王様は、誰だ??






無事にチョッパーの誕生日パーティーも昨日済ませた12月25日。

元来パーティー好きなクルーの面々。

今度は、ナミの発案で、クリスマス会と相成りました。






「なあ。 ナミ、今日は、どうするんだ? 何か計画立ててんのか?」

「俺、肉食えんなら、何でも良いぞ。」

「ナミさ〜んvv デザートはどうしましょうvv やはりクリスマスと言うことで、ブッシュ・

ド・ノエルで、良いですか?」

「えへへ、今日もパーティーだなvv 昨日も凄く楽しかったし、俺、パーティーって大

好きだ。」

「まあ、楽しいなら何でも良いけど・・・」

「・・・・どうせ、くだらねえ事、考えてんじゃねえのか? あがっ!」

「・・・・・一言、多いわよ、ゾロ・・・・」

クルー達は、それぞれ思いを巡らせて、せっせとパーティーの用意をし始める。

もっとも、昨日のチョッパーの誕生日パーティーで使ったモノをそのままクリスマス会に使い

回すだけだから、簡単に準備は整った。

後は、料理を待つばかり・・・・

「おらっ、チョッパー、ボッとしてねえで、作ってる奴からどんどん運んじまってくれ! 

ウソップ、倉庫から、ワインと酒、甲板に運んどいてくれよな。 ルフィーッ! 作って

る端から食ってんじゃねえーっ! このクソまりも、いつまでその皮剥くのに時間掛か

ってやがる! もっとシャキシャキ動けよな。 ・・・・・全く、この忙しいときに・・・・」

サンジは、キッチンで、男共を顎でこき使いながら、てきぱきと料理を作っていく。

さながら、キッチンは、戦場のようで・・・・・・・ゾロは、堪らず使い慣れてない包丁をシンクに

置いた。

「チッ、面倒臭せえ。 こっちの方が、早ええ。」

ゾロはそう言うと、雪走を抜刀して、野菜を見事に切り刻んでいく。

「すげえ! ゾロ、すげえぞ!」

ルフィは、喜喜としてその様子を眺めている。

「馬鹿かーっ!てめえ、食材をなんだと思ってやがる! ・・・・しかし、今は非常時

だ。 俺が、許す。 ほらっ、これも頼むぜ。」

サンジは、言うが早いか、ゾロの頭に踵をめり込ませ、そう言うと、足元に置いてあったジャ

ガイモをゾロに渡した。

「ッ・・痛てえ! 許すんなら、蹴りを食らわさなくでも良いだろうが! ・・・・・全く。

人使いの荒いコックだぜ。」

ゾロはそう言うと、目にも留まらぬ早業で、ジャガイモを処理していく。

ゾロの活躍の甲斐もあって、パーティー料理も、無事に夕方までには、間に合った。

「さて、料理の用意もできたようだし・・・・今日は、皆で、楽しく騒ぎましょう。 

・・・・さて、取り出しましたこの棒・・・・パーティーゲームの王道と言えば、もちろん、

これでしょう?」

ナミは、そう言って、皆の前に1本だけ王冠の絵の付いた棒を皆の前に突き出す。

「・・・・ま、まさか、ナミさん・・・・それって・・・・」

「そう! ゲームの王道、王様ゲーム!!」

ナミは、サンジの言葉を遮って、堂々と告げた。

早々に青ざめるサンジ、深いため息を吐いて頭を抱えるゾロ、どんなゲームなのか興味津々

のルフィとチョッパー、諦め顔で空笑いをするウソップ、そしていつもと変わらないロビン。

「さあ、覚悟は良い? 王様、王様、それはだ〜れだ??」

ナミは、缶に人数分の棒を入れて、一人一人に棒を引かせる。

一斉に皆、自分の棒の先を確かめた。

「あらっ? 私だわ。」

そう言ってロビンが、王冠の付いた棒を皆に見せる。

「じゃあ、王様、ご命令を。 棒の先にそれぞれ番号が付いてるはずだから、その番

号の人は、王様の命令に絶対に従うこと! 良いわね。」

ナミは、そう言ってゲームの趣旨を説明した。

「・・・・・じゃあ、1番に命令するわ。 この酒樽の酒、2樽を全部飲み干して。」

ロビンはそう言って、近くの酒樽をテーブルの上にハナハナの能力で置いた。

「・・・・・・・俺だ。 このくらい朝飯前だ。」

ゾロは、1番の棒をテーブルに置くと、その酒樽を両手で抱え、一気に飲み始める。

アッという間に、酒樽は2つとも空になり、クルー達は、ゾロの底なしの酒豪ぶりに感心した。

「・・・・・全く、恐ろしい飲みっぷりよね・・・・さて、次は・・・・」

ナミが、また棒を缶に集めて、次の王様を決める。

「あっ、俺だ、俺。 ・・・・・そうだな・・・俺も思いつかないから・・・・・4番と2番、それ

ぞれ、この酒樽を空にしろ。 えへへ・・・・」

王様になったチョッパーは、そう言って笑った。

「うげっ! 俺だ・・・・・2番・・・・」

サンジがそう言って、テーブルに棒を置く。

「・・・・・・俺もだ。 4番・・・・」

ゾロは、そう短く言うと、テーブルに棒を置き、酒樽を抱えた。

「・・・・マジかよ、ゾロ・・・・・お前、ついてねえな。」

ウソップがそう言って、哀れんだ目でゾロを見る。

「・・・・馬鹿にするな、このくらい全然平気だ。」

ゾロはそう言って、また一気に酒樽の酒を飲み干していった。

「・・・お、俺だって、このくらい・・・・」

サンジは、ゾロに負けまいとそう言って飲み干していく。

「・・・じゃあ、次! いくわよ! 王様、だ〜れだ?」

「やった〜vv あたしだわ。 うふふ、いくわよ、1番と3番、30秒キスしなさい!」

ナミの嬉しそうな命令が飛んだ。

「フガッ! ・・・・俺だ。 ・・・・1番・・・・」

「いやあぁぁ、なんでルフィとなんだよ・・・・・」

ルフィとウソップは、真っ青な顔で、互いの顔を見つめ合った。

「おっし、やるか・・・・・」

「・・・・・かや・・・・許してくれ・・・・・」

ルフィとウソップはそう言って、30秒、口付けた。

「OK!30秒経ったわ。 じゃあ、次! 王様は、だ〜れ?」

「おしっ、俺だ。 俺の命令は・・・・・5番、このグラスの酒を口移しで、2番に飲ませ

ろ!」

ウソップは、そう言ってグラスを差し出す。

「あら? 私・・・・5番だわ。」

「・・・・・お、俺、2番だvvやったーvv ウソップでかしたvv さあ、ロビンさんvvいつで

も、OKですvv」

ロビンとサンジが、そう言って、立ち上がる。

その瞬間、ウソップは、自分に向けられる殺気をひしひしと感じた。




・・・・・・怖ええよ、ゾロ・・・・・これ、ゲームだろ・・・・・

・・・・・・俺のせいじゃねえぞ・・・・・俺のせいじゃ・・・・・

・・・・・・恨むなら、このゲームをしようと言い出したナミを恨んでくれ・・・・・

・・・・・・かや・・・・・・俺・・・・・明日、マジ死んでるかも・・・・・




ゾロからの殺気走った視線を一身に受けて、ウソップは、その場に凍り付く。

「・・・・・ゲームだから、仕方ないわよ、ね?」

ロビンは、不躾な視線を送るゾロに向かって一応そう言って、にっこりと笑った。

ゾロは、憮然として、酒樽の酒を一人で空けていた。

そして・・・・・ウソップ王の命令は実行される。

「はあ・・・・し・あ・わ・せvvで〜すvv」

サンジは、瞳をハートの形にして甲板にしゃがみ込んでいる。

ロビンはと言うと、ふだんと変わらない様子で、サンジを見てにこやかに微笑んだ。

ゾロの周りだけ・・・・・異様な雰囲気を醸し出している。

「・・・・じゃ、じゃあ、次! 王様、だ〜れだ?」

ナミが、壊れかけた雰囲気を立て直そうと、次の王様を選ぶ。

「・・・・・・・俺だ。」

ゾロはそう言って、ニヤリと笑った。

「・・・・・王様の命令は絶対だったよ、な? ・・・・・・じゃあ、4番、俺と一緒に格納庫

に入れ。 後の番号の奴は、明日まで近づくな。 ・・・・それと、これでゲームは、お

終いだ。」

ゾロは、そう言うなり、しゃがみ込んでいるサンジを肩に担ぎ上げ、スタスタと格納庫に向け

て歩き始める。

「えっ? ゾロ、まだ、4番が誰だって決まってないわよ!」

ナミが、慌てて引き留めた。

そうなのだ、誰もまだ、自分の番号を言ってはいない。

「・・・・・これなら、文句ねえだろ・・・・」

ゾロは、そう言って、サンジが持っていた棒をナミに投げた。

その棒には・・・・・・・4番としっかり書いてあった。

まさに、恐るべし魔獣の勘と言うのか、抜け目無さというのか・・・・・

ゾロには、サンジの番号が、わかっていたらしい・・・・・

「うわっ! てめえ、なにやってんだ! 下ろせよ、馬鹿! クソまりも・・・・・・」

ロビンとのゲームで、すっかり夢の中に居たサンジは、担がれてる感覚で慌てて現実に戻っ

た。

・・・・・・しかし、それも、一足遅すぎた。

「王様の命令は、絶対だからな。 4番のてめえは、一晩中、俺に付き合って貰

う・・・・・」

ゾロは、そう言って担いでいるサンジを見てニヤリと笑った。

「嫌だ、離せ・・・・俺は・・・・・俺は・・・・・ナミさ〜ん、ロビンさ〜ん、助けて・・・・」

サンジの叫び声が、甲板にむなしく響いて・・・・・・クルー達は、ゾロの行動に頭を抱えた。

「・・・・やってくれるじゃない、あの独裁王は・・・・・・」

「・・・・サンジ、何されちゃうんだろ・・・・ゾロ・・・・怖い顔してた・・・・」

「・・・・・・・サンジ・・・・・お前に同情するぜ、俺は・・・・・」

「あれ? ゾロとサンジ、何処に行くんだ? まっ、俺には関係ねえか。」

「ふふふ・・・・剣士さんって、結構、自分の感情を隠さないのね・・・・・」

ナミ、チョッパー、ウソップ、ルフィ、ロビンは、それぞれ、サンジに少しずつ同情しながら、

パーティーの片づけをして、早々に休むことにした。

全員、ウソップ特製の耳栓を填めて・・・・・・

おかげで、皆、サンジの嬌声を聞くことなく、次の日を迎えることになったのだが・・・・・・





次の日・・・・・

「・・・・・もう、ゾロったら、昨日は、なんなのよ、あれ・・・・サンジ君、好きなのは、

わかるけど、あんな途中でどうどうとしけこむなんて・・・・・」

ナミが、苦言を呈そうと鍛錬をしているゾロにそう切り出す。

「あん? 何言ってんだ? ・・・・・そう言えば・・・・俺、途中から、覚えてねえんだけ

ど・・・・俺、なんかやったのか? 朝、起きたら、一人で格納庫に寝てるしよ・・・・・

腹に覚えのねえ青あざができてやがるし・・・・・」

ゾロは、訝しげにナミにそう聞く。

「・・・・・・あんた、まさか・・・・・・酔っぱらって・・・・」

ナミはそう言ながら、昨日のゾロの様子を思い出していた。

酒樽を3つ空け、パーティーのあいだじゅう、ずっとハイペースで飲んでいたゾロ・・・・

おまけに、ロビンとサンジが王様の命令に従っていた頃、ゾロは、また酒樽をがぶ飲みして

いた。

あれで、酔わない方が、どうかしている・・・・




・・・・あの時点で、もう抑えが効かないくらい酔っぱらってたのね・・・・

・・・・・本当に・・・・魔獣よ・・・・・あんたは・・・・・




「・・・・・・・もう、良い。 あんたのこと、良くわかったから・・・・」

ナミは、ゾロにそう告げると、頭を抱えてその場を後にした。









「・・・・・・サンジ君・・・・・あなたに本当に同情するわ・・・・・」

ナミは、キッチンで、だるそうに腰をさすりながら料理しているサンジを覗き見ながら、そっと

呟いた。






<END>




<コメント>

これを、クリスマス&20000打記念と言うことで、勘弁してくれますか??(TOT)
こんなモノを差し上げるのもおこがましいのですが・・・・・
こんなのでも、貰ってやるぜというご奇特な方がいらっしゃいましたら、
ご連絡いただけると嬉しいか、な?
それでは、メリークリスマス!!
そして・・・・・・20000打、本当にありがとうございました。(ペコリ)

<kikaku−top>      <index>