ルナティックボイス







夕食の片付けも終わり、明日の仕込みも無事終了。

クルー達は、皆、眠りについている時刻・・・。

俺は、とっておきの酒を取り出し、キッチンを出る。

その手には、つまみののったトレーと二つのグラス。

ドキドキとうるさい心臓の音を静めるようにゆっくりと一歩一歩、船尾に向かう。

そこにいるであろう剣士の顔を思い浮かべて・・・。








「あー・・・緊張してきた・・・。 落ち着け、俺。 相手は、クソまりもだ。 いつものように、構え

てりゃいい・・・・そう・・・いつものよう・・・に・・・。」

そう自分に言い聞かせても、昼間の事が頭をよぎって落ちつかない。




まさか、あのクソまりもが、俺の事好きだなんて・・・。

まさか、両想いだったなんて・・・。

ちくしょー!!

アー、ダメだ・・・・・顔が緩む。




自然と顔が火照ってくる。

つまみをのせたトレーが震えた。

まるで、極上のレディの相手をするかのように、胸の鼓動が高鳴っていく。

コツコツとわざと足音を響かせて、あいつの前に静かに立った。

あいつの身体が動く気配はない。

「・・・・・・なんだ、眠ってんのか・・・チェッ。 緊張して、損した・・・。」

俺は、そう呟いて床にトレーと酒を置き、しゃがみこむ。

そして、じっと、あいつの寝顔をみつめた。

こんなに間近で見たことは無かった。

精悍という言葉がぴったりな面持ち。

スッと通った鼻筋・・・。

切れ長の瞳・・・。

薄く乾いた唇・・・。

どれをとっても、絶対に俺の理想の恋人像ではあり得ないのに・・・。




・・・・・・・どうしてこいつなんだろう・・・。




ドキドキと心臓の音がうるさい。

その乾いた唇に触れたくなる。

どうしようもなく焦がれる自分が・・・・・・・・・ここにがいる。

「・・・・・・・・・・・・・好きだ・・・・・。」

小さな声でそっと呟いてみた。




誰も聞いてないと、こんなに素直に言葉に出来るのにな・・・。




そんな自分に苦笑しながら、さて、これからどうしたもんかと考える。

「・・・・もう少しだけ、このままにしとくか・・・。」

そう呟いて、ポケットのタバコに手を伸ばした。

そこへ、ぐいっと伸ばされた太い腕。

ぐるりと、瞳の前の景色が一変した。

「・・・・・・遅えよ。」

ぼそりと低い声が聞こえた。

ドクドクと脈打つ心臓の音・・・。




・・・・・ん?

・・・・・・・・これは、俺の音じゃねえ・・・・・ってすると・・・?




ガバッと慌てて顔を上げると、瞳の前にあいつの顔。

聞こえたのはあいつの心臓の音・・・。

「て、てめえ・・・!! お、起きていやがったのか?!」

あまりの出来事に裏返る俺の声。

そう・・・・・・俺は、あいつの膝の上。




聞かれた・・・・・聞かれた・・・・聞かれてた・・・・!!




俺は、焦りまくって、まともに顔なんかあわせられない。

慌てて顔を伏せた。

恥ずかしさで、頭がクラクラしてくる。

それでも、こそっとだけあいつの顔を覗き見る。

クッとあいつの口角が上がるのが見えた。

「なに笑ってんだよっ!!」

俺はそう言ってあいつを睨みつける。

俺がこんなにドキドキして、恥ずかしくて焦りまくっているのに・・・。

あいつときたら、余裕綽々で・・・・・・そんなところが凄くむかつく。




絶対に、俺の方があいつより好きの比重が大きいよな・・・。




そんなことを考えている自分にも悔しくなってくる。

あいつは、そんな俺の心情なんか知らずに、俺を見て笑った。

あのルフィに笑いかけるような優しい瞳で・・・・。

恋焦がれていたその瞳・・・。

ドクンと心臓がはねた。

その瞳から瞳が離せない。

「・・・・・・ずっと待ってた。 昼間の事は夢じゃねえかと・・・・てめえが来るの・・・・・・

・・・・・ずっと待ってた。」

あいつの低い声が、俺の耳を擽る。

グッとあいつの腕の力が強くなるのがわかった。

「・・・・・・・・・好きだ・・・・サンジ。」

そう言ってあいつの顔が近づいてくる。

もう何も考えられない・・・・・。

その表情とその瞳とその声が・・・・・・・俺を狂わせる。






触れられた唇・・・。

絡みあう舌・・・。

重なりあう指先・・・。




・・・・・・もう、なにも考えられねえ・・・。




俺は、感情の赴くままに、その身を任せた。

生まれて初めて味わう痛烈な痛みが、下半身を襲う。

「サンジ・・・・サンジ・・・・・好きだ・・・愛してる・・・・」

苦痛に喘ぐ俺に囁かれる、あいつの甘く低い声・・・。

余裕のないあいつの表情・・・。

仰ぎ見る俺の中で何かが変わる。

痛みの中に湧き上がる官能・・・。

苦痛から快楽へと誘われていく身体。

「っ・・・サンジ・・・・サンジ・・・・サンジ・・・・」

身体を重ね、律動を繰り返しながら、何度もそう耳元で囁かれるあいつの低い声が、俺を狂

わせていった。

月明かりの下で行われる情事・・・・。

とどまる事を知らない快楽の淵に落ちていく、俺・・・・・。

「ッ・・・・・ヤァッ・・・クッ・・・ゾロ・・・ッ・・・!!」

ギュッとあいつの首筋にしがみつき、高い嬌声と共に迸った精を自身の腹に浴びる。

そして、気だるさを抱えて、俺の腕が力なくあいつの首筋から離れた。

その気だるさが、なんとも心地良い。

昂ぶりを開放した身体は開放した熱の余韻に浸っていた。

「ッ・・・・まだだ、サンジ・・・・まだ、足りねえ・・・。」

そんな俺にあいつはそう囁いて口付けると、尚一層激しく律動を繰り返した。

あいつの声に弾かれた様に身体が反応する。

嬌声が・・・・・・・・止まらない。




・・・・・・・・狂っていく・・・・・・この声に・・・・・。

・・・・・・・・溺れていく・・・・・・この身体に・・・・・。




「ッ・・・・やっと手に入れた・・・・お前は・・・・・・・・・・俺の、だ・・・・・。」




そう聞こえたのは、俺の声か、あいつの声か・・・・・?

ルナティックボイス・・・・・月だけが、知っている。








<END>



 



<コメント>

本当に、こんなご大層なカウンターの数字で良いんでしょうか?
世の中絶対に間違っとる!などと真剣に思う今日この頃。(馬鹿)
いつもとは少し表現を変えてトライしてみたのですが・・・。(玉砕)
一応、50000打の駄文の続きをサンジサイドでという事で。(汗)
つうか、何言いたいの?これ?で終わってしまったような・・・。(;一_一)
激甘の方が良かった・・・?
もっと精進しま〜す!!(本気)
祝60000打vv 皆様に感謝の気持ちを込めてvv
こんなものでよろしければ、どうぞ勝手にお持ち下さい。
                                         2003.07.10.

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