顔をして、またすぐさま食事の用意に取 「ナミ! 痛いよ! どうしたの?ナミ!!」 「ごめん、チョッパー。 貴方に聞きたい事があって・・・」 甲板に連れ立って出たナミが、いつになく真剣にチョッパーにそう言う。 「な、なに・・・・? 聞きたい事って?」 ビクビクと緊張した面持ちでナミの言葉を待つチョッパー。 「あのね・・・・・・・ごにょごにょ・・・・」 「ええーーーーーっ?!!!! 本気で言ってるの??ナミ??!!」 「シーッ!! 声がでかいわよ、チョッパー!!」 「あわわ・・・・」 ナミがチョッパーの口を塞いだが、後の祭り。 「どうしたの?船医さんと航海士さん?」 「なに?なに?? なんだぁ? どうしたんだぁ? 飯できたのかぁ?」 「ど、どうした?チョッパー! て、敵襲か??」 「ふぁ〜・・・騒がしいな、なんかあったのか? チョッパー・・・・」 サンジを除くクルー達全員が、ナミとチョッパーの傍に集まってきた。 「・・・・・もう、声がでかいわよ、チョッパー・・・。」 「だって・・・だってナミがあんな事、真顔で聞くから・・・・」
「だ、だって仕方ないでしょ?! あたしだって現実的に無理だとそう思ってはいるわ サンジ以外のクルー達に囲まれて、チョッパーとナミはそう言い合う。
「オイオイ・・・。 サンジがどうかしたのか? 俺達にもわかるように言えよ。 サンジ ナミの口からサンジの名前が出たので、ゾロはそう言って口を挟んだ。 「・・・・わかったわ、言うわよ。 実は、サンジ君、赤ちゃんが出来た・・・」 「「「「ええーーーーーーーーっ!!!!」」」」 ナミの言葉を遮って、ロビン、ルフィ、ウソップ、ゾロは一斉に声を上げる。 「赤ん坊かぁ・・・良いじゃんか、また一人、俺らに仲間が増えて・・・。」 「いや、そう問題じゃねえだろ。」 「マジかよ?! じゃあ父親は、ゾロかよ・・?」 「いや、ツッコミ処はそこじゃねえだろ・・・」 「コックさんって両性具有?」 「いや、それはねえ。 確認済みだ。」
ゾロの思考は既に常人の域を遥かに通り越しており、クルー達に棒読み状態でツッコミを
「ったく・・・・人の話は最後までちゃんと聞いてよね! いい? サンジ君に赤ちゃん 眉間に深く皺を刻んで、ナミがビシッとゾロを指差した。 「な、なんで俺を指差すんだよ・・・。」 皆の視線が集中して、ゾロは溜息を吐く。 「・・・あっ! もしかしてこの前、俺に聞いてきたことは、これの事だったのか・・・。」 ボソリとウソップがそう呟いた。 「えっ? 何か言ったの?ウソップ・・?」
「いや、あのな。 サンジが出来ねえ事を出来るようにする為にはどうしたら良いか?
ナミに聞かれ、ウソップは必死に自分を弁護する。 「けど、なんでそんなに赤ん坊を欲しがってんだ?サンジは??」 今ひとつ腑に落ちないゾロはそう呟いた。
「馬鹿ね、あんた。 あんたの為に決まってるじゃない。 まぁ、普通は考えないわよ ふぅっと溜息を深く吐いて、ナミは冷ややかにゾロを見つめる。 「・・・・・・あんた、サンジ君にそれらしい事とか言わなかった?」 「いや・・・? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、待てよ。 こんな事はあったが・・・・」
ナミの言葉に、ゾロは必死で記憶の糸を手繰り寄せた。
「それよ!それ!! うんもう、サンジ君らしい発想じゃないの! 野望以外いらねえ ナミの言葉に、他のクルー達は一様に大きく頷いて、じっとゾロを見つめた。 「・・・・・・わかったよ、ちゃんと俺がサンジに言って聞かせて来るから・・・」
その視線の圧力に耐えかねて、ゾロは、のっそりとキッチンに向かう。 「・・・・・・あのさ、話があるんだ・・・・サンジ・・・・。」 てきぱきとシンクで動き回るサンジにそう言って近づいた。 「あ、ゾロ。 いいところに来た。 ちょっと味見てくんねえ?」 緊張の面持ちのゾロに、サンジは、ニコニコと笑顔を振り撒いて、小皿をゾロに持たせる。 「・・・・・美味い。」
「なっ?なっ? そうだろ? エヘヘ・・・今日はさ、とってもハッピーな感じがして、な 普段より数倍も幸せそうに笑うサンジに、ゾロは言葉が出てこない。
「あ、ところで話って何? 俺もさ・・・・・あ、ダメダメ、これは十二時過ぎてから言うな
ゾロの心情も察することなく、サンジは満面の笑顔そのままにそう尋ねた。 何度となく葛藤を心の中で繰り返し、ゾロはそれだけを言葉にする。
「クスクス・・・・なんだ、そんな事。 もう出来たから、皆を呼んできて。 すぐに食事
サンジはそんなゾロに微笑んでから、テーブルに料理を並べた。 「し、将がねえだろ・・・・・・・なんとでも言え。 俺には言えねえよ・・・。」 苦りきった表情で、ゾロはクルー達にそう呟く。
「フッ・・・・・・本当、あんた、サンジ君には形無しなのよね。 って、まぁ、あたしも言 「え??ええーっ?! 俺か??俺が言うのか?? 俺が??」 ナミにポンと帽子を叩かれて、チョッパーが顎を外し掛けながらそう叫んだ。 「ん・・? どうした?チョッパー?」 その叫び声を聞いて、サンジがチョッパーにそう声を掛ける。
「なに?! あんた医者でしょ?! あんたが言えばサンジ君も納得する筈なのよ。
チョッパーの耳を引っ張り上げ、ナミはチョッパーにそう囁いた。 「今じゃなくても良いんじゃない? 取り敢えず、その件は食事が済んでからで。」
オタオタしているチョッパーにロビンがそう助言した。 「あ、うん。 ・・・・・サンジ、後で話があるんだ。 食事が済んでからで良いから・・・」 チョッパーは覚悟を決めてサンジにそう言う。 「偉いぜ、チョッパー。 それでこそ、男だ。」 ウソップはそう言って、チョッパーの前にグッと親指を突き出して見せた。 「おう、後でいいんだな。 わかった。」 事情は飲み込めないが、サンジはチョッパーの言葉にそう返事して、食卓に着く。 「「「「「「「いただきま〜す!!」」」」」」」 そして、一見、いつものような和やかな夕食が始まったのであった。 和やかな食事も終わり、クルー達はそう言って席を立つ。 「あー、上手かったな。 まだまだ食えそうなんだけどさ・・・。」 「おめえは食い過ぎなんだよ! ほら、さっさと出ようぜ。 チョッパー・・・頑張れよ。」
丸々としたお腹を抱えそう話すルフィに、ウソップは即座にツッコミを入れ、チョッパーに向か
「あー、美味しかったわよ、サンジ君。 じゃあ、あたし達も部屋に戻りましょうか。 「ええ、そうね。 ご馳走様、コックさん。」 そう言ってナミとロビンもキッチンを出て行った。 「ご馳走さん。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・頼んだぜ。」
いつもは他のクルー達が出て行った後も、ゆっくりと酒を飲んでいるゾロも、チョッパーにそう 「あ・・・・・・・・・・・うん。」 チョッパーはゾロに言いたげな視線を投げかけて、諦めがちにそう頷いた。
「・・・・っで、話ってなんだ?チョッパー。 俺さ、早く片付けて、色々と明日の用意も テーブルの上の食器を手早くシンクに持って行きながら、サンジはチョッパーにそう話す。 「あ、あのね・・・・・サンジ。 サンジには、出来ないないんだよ、医学的に・・・。」 「はぁ?? なんの話だ?? 出来ねえって、何が?」 チョッパーの唐突な言葉に、サンジは意味不明と小首を傾げてそう尋ねた。
「だから・・・・・・・子ども。 サンジ・・・・・・・・サンジは男だから・・・・・・・・・・・・
チョッパーは、言い難そうにサンジにそう告げる。 「・・・・・・・・・・嘘・・・・。」 呆然とチョッパーを見つめるサンジ。
「・・・・・・嘘じゃないんだ、サンジ。 男には、そう言う機能が無いんだ。 女とは身体
「はは・・・・・・何言って・・・。 だってさ・・・・・愛し合ってれば、出来る筈だろ? 笑顔だったサンジの顔がだんだんと俯いて、声が小さくなっていく。
「ごめん、サンジ・・・・・・・ナミは言おうとしたんだ。 でも、サンジがあんまり思い詰 そう話すチョッパーの瞳にも、だんだんと涙が溜まってきて、最後は言葉が詰まった。
「・・・・・・・チョッパー、話してくれてありがとうな。 へへ・・・・俺、勘違いしててさ。 目尻に涙を浮かべながらも、サンジは笑みを浮かべてチョッパーにそう告げる。 「あ、うん・・・。 サンジ・・・・・気を落とさないでね。 じゃあ、俺・・・・・」 チョッパーは、それだけ言うとキッチンを出て行った。 「うっく・・・・・・・・・俺・・・俺・・・・馬鹿な奴。 ッ・・・・・・ふぇ・・・っ・・・!!」
ドアの閉まる音と共に、サンジはその場にしゃがみこむ。 「俺・・・・・・・・・ゾロ・・・・・・ごめん・・・。」
それでも、汚れた食器をそのままに出来ず、サンジは涙を拭うとシンクに立ち後片付けをしだ 「・・・・・・・・サンジ。」
穏やかな優しい声で、ゾロがサンジを呼ぶ。
後ろを振り向きもせず、サンジがゾロにそう言った。 ゾロはそう言うと、そっと背中からサンジを抱き締める。 「ッ・・・・・ゾ・・・ロ・・・。 俺・・・・・・ごめん。 俺さ・・・・馬鹿だから・・・・ふぇ・・・・」 背中から伝わってくるゾロの体温に、サンジの涙腺が一気に緩んだ。 「ゾロォ〜・・・・ヒック・・・・俺・・・・・ヒック・・・・」 洗っていた食器をシンクに置き、サンジは振り向いてゾロの首にしがみつく。 「ああ、わかってるから。 俺は、お前が傍に居るだけで十分だから。」
ゾロはそう言ってよしよしと子どもをあやす様に泣きじゃくるサンジの髪に手を添えて、何度も
「けど、俺・・・俺・・・・ヒック・・・・何も用意できてねえ。 明日まであと少しなのに・・ 肩口から顔を上げずしゃくりあげながら、サンジはゾロにそう告げる。
「いや? 用意なんか要らねえ。 俺は・・・・・俺の欲しいモノは唯一つ・・・・・・お前 ゾロはそう言って俯いていたサンジの顎に手を掛け、顔を上げさせた。 「ゾォ・・・ロォ・・・・。」 未だ止まらないサンジの涙を何度も優しく指で拭う。
「なっ? ほら、もう少しで俺の誕生日。 くれるんだろ?プレゼント。 なら・・・・ずっ にっこりと微笑んで、ゾロはサンジの瞳を見つめる。 「うん・・・・。 へへ・・・・俺、大好き。 ゾロ、大好き!!」
サンジは、目尻に涙を浮かべた状態で満面の笑顔を浮かべると、ギュッとゾロの首に再度 「誕生日、おめでとう!!ゾロ!! 俺、ゾロの恋人になれて本当に良かった!」 そう言ったサンジの顔は、今までゾロが見た中で一番のとびきりな笑顔で・・・。 「おう! ありがとうな、サンジ。」
ゾロはそう言ってサンジの頬にキスを落とすと、サンジを抱えあげ、キッチンのドアへと歩き
「ほえっ?! あ、ちょ、ちょっと、待って!! 俺、俺まだ、後片付け途中で・・・・明 急に抱かかえられて、サンジが慌ててゾロにそう声を掛ける。 「そんなの・・・・・後で俺が洗っとく。 誕生日だしな・・・。」 ゾロはそう返事すると、制するサンジに構い無く、キッチンのドアを開けた。 「「「「「ハッピーバースディー!! ゾロ!!!」」」」」 ドアの向こうでは待ち構えていたクルー達が一斉にそう叫んでクラッカーを鳴らす。 「な、なんだぁ?! てめえら、部屋に戻ったんじゃ・・・・」
これからサンジと二人っきりで愛を確かめ合おうと意気込んでいたゾロは、その光景に呆然 「そうよ。 一度部屋に戻って準備をして、あんたがキッチンに入ったの見届けてから そう言ってナミがにっこりと微笑んでゾロを見る。 「おう! 皆でパーティーだ!パーティー!!」 その隣りで、ルフィがそう言ってニシシと笑った。 「うっし!じゃあ、テーブルを甲板に持ってくるか! チョッパー、一緒に運ぼうぜ?」 「うん、わかった!ウソップ!」 ウソップとチョッパーそう言って、ゾロの横をすり抜け、キッチンに入る。 「お酒はこれくらいで良いかしら・・?」 ハナハナの能力を発揮して、ロビンがそう言いながら倉庫から樽を運んできた。 「クスクス・・・・・。 ゾロ、降ろしてな・・? 俺も準備しなくちゃ・・・。」 苦虫を潰したようなゾロの横顔を見ながら、サンジがそう言って笑う。 「・・・・・・ったく、将がねえな。 絶対にあの女の差し金だな、こりゃ・・・。」 ゾロは渋々サンジを床に降ろすと、そう呟いてナミを睨みつけた。
「ほらほら、ぐずぐず言ってないで、あんたもこっち来なさいよ。 一応、あんたが主役 ナミはゾロの鋭い視線を無視してそう言うと、てきぱきとウソップ達に次の指示を出す。 「よぉ〜し!! 未来の大剣豪、ロロノア・ゾロの誕生日を祝して・・・!!」 「「「「「「かんぱ〜い!!」」」」」」
ウソップの乾杯の音頭を取る中、パーティーが賑やかに始まった。 「ほい! 肉、焼き上がったぜ・・?」
そう言ってサンジがパーティー料理をテーブルに並べた。 「まっ、良いか・・・。」
ゾロはそう呟いてその姿を見つめ、口角を少しだけ上げた。 |
<コメント> 【君の笑顔が、俺の幸せ。】ってな感じで・・・。 あー、書いてる途中、何度も逃避をしてしまったよ。(笑) さて、何人砂に埋まったかな?? これは、昨年のロロ誕駄文【First Touch】の二年目バージョンです。 見てない方はそちらをご覧になると、ますます砂に埋まります。(笑) 脳みそ・・・・腐ったよね。(爆) では☆ |