You are my only sunshine







キラキラと陽の光に透ける髪・・・。

無邪気な笑顔・・・。

弾む笑い声・・・。

その瞳に映るのは・・・。

その笑顔を向けるのは・・・。

・・・・・・信頼厚い俺達の船長。






また長い一日が始まった。

いつ頃からだろう。

あいつの笑い声がうっとおしくて・・・。

あいつの笑顔にムカついて・・・。

あいつの視線の先にいるもの全てに・・・・・・嫉妬した。






ルフィに話すあいつは、凄く無邪気に笑う。

それは、ルフィだけに向けられる笑顔。

俺には・・・・・・・・向けられる事のない、笑顔・・・。

チリッと胸に痛みが走る。

そっと悟られないように盗み見るあいつの笑顔に・・・・・・胸が痛い。

俺と同じようにルフィに誘われ、この船の仲間になる決意したあいつ。




いや、俺と同じじゃない・・・・・・か・・・。




ルフィは初めから、あいつが欲しかった。

あいつは、それに・・・・・・・・・・・・・応えた。

ただそれだけのこと・・・。

惜しむべきは、ルフィより先にあいつに逢えなかったこと。




そうしたら・・・・・?




いや、それでも何も変わらない。

あいつの笑顔の先に・・・・・俺はいない。

これから先も・・・・・・・・・ずっと・・・・・ずっと・・・・・・。
















+++++++++++++++++++++++++++++




キラキラと朝日に煌めく水面に、俺はあいつの姿を思い浮かべる。

陽の光に透けて煌めく、金色の髪・・・。

無邪気な微笑み・・・。

思い浮かべるだけで、胸に広がっていく光。

太陽は、全ての生き物に平等にその光りと温かさを与えてくれるのに・・・・。

それは、決して・・・・・・・・・・届かない。

・・・・・・・・・手に入れることは・・・・・・・・叶わない。

あいつと同じ・・・・。

決して届かない・・・・・・俺だけの太陽。







「こら、クソ腹巻き、朝っぱちから、なに一人で黄昏てんだよ!」

不意に、後ろからあいつの声がした。

俺は弾かれたように振り向き、あいつに瞳をやる。

いつものようにニヤリと口角を曲げ、からかうようなあいつの視線。

「・・・・・今朝は、早いな・・・? 嵐にでもならなきゃ良いけどな。」

あいつは、そんなことを言いながら、俺に近づいてきた。

「うるせーよ。 俺にだって悩みの一つぐらいは有るんだよ。 ・・・・・・放っとけ。」

そう言い放った言葉と裏腹に、俺の鼓動は早くなる。

風に乗って、あいつのタバコの匂いが鼻を掠めた。

「ククク・・・・らしくねえな。 どうした? てめえのそんな面初めて見たぜ。 恋の悩みでも抱

えたか? そう言う悩みなら、経験豊かなこの俺様が相談に乗ってやろうか?」

冗談混じりにあいつが俺にそう言った。

「うるせえな。 てめえにゃ、関係ねえだろ。」

俺はそれだけ言って、その場から離れる。

「・・・・・・・待てよ・・・。 ・・・・・・・・・・・・・ルフィの事か・・・・・?」

ボソリと呟かれたあいつの言葉に、俺は足を止めた。

「ンあ? ・・・・・・・・・関係ねえよ。」

そう言って振り向いたその先に、泣きそうな顔のあいつの姿が瞳に映った。

あいつはすぐに、俺に背を向け海を見つめて言葉を続ける。

「・・・・・・・好きなんだろ・・・・? ルフィのこと・・・。」

そう言ったあいつの肩が小刻みに震えていた。

声に、悲しみの色が滲んでいた。




こいつ、何を言って・・・・?

俺がルフィを好きだと勘違いしてんのか?

ああ、そうか・・・。

自分が好きなルフィを俺も好きだと勘違いして、それでこんな・・・。




「・・・・・・・・安心しろよ。 俺は、ルフィなんか何とも想っちゃねえから。 それと・・・・・・

てめえとルフィの邪魔するつもりもねえから。」

俺はそれだけ言うと、あいつの姿が見えない船尾に向かう。

そして、船尾の縁に腰を下ろし、いつものように瞳を閉じた。

コツコツとあいつの靴音がする。




まぁ、これで有らぬ誤解も解けただろう。

あいつは、また笑顔に戻ってキッチンで皆の為に、朝食の準備をするはずだ。




キッチンに消えるはずの足音に、俺は瞳を閉じたまま耳をそばだてた。

しかし、予想に反して靴音は、俺の側まで来てぴたりと止まる。

「おい、クソ腹巻き・・・。 一つ言っておくことがある。」

そう言ったあいつの声に、俺はゆっくりと瞳を開けた。

いつものようなふてぶてしい態度の中で、あいつの顔が少しだけ赤いのは気のせい

か・・・?

「なんだよ。 まだ、なんかようがあるのかよ。 誤解なら解けたはずだ。」

俺はそう言って、あいつの顔をじっと見る。

「・・・・・・俺とルフィの邪魔って・・・。 てめえ、なんか勘違いしてねえか? 俺とルフィはそ

んな仲じゃねえし、まして、俺はルフィを好きじゃねえ。 いや、その表現は変だな・・・。 

気に入ってるからこの船に乗ったんだしな。 えっと、嫌いじゃねえけど、好きじゃねえって、

こう言えばわかるか・・・?」

あいつは紫煙を揺らし顎に手を掛け、小首を傾げながら俺にそう言った。

俺はあいつの言葉よりもあいつの仕草の方に瞳がいって、話など聞いちゃいなかった。

「・・・・・てめえ、一体何を言いてえんだよ。 さっぱり、わかんねえよ。 てめえがルフィを好

きでルフィもてめえが好き。 お互い両想いで良かったじゃねえか。 それのどこに勘違いが

有るんだよ。」

俺はあいつにそう言いながら、胸の痛みに必死で耐える。

自分の言葉一つ一つが、胸に棘となって突き刺さる。

俺の言葉を聞いて、あいつの顔が急に凶悪になっていった。

「てめえは!! これだけ言っても、まだそんな世迷い言を言ってやがるのか! 俺の話、

いい加減、聞けよな!! 俺は、ルフィなんか好きじゃねえ!! 俺が好きなのは、

てめえ・・・っ・・・・」

あいつはそこまで言って、急に口を閉じた。

凶悪な顔が殊勝な顔に変わっていく。

タバコを何度も吹かし、視線が空を泳いでいる。




・・・・・・こいつ、今、なんて言った・・・?

俺が、好き・・・?

そう言おうとしたのか・・・?




「・・・・・・・・なぁ、クソコック・・・。」

「チッ。 ああ、そうだよ! 俺は、てめえに惚れてるよ! てめえがルフィが好きでもな!

だから、仲を取り持つとそう言ってるだろうが!!」

あいつは、俺の言葉を遮って吐き捨てるように、俺にそう言った。

俺はその言葉を聞いて、とっさにあいつの腕を捕り、自分の上に引き寄せる。

あいつの銜えていたタバコが、床に落ちる。

「おわっ!! な、なにすんだよ! 危ねえじゃねえか!」

あいつは、心底驚いた顔をして俺をじっと睨み付けた。

「・・・・・・・俺が好きなのも、てめえだ。」

俺はそれだけ言うとあいつを抱き締める。

「・・・・・・・・・う・・・・そ・・・・。」

殊勝な顔が今度は、きょとんとした顔になった。

よくもまあ、こんな短時間にころころと表情を変えることができるもんだ。

「嘘じゃねえよ。 俺も、てめえに惚れている。」

俺はそう言って、あいつを抱き締める腕に力を込める。

「だって、俺がルフィと話をしてる時、いつも睨み付けて・・・」

「あれは、睨んでたんじゃねえ。 見てたんだ・・・・てめえの顔を。」

「・・・・・・んなの、わかるかよ・・・。」

俺の言葉に、あいつはそう言って俯いた。

あいつの頬が赤らんでいるのがわかった。

「・・・・・本当だ。 ルフィに向けるてめえの笑った顔が・・・・眩しくて・・・・欲しくて・・・・ずっと

・・・・・・・見てた。」

俺はそう言って、あいつの頬に手を添える。

「・・・・・・本当か・・・?」

そう言ってあいつが、俺の顔を覗く。

また・・・・・・・あいつの表情が変わった。

俺の言葉を待つように縋るような瞳で、俺を見る。

「ああ、本当だ。 ずっと、見てた。 ずっと・・・・・・欲しかった。」

俺はそう言って、あいつの頬を撫でてやる。

「ゾロ・・・・俺も・・・・・俺も・・・・・ずっと欲しかった。 ずっと、ずっと・・・・手に入らねえと

・・・・・・諦めてた。」

あいつは初めて俺の名を呼んで、そう言って俺に抱きついてきた。

どちらからともなく、互いの唇に触れる。

内心、タバコの苦い味に苦笑しながら、俺はあいつの唇を塞ぎ続けた。

「サンジーッ!! 何処だーっ!! 腹減ったぁ!!」

ルフィの声が俺達の耳に届く。

「ああ、今、作る!」

あいつはそう叫んで、スッと俺から離れていく。

「・・・・・・・サンジ・・・。」

俺は、あいつの背中に初めて名前を呼んだ。

「あ? なんだ? ・・・・・続きは、夜、な?」

あいつは、そう言って俺に、笑った。

そう、ずっと恋いこがれ、そっと盗み見ることしかできなかった、あの笑顔で・・・。

俺にだけ・・・・・・・・向けられた笑顔・・・・。




You are my only sunshine




・・・・・・・・・・・・・やっと手に入れた。










<END>




<コメント>

ありゃ・・・確かこの前、記念駄文書いたような気が・・・・。(^-^;)
うぅ〜〜・・・・皆様のご愛顧に感謝vv
本当に現実かはたまた・・・・。(うるうる)
出来上がったラブラブな二人ににしようかとも思ったんですが、
やはり基本の、通じ合うまでの二人が良いかなぁと。
ロロ視点、久々に書いたなぁ。サンジ視点は、またいつか・・。
初心に戻ってまた頑張ります!(あ、駄文はいつも初心者・笑)

祝50000打vv 皆様に感謝の気持ちを込めてvv
こんなものでよろしければ、どうぞ勝手にお持ち下さい。
                                         2003.05.21.

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