AFTER HALLOWEEN



 




・・・・・・・・・なぁ、一週間前までは子どもだったのに、急に大人になる人間なんて・・・

有り得ると思うか?

普通はねえよな・・・・?

いや、普通じゃなくても有り得る訳がねえ・・・・

けどな、居るんだよ、実際。

この俺の・・・・・・・・・・・すぐ隣りに、さ。
















「て、てめえは、誰だーーーーーーーッ!!!」

その朝の俺の驚きようったら、そりゃあもう半端じゃなくて・・・朝勃ちも萎えるっつうか、それ

くらい衝撃的だったんだ。

だってよ、目覚めて一番初めにゾロの緑の髪の毛が瞳に入って・・・・・

まっ、それはいつもの事だから気にも止めなかったんだがよ。

俺の身体にすらっとした腕が伸びていて・・・・・ボーっとし思考のままゾロにさ、お目覚めの

キスでもしようかと、顔を覗いた途端、そこには見たことも無い男の顔。

っで、俺は、冒頭の叫び声をあげちまったって訳。

とにかく、じたばたともがいてその腕から逃れたかったんだけど、かっちりと押さえ込まれて

てどうにも動けねえ。

こう身体が密着してると自慢の蹴りも繰り出せねえし・・・・・残る手段は、ただ一つ。

この得体の知れねえゾロと同じ頭の野郎を起こす事。

「くぉら!! 起きろ!! このクソ野郎!!」

耳元で叫んで、その耳を力一杯引っ張った。

「あーうるさい!! 痛ーーい!! なんだよ、一体!!!」

耳を引っ張っている俺の手をグッと掴んで奴が瞳を開ける。

ちょっと低くて甘い声が、俺の耳を擽った。




結構好きな声かも。




「よう・・・・・お目覚めか、この犯罪者。 押し入り強盗でもしに来たのか? 痛い目に

遭いたくなけりゃ、即刻、ここから出て行けよ。」

俺はそんな事を考えながらも、そいつにそう言い放つ。

俺、平和主義者だからな・・・・・・無用な争いごとは好きじゃねえし。

「・・・・・なんだ、サンジか。 ・・・・・・・なに言ってんだよ、サンジ・・・・」

そいつは、出て行く気配を見せるどころか、そう俺の名を気安く呼んで、ムッとした顔をした。

「て、てめえは一体?! 気安く俺の名を呼ぶんじゃねえ!! さっさと出てけよ!! 

さもねえと、警察を・・・・・」

俺は掴まれた手をブンブン振ってなんとかこいつから離れようと試みる。

しかし・・・・・・なんて腕の強さだ。

ビクともしやがらねえ。

「サンジィ・・・・・・なに言ってんだよ。 それよかさ、俺、お腹空いちゃった。 朝ご飯

は?サンジ?」

ニコニコと笑顔で俺を見て、そいつは俺にそう言った。




この笑顔には、見覚えがある。

この愛らしい笑顔は・・・・・・・・・・・・・もしかして・・・・・・?




「・・・・・・・・・・・・・・・・ゾ、ゾロかぁ?!」

「当たり前じゃん、サンジ。 俺以外に誰かいるのか?」

驚きで裏返った俺の声にそいつは、事も無げにそう言ってのけた。

「ちょ、ちょっと待て・・・・・・・・俺の知っているゾロは、まだ小学生ぐらいのほんの

ガキで・・・」

「はぁ?? サンジ、なに言ってんだよ。」

「何って・・・・・てめえこそ、その格好をなんとも思わねえのかよ?!」

「ほえっ?!」

ツンツルテンのパジャマの上下。

それは、そいつが身じろいだ事で、見事に布切れと化していった。

「お久しぶりです、サンジさん・・・・・・・その件は私からご説明させて頂きましょ

う・・・。」

急にすぐ後ろで、聞いた事のある声が聞こえる。

「あ、貴方は・・・・・」

「はい、一週間ぶりですな、サンジさん。 ロロノア君。」

柔らかな微笑を浮かべ、一週間前、ゾロを迎えに来たあの先生という奴がそこに立ってい

た。

「あ、先生、お久しぶりです。」

ぺこりと俺の手を握って離さない自称ゾロがそう言って頭を下げる。




やっぱ、こいつはゾロなのかぁ??




交互に見返す俺に、先生は苦笑して話を始めた。

「クスクス・・・ああ、すみません。 貴方が驚くのも無理はありません。 実は、この

世界と我々が住む世界とでは、多少、時間の進み方が違うのです。 ロロノア君は、

こちらの世界の小学生ぐらいに見えたでしょうが、実は、既に18歳なのです。 我々

の世界では、住人は皆、19歳までは子どもの姿で過ごします。 そして、20歳にな

って初めて大人の姿を許されるのです。」

「18歳・・・・・・でも、何で急に・・・」

「多分、こちらの世界の時間軸の影響を受けたものと思われます。 初めは徐々

に・・・そして、急激にこちらの世界の年齢に適した身体つきになったのでしょう。 こ

の事例は、以前も見受けられたものと同じですので、間違いは無いと・・・。」

「・・・・・・・じゃあ、要するに、ゾロはこっちの世界に来て、こっちの生活をするうちに

18歳まで急激に成長したって訳なのか?」

「さようでございます。 他に何かお聞きになりたい事とかありますか?」

「あの・・・・・・精神的にも、子どもから大人になっているんでしょうか?」

「まぁ・・・・・それは徐々にそうなるとは思いますが・・・・身体とは若干の時間の開き

があると思われ・・・・・・・」

「・・・・・・・・いや、もう結構です。」

俺はこの常識を逸脱した話を聞きながら軽く眩暈を覚えた。




要するに、これが本来のゾロの姿だと、そう思えば良いんだよな・・・・。




自分でも恐ろしいほど、この状況にとりあえず納得する。

「それでは、一年間、ロロノア君のこと、宜しくお願いいたします。 では、失礼・・・・」

先生はそう俺に深々と挨拶すると、スッと消えてしまった。

後に残されたのは、俺と・・・・・・・18歳のゾロ。

「なぁ、サンジィ・・・・早くご飯食べようぜ?」

布キレを身体に纏い、ゾロが俺のシャツを引っ張る。

切れ長の瞳に、スッと通った鼻筋・・・。

よく見れば、整った顔をしている。

まぁ、俗に言うスポーツマンタイプのモテる顔って奴。

ガタイも結構良いし・・・・がっちりってタイプじゃなくてもっとシャープな感じ。

布キレから覗く胸の厚みに、思わずゴクリと喉が鳴った。




俺・・・・・こいつに抱かれて寝てたのかよ・・・。




そう考えた瞬間、カーッと全身が火照る。

ゾロなのに、ゾロじゃなくて・・・・・・・・・俺の頭はグルグルと渦を巻いてて・・・

ドキドキと心臓の鼓動が早くなった。




落ち着け、俺・・・・・・相手は、ゾロなんだぞ。

そう、ゾロだ。




黙ったまま動かない俺に痺れを切らしたのか、ゾロが俺の顔を覗き込んだ。

「なぁ・・・・・・早く〜・・・サンジィ・・・・・」

その甘い声と精悍な顔立ちと縋るような瞳に、俺は完全にノックダウンを食らった。




し、信じられねえ・・・・・・・この俺様が・・・・・・・




クラクラする頭を必死で手で押さえて、そっともう一度ゾロに視線を向ける。

「早くな〜・・・・」

そんな俺の心情など知らず、ニコニコと無邪気な笑顔を向けるゾロ。




・・・・・・・頼むから、その笑顔は止めてくれ・・・。




「・・・・・・おう・・・」

俺は、返事もそこそこに、キッチンに行き朝食を作った。













「・・・・・・・なぁ、てめえの誕生日っていつなんだ?」

食事をしながら、何気なく俺は、ゾロにそう聞く。

18歳って年齢があるのなら、誕生日も当然あるんだろうなぁって、そんな気軽な気分で聞い

たんだが・・・。

「あ?俺の?? えっとね・・・・・・確か、11月11日だったかな・・?」

「11月11日?!」

俺は、ゾロの言った言葉に思わず噴き出しそうになった。




・・・・・・・・・明後日じゃねえか、11日ってさ。




「明後日じゃねえかよ?!」

「えっ?! そうだっけ?」

「そうだっけじゃねえ!! てめえんとこの世界では誕生日のお祝いとかしねえのか

よ?」

「う・・・・ん。 した事ある様な無い様な・・・・」

「まぁ、良い。 この世界では、誕生日はちゃんとお祝いするんだぜ? さてっと・・・

飯も食ったし、明後日の誕生パーティーの買出しにでも行くか。」

「別に良いのに・・・・」

「よくねえし! ほら、ぐずぐずしねえで、さっさと出かけるぞ。」

俺は乗り気じゃねえゾロを急かせて街に出かける。




やっぱさ、聞いた以上はちゃんと祝ってやりてえし・・・・・・・

来年は、こいついなくなるんだしよ・・・・・・・。




なんか来年のことを考えるとちょっとセンチな気分になっちまったが、まぁ、それはそれ。

その分、きっと最初で最後になるであろうゾロの誕生日祝いを精一杯お祝いしてやろうと俺

はいつもより吟味に吟味を重ね買い物に精を出した。

途中、俺の持っていた荷物をひょいと軽々と持ってくれるゾロに、ドキドキしたり・・・・・

ひそひそと囁きあう女の子の視線が、俺を通り越してゾロに注がれてるのを感じてムカつい

たり・・・・・・・

とにかく俺は、今までに遣った事無い神経を一気に使い果たしたというか・・・・

マジに疲れた。

「ハァ・・・・・今日は疲れたな。 久々に街で一杯買い込んだしな。 てめえも疲れた

だろ? 早く休もうぜ・・・・」

俺はそう言って毛布をソファーにもって行き、そこに身体を横たえる。

「・・・・・なぁ、サンジ・・・・」

「あー・・・なんだよ。 俺ももう眠てえんだよ・・・・」

久しぶりの買出しで神経をたくさん使って俺は眠たくて堪らなかった。

「・・・・・・・・・・・・なんで、こっちで寝ないんだよ。」

つかつかと俺の前まで歩み寄ってきて、ゾロが俺の毛布を引っ張る。

「あー? なに言って・・・・・・てめえも身体大きいし、大人二人が寝ると狭いだろう

が、ベッドが・・・・・」

俺は気だるそうにそう答えて、ゾロに背中を向けた。

本当は、それだけが理由じゃねえ。




だってよ・・・・・・ただでさえ、傍にいるだけでこんなにドキドキして神経使うのに・・・

そんな、いつものように・・・・・・・・・・・

一緒に寝れるわけねえだろーっ!!




そんな事を考えてると、顔がひとりでに火照ってくる。

「なぁ・・・・・・・狭くても良いからさぁ・・・・サンジィ〜・・・・・」

それでも尚、執拗に食い下がるゾロに、俺は・・・

「うるせえ!! 俺は疲れてんだよ!! ガキじゃねえんだから、ぐだぐだ言わずにさ

っさと寝ろ!!」

そう叫んで、毛布を引っ被った。

「サンジ・・・・・・」

シュンとした淋しそうなゾロの声が聞こえた。

暫くして、スゴスゴとベッドに引き返す足音もした。




泣きてえのは、こっちの方だ・・・・・チクショー・・・。




俺はそんな訳で、妙な罪悪感と久々に味わう一人寝の淋しさになかなか寝付けず夜を明か

した。








時は過ぎて、11月11日。

「さぁ、ゾロ。 えっと、今日で19歳だよな。 誕生日おめでとう!!」

パンパンとクラッカーを鳴らし、俺は、この日の為に用意したご馳走をテーブルに所狭しとの

っける。

もちろん、バースディーケーキも忘れてはいねえ。




まっ、19歳にもなってこんな祝い方をするのも変なんだけどよ・・・。

中身がまだお子ちゃまだしな・・・・。




その証拠に、ゾロの瞳はキラキラと輝いていて、まるっきし子ども。

その瞳は、瞳の前のケーキに一心に注がれていて、俺は思わず苦笑した。

「待て、待て、今、蝋燭に火をつけるから・・・・」

俺は、そう言いながら、19本の蝋燭に一本一本火をつける。

さすがに、この本数だとケーキも松明みてえだ。




けどまっ、今年だけだし・・・・・良いよな。




「さぁ、ゾロ。 吹き消して良いぜ? あ、てめえ知ってるか?この世界での言い伝

え。 それはだな・・・・・願い事を心の中で念じながら、バースディーケーキの蝋燭を

一回で全部吹き消せたらその願い事が叶うって言われてんだぜ。」

小さい頃からジジィによく聞かされていたその話。 

そのお陰かどうかは定かじゃねえが、確かに俺の店を持つと言う願い事は叶ったし・・・

子ども・・・でもねえが、夢を持たせるってのも、一つの余興って言うか・・・・

「本当か?? 本当に願いが叶うのか?」

「ククク・・・・・ああ。」

「よぉし!!」

ゾロは瞳を閉じてなにやらブツブツと願い事らしきものを呟き、息を吸いこむ。

「フゥーッ!!」

蝋燭の明かりだけの部屋が、一瞬で真っ暗になった。

「やったよ、サンジ!! これで叶うんだよな?」

部屋の電気を点けると、嬉々とするゾロの姿。

とても19歳とは思えねえ。

「ククク・・・・ああ、良かったな? 叶うと思うぜ? ・・・・・ところでよ、願い事って一

体なんだ?」

あまりの外見とのギャップに苦笑しながら、俺はゾロにそう尋ねた。

「えっとな・・・・・・・・・・・・・言わない。」

ゾロは、そう言ってはぐらかすように笑う。

「なんだよ! 言えよ?! 気になるじゃねえかよ!!」

俺はそう言ってゾロに近づいたが、ゾロの方は笑って逃げるばかり。

「んだよ・・・・こら、言えって! うわっ!!」

ベッドの方へ逃げて行ったゾロを追い掛けていて、俺は何かにつんのめってゾロと共にベッド

に倒れこむ。

ゾロの上にのしかかった体勢の俺・・・

「うわっ!! ごめっ、俺・・・!!」

慌てて起き上がろうとしたら、ギュッと抱き締められた。

俺の血圧が一気に上がる。

「なっ、なっ・・・・」

あまりの出来事に二の句が告げねえ。

「なぁ、サンジ・・・・・・」

耳元で、ゾロの声がする。

背筋がゾクゾクしてきた。

起き上がろうとした突っ張った腕に力が入らねえ。

顔にかかる前髪をスッとゾロの指が掻きあげた。

バチッと瞳と瞳がかち合う。




ッ・・・・・・・ダメだ・・・・・・俺・・・・完全に・・・アウト・・・・・




俺は瞳を閉じて、ゾロの唇に自分のを重ねた。

唇をこじ開け、ゾロの舌を絡ませる。

ピチャピチャと唾液の絡まる音・・・

初めは戸惑いがちだったゾロの舌が、だんだんと大胆に動き始めた。

仕掛けたのは俺の方だったのに・・・・・・いつの間にか、翻弄されている俺・・・

キスだけなのに、俺の頭はジンと甘く痺れてて・・・・・腰が砕けるかと思った。

スッとゾロの手が俺の胸に触れる。

「あっ・・・ひゃっ・・!!」

自分でもびっくりするような高い声。

くりくりと何度も尖りを捏ね回すようにゾロの指が動いた。

だんだんと身体中の力が抜けていく。

「ッ・・・クッ・・・・ふ・・・ぁ・・・・なにすん・・・・」

必死に力の入らなくなった手で、ゾロの手を押しのける。

「サンジ・・・・サンジ・・・・・」

そう俺の名前を呼びながら、ゾロが俺の首筋に噛み付いた。




なんだってんだよ・・・・・てめえは、ゾロだろ。

まだ・・・・・・・お子ちゃまの・・・・・・筈・・・・・




「ヤッ・・・・ん・・・あっ・・・・・・・・・・ま・・・待てよ・・・・ゾ・・・」

「いやだ・・・」

俺の言葉を遮って、ゾロがそう言って俺のシャツを脱がし始める。

「なんかムラムラしてくるんだ。 なんか・・・・・身体が勝手に・・・・・うっ・・・あ・・ああ

っ・・!!」

そう言って、急にゾロが瞳を閉じた。

「ゾ、ゾロ?! オイ、大丈夫かよ?!」

自分の置かれている状況も忘れて俺は、ゾロを覗き込む。

「っ・・・・ああ、もう大丈夫だ。 待たせたな・・・サンジ・・・」

そう言ってにやりと笑って、ゾロが俺に口付けた。




ああ、そうか。 

大丈夫なんだな? 

・・・・・・・・・・・・・・良かった。

・・・・・・って、待たせたって、なんだよ?!




俺は、ゾロの口調の違いに気がついてビビる。




・・・・・そう言えば、態度もふてぶてしくねえか・・・?




そんな事を考えている合間に、いつの間にか俺はゾロに組み敷かれている格好になってい

て・・・・・

「うわっ!! ゾロ!!まぁ、待て!! てめえ、どうしたんだよ?! わかってんの

か、この状況を?! 待て!早まるな!! 冷静になろう・・・なっ?」

ずり降ろされるズボンのバックルを必死に手に持ち、ゾロの身体を押し退ける。

「ん? ああ、わかってるぜ。 好きなんだろ?サンジも・・・・俺もだ。 大丈夫。 俺

に全部任せろ・・・」

ゾロは俺にそうさらりと軽く言ってのけ、自分も服を脱いだ。




す、好きだ?!

んなサラッと・・・・・・簡単に言うなよな。

確かに、俺は・・・・・・・・そうなんだけどよ・・・・・

俺は、今、初めて聞いたぞ!今、知ったぞ!!

んな重要な事・・・・・・・・

って言うか・・・・・これは、ねえだろ。

何が大丈夫なんだよ?!

任せて堪るか!!




「ざけんなーーーっ!!」

ドカッと思いっきし、膝を鳩尾にめり込ませる。

ゾロの身体が小さな呻き声とともに、俺の上に倒れこんだ。




危ねえ・・・・・もう少しで俺・・・・・流されちまうとこだった。

なんつう危険な奴だ。

あのゾロが成人するとこうなるのかよ。

けど・・・・・・・・・・・

ちょっぴり、残念な気も・・・・・・・ああ、いかん、いかん・・・

物事には順序ってもんがあるだろ、やっぱ・・・




「あー・・・・・・なんかもう・・・・今日は疲れた・・・。」

本当にジェットコースター並の展開で、俺の瞼はだんだんと重くなっていく。

もう、ゾロの事も気にならなくなってしまってて・・・・・










ん・・・・・・・誰かが、俺の眉毛弄くってる・・・・・・誰だ?




眉毛に触れる感触に、俺は瞳を開ける。

「クスクス・・・・おはよう、サンジ・・・」

その声と共に、俺の瞳にはゾロの顔。

「う゛・・・あ・・・・・・あ・・・・・」

声にならない俺・・・・。

「ククク・・・・・本当に言い伝えって本当なんだな。 俺、願い叶ったぜ?サンジ・・・」

そう言って、ゾロがにっこりと笑った。




このゾロは一体どっちのゾロなんだろ・・・?

お子ちゃま? それとも・・・・

けど・・・・・・・願い叶ったって言ったって事は、お子ちゃまのほうなんだよなぁ、やっぱ・・・

っつうか、こいつの願いって?!




「なんなんだよ、願いって?!」

中身がいつものお子ちゃまな方とわかり、俺はゾロにそう聞いてみる。

「ん・・・・・・・こうやって、サンジと一緒に寝たかった・・・。」

その言葉と同時にギュッと抱き締められた。




なんだ・・・・・そんな事か。

ククク・・・・・そんなことを願うなんて・・・・本当お子ちゃまだな、こいつ・・・。




なんだか込み上げてくる笑いが止まらねえ。

思わずギュッとゾロを抱き締め返した。

「さて・・・・・昨夜の続きだな・・・。」

ボソリとゾロの声が耳元でする。

「ヘッ?!」

その声にビビって、ゾロの顔を見たら・・・・・・・にやりと笑われた。




ヤバイ・・・・・・・こいつ・・・・危険な奴の方だ。




慌てて身を捩って、逃げを試みる。

「ククク・・・・・逃げんな。 ここからは、俺の願いなんだからよ・・・・」

顎に手を掛けられて顔を上げられた。

あまりに身体を密着させられて、蹴りも繰り出せねえ。

だんだんとゾロの顔が近づいてくる。




あー・・・・・逃げられねえ・・・




これでもかってほどの濃厚なキスをされた。

唾液が混ざり合い、俺の顎を雫す。

頭がボーっとして何も考えられなくなる。

抗議の声を上げたいのに、俺の口から漏れるのは、レディみてえなくぐもった吐息だけ。

「・・・・・・サンジ・・・・好きだ。」

唇を離し、ゾロが俺にそう囁く。

切羽詰った声とその表情に、俺は・・・・・・・・・・・・・・・ダメだと言えなくなっちまった。

答える代わりに、ゾロの首に腕を絡ませ、口付ける。

それから俺達は・・・・・・・・・・・一つになった。











「痛え・・・・・・くそっ・・・・まさか一日中抱きやがるとは・・・・・なんて野郎だ。 

けど・・・・・ククク・・・・無邪気な寝顔しやがって・・・・・・・・俺も・・・好きだぜ・・・?」

翌日、ようやく意識を取り戻した俺は、ゾロの寝顔にそっと口付ける。

犯り過ぎかどうかは別として、幸せだから良しとしよう。

 

 

「さぁて・・・・・・新しいベッド、買いに行かなくちゃな・・・。」














<END>








 



<コメント>

これは、今年のハロウィーンネタ。その後・・・(苦笑)
ロロ誕?! う・・・・ん。
あたしがロロ誕と決めたからロロ誕なの!!(蹴)
・・・・いつもエッチシーンがあると思うなよ・・・(爆)
くだらなくてごめんなさい。<(_ _)>
では☆

閉じてお戻りください。