HAPPY SWEET BIRTHDAY |
「ハイ、OKです! 皆さん、お疲れさまでした!」 A.Dの声が、スタジオに響いた。 「サンジ、お疲れさん! 最近、いつにも増して忙しそうだけど・・・・・疲れ溜まってんじゃ 収録が終わったスタジオで、ディレクターのエースが、心配そうにサンジにそう声を掛ける。 「あっ、お疲れさま。 うん、ちょっと、ここのとこハードだけど、もう少しの辛抱だしね。 サンジは、やや疲れた表情を見せたものの、すぐににっこりといつものように微笑んで、 「なら、良いんだけどサ・・・・・」 「サンジ君、急いで! この後、雑誌のグラビアが4本、その後の対談が、3本、FBNテレビ エースと話しているサンジの元に、ナミが急ぎ足で駆け込んで来る。 「あっ、じゃあ、そう言うことだから。 エース、じゃあな、また・・・・」 「さあ、急いで!!」 サンジは、エースへの挨拶もそこそこに、ナミに引っ張られるようにスタジオを後にした。 「・・・・ねぇ、サンジ君。 本当に、身体の方、大丈夫なの? ここ一ヶ月、ずっとこんな状態 ナミは、次の撮影先に車を走らせながら、サンジにそう言う。 「ううん、全然平気だよ。 忙しいのわかっていて、どうしても明日、丸一日、お休みが欲しい サンジは、助手席でナミににっこりと笑って、そう言い返した。 「あ、そうだったわね。 明日、サンジ君の誕生日だったよね? うふふ、あいつと二人っきり 「えへへ。 その点も、大丈夫。 ちゃんと一ヶ月前から約束してたんだ。 あいつ、約束破る 「あらあら、これは、ごちそうさま。 独り身には、とっっっっっても、羨ましいお話をどうもあり サンジの言葉に、ナミはわざと大げさに呆れた声でそう言うと、にっこりと笑った。 「りょーかい! ナミさん!!」 ナミとサンジは、そう言って次の仕事場に駆け出して行った。 「あっ、ゾロ。 偶然だな。 これから、仕事?」 「ああ、今、週刊誌の表紙撮影が終わって、これからドラマ撮りで移動するとこなんだ。 「俺は、これからグラビア撮影。 なぁ、明日、ちゃんとわかってるよな? 約束忘れてないよ 「まさか、当然だろ? 任せとけって。 でっかいバースディーケーキ持って行くから。 「えへへ。 嘘ばっかし。」 「ククク。 まっ、楽しみにしとけよ。」 サンジとゾロは、そう言ってにこやかに笑い合う。 「ゾロ! ほらっ!! 時間押してんだぞ。 早く!」 「あっ、いけね。 今、行きます。 じゃあな、サンジ。 明日5時には必ず部屋に行くから。」 「うん! 待ってるから。」 マネージャー兼社長に急かされて、ゾロは、サンジにそう言うとバタバタとスタジオを後にし 「はい!」 ナミに急かされて、サンジも足早にスタジオに消えていった。 早朝から部屋の掃除をし、夕食の買い出しと下ごしらえを済ませ、サンジは慌ただしく、テー 「うっしっ! 後は、俺が着替えるだけ・・・・やっぱ、パーティースーツかなぁ・・・」 サンジは、もう一度シャワーを浴び、いそいそとスーツに身を包んだ。 「そろそろ、来るよな。 よし、もう一度テーブルの上のチェックだ。 えへへ、我ながら良い出 もうすぐ訪れる筈の楽しい二人の時間を思い描き、サンジは時計に瞳をやり、玄関の音に 「・・・・おかしいなぁ。 どうしたんだろ、ゾロ。」 ソファーで時計を眺めていたサンジに、電話のベルが鳴る。 「はい、もしもし・・・あっ、ゾロ。 どうした?」 サンジは、慌てて受話器を握る。 「もしもし、ごめん、サンジ。 収録が延びちゃって・・・・・今から行くから。 もう少し、待って ゾロは、申し訳なさそうにそう言ってサンジに謝った。 「うん。 仕方ないよ、仕事なんだから。 けど、なるだけ早く来てな。 俺、待ってるから・・・」 ゾロからの連絡にサンジはそう返事をし、電話を切る。 「『今から、行くから。』だって。 えへへ、もうすぐだ。 もうすぐ、ゾロが・・・・」 サンジは、嬉しそうにそう呟いて、冷めた料理を温め直す事にした。 電話をかけ終えたゾロの後ろで、心配そうな社長の声がする。 「あ、ああ。 大丈夫でした。 俺に何かあったんじゃないかと心配してましたけど。 怒って 「ああ、サンジにおめでとうって伝えといてくれよな。」 「はい、わかってますって。」 ゾロは、社長にそう言って笑うと廊下を駆け出す。 「ねぇ!! ロロノア君! ちょっと待って!! お願いよ! 私を助けて!!」 背中に叫ぶ声を聞き、ゾロは、立ち止まり振り返る。 「どうしたんですか? ロビンさん。 そんなに慌てて・・・・」 「お願い、私を助けて! お願いよ、ロロノア君!!」 ゾロの言葉にロビンは切羽詰まった声で懇願した。 ピンポ〜ン・・・・ 玄関のチャイムが聞こえた。 「済みません、宅配便です。 はんこお願いします。」 ゾロだと思ってうきうきと玄関を開けたサンジに届いたのは、宅配便の荷物だった。 「毎度ありがとうございました!」 「・・・・・なんだ、社長からか。 ・・・・何だろ? うわあ、すっげえ。 ドンペリだ、ドンペリ。 サンジは、社長からのプレゼントのドンペリを自分の買ってきたワインと共に冷やし、テーブ プルルルル・・・ルルルル・・・・ 「あれ? 今度は、誰からだろ?」 サンジはそう呟いて、受話器を取った。 「もしもし・・・・」 「あっ、サンジか?」 電話の相手は、もうすぐ来るはずのゾロからだった。 「あ、あのさ・・・・・・WFNテレビのロビンさん、サンジも知ってるだろ? そのロビンさんが、 「あ、ああ。 っで、何時からの生放送なんだ?」 「それが・・・・・23時からの1時間ドラマなんだ。 それで・・・・・・俺に出てくれないかって。 「ごめん、サンジ。 今度は、必ず・・・・・」 「良いって! それより早く、スタジオ戻れよ。 じゃあ、な、ゾロ・・・・・・」 サンジは、明るい声でそう言って、受話器を置く。 シンと静まり返ったリビングにサンジの嗚咽だけがいつまでも聞こえていた。 ロビンは、すまなそうにゾロにそう言って、頭を下げる。 「いえ、そんなに謝らないで下さい。 いつもお世話になってるのは、こっちの方だし。 「本当に、ありがとう。 ロロノア君。 じゃ、悪いけど、よろしくね。」 ゾロとロビンは、そう言いながらスタジオに向かった。 「ゾロ!! なにやってんの!!こんなところで!!」 スタジオに入る一歩手前で、ゾロは、聞き覚えのある声に呼び止められた。 「あれ?? ナミ? なんでここに?? サンジのところにいるはずじゃ・・・・・」 「シーッ!! 黙って!! ちょっと、こっちに来て!!」 ナミは、自分の姿を見て驚いているゾロの腕を掴むと、階段の脇に連れていく。 「なぁ、なんでサンジのところにいるはずのお前がここに居るんだ?」 「それは、こっちの台詞よ!! なんであんたが、この時間、ここにいるのよ。 今日、サンジ 「えっ?! さっき電話したとき、サンジ、お前とビビを呼んで誕生パーティーして騒いでるか 「馬鹿ねえ。 そんなの、あんたに心配掛けないように吐いた嘘に決まってるじゃない。 「あア??」 「まさか、あんた、知らなかったの?」 「だって・・・・サンジ、たまたま、誕生日にオフが取れたからって・・・・・」 「本当に、あんたって、馬鹿? あの売れっ子のサンジ君に、そうそう丸一日のオフなんか取 「・・・・・・・・・・。」 ゾロは、ナミから聞いた真実に言葉を詰まらせた。 「ロロノア君、悪いんだけど、急いで貰えないかしら・・・」 ロビンが、スタジオのドアから顔を出してゾロを呼んだ。 「はい、今行きます・・・・・ありがとう、ナミ・・・・」 「フゥ・・・・・ちゃんと謝ってフォローしときなさいよ。」 ナミは、スタジオに走るゾロの背中にそう言って、テレビ局の廊下をゾロと反対の方向に歩き 「ヤバッ!! いつの間に俺・・・・・・」 肌にヒンヤリとした冷気を感じ、サンジは、慌てて身を起こす。 「・・・・・本当に、生き生きとしてて。 格好良いよ、ゾロ。 いつもどんなことにも、全力投球 サンジは、テレビの中のゾロにそう呟く。 「・・・・・・これから、行くから。 絶対に、行く!! ・・・・・待ってろよ!!」 ゾロは、ドラマのラストシーンで見えない巨大な組織に向かってそう叫ぶと、ヘリに乗り込ん 「えっ?!」 サンジの心臓が、ドクンと震えた。 「はぁ・・・・・今日も、後10分。 俺の誕生日も、あと、10分で終わりか・・・・」 サンジは、テレビを消して、壁の時計をじっと見つめる。 「えっ?! こんな時期に・・・・・雪? もう春が近いのに・・・・・」 サンジは、その光景を確かめるように、窓に近寄った。 「・・・・・・なに? ・・・・花びら?」 そう呟いて窓を開けたサンジに突風が吹き込む。 バッバッバッバラバラバラバラバラ・・・・・ 「サンジーッ!!」 もの凄い音と共に、ゾロの声が聞こえた。 「誕生日、おめでとう。 サンジ。 遅れて、ごめん。」 ゾロは、そう叫ぶと、さっとサンジの部屋のベランダに飛び降りる。 「・・・・・・馬鹿。 ここ、14階だゾ・・・・・」 サンジは、涙声でそう言ってゾロの胸に顔を埋めた。 「・・・・いらっしゃい、ゾロ。」 「お邪魔します。」 ゾロは、サンジの言葉にそう返事して、サンジを抱き締め返す。 「・・・・5分前。 ・・・・・ギリギリ、セーフだな。」 ゾロは、腕時計を見つめ、サンジを抱き締める腕にそっと力を込めた。 ゾロが囁いた言葉が、午前0時の時を告げた。 |
<コメント> パラレル1本目は・・・いやぁぁ・・・・・とうとう書いちゃったよ。 俳優ゾロサン。 ああ、ソフトクリームに練乳掛けて口の中、うにゅうにゅしてるような、この甘さ。(笑) 今回は、これでもかって言うほどに、気障なゾロを書いてみました。 もう自分の発想のクサさに・・・・(-_-;) まあ、俳優ゾロならではの・・・・気障さか? こちらも、お楽しみ頂けたらと、幸いです。 では★ |